第281回 制度ロックアップ違反

はじめに

 先日、坪田ラボ株で「ロックアップ」違反をし、慶應義塾大学が全株売却した。詳しくは検索してください。これはかなり問題なので少し書きたいと思います。

ロックアップ

 ロックアップとは簡単に書けばある一定条件で売却ができないことを言います。今回の件は上場後6ヶ月の売却をしないという確約をしていました。しかし一ヶ月も経たないうちに売られてしまいました。
 証券営業マンはこのロックアップの株数、期間を気にしながら営業します。上場後にお客様にお話する中に当然このロックアップの話をします。上がれば社長や関連会社が一斉に売ってくるようだと買いにくいですが、ロックアップ条項がついていればその条項の中では、その大株主が売ってくる心配はありません。だから、今回の慶應義塾大学は株数はそれほど多くはないですが、その売り物がなければもっと上がっていて、もっと利益を出せていた投資家もいたかもしれません。だからこそ、今回の件はもっと大きく取り上げられるべきだと思います。

慶應義塾大学の対応

 私は日本もここまで落ちたのかと思ったのが、主幹事のSMBC日興証券に慶應義塾がロックアップか問い合わせをしたそうです。そこで誤って対象外と回答したのがことの発端だそうです。坪田ラボによれば、「故意の売却ではなく、制度ロックアップについて認識漏れだった」そうです。
 故意の売却ではないはまあいいでしょう。多分そうなんでしょう。ただ、坪田ラボと慶応義塾で上場後6ヶ月間売却しないと確約していたのに失念したと言うことですね。慶應義塾ってそんな大学なの?私立大学でトップクラスだと私は思っていました。約束をそんな簡単に忘れるような教育機関なんですか?誰が、どういう過程で売り注文を出したのか知りませんが、流石にお粗末としか言えません。小さいことかもしれませんが組織としては随分脆弱だと思えて仕方ありません。

SMBC日興証券の対応

 証券会社として対応として財務局に怒られれば(指導)いいと思います。なぜかと言えば、私も田舎の地場証券といえども財務局からの色々な指導は見てきました。詳しくはあまり書けませんが、売ってはいけないものはシステム上ロックをかければいいだけです。そこにどういうふうになったら売れるようになるか入力しておけばいいだけなのです。こういう話は私が働いていたところでは10数年前に指導されました。たったこれだけのことを怠ったわけです。それとも問い合わせに、対象外と回答して、わざわざロックを外して売ったんでしょうか?それならそのロックを外した担当者の責任でしょうね。なぜロックが掛かっているのか調べもせず、ロックを外して売却したのですから。
 「関係者の方々に多大なるご迷惑をおかけしたことを、深くお詫び申し上げる」とコメントを出していますが、今回の関係者は当然取引をした投資家も含まれますので金融庁にしっかりと指導してもらってください。

まとめ

 今回の件は全体通してお粗末ですし、ありえないことですね。もしかしたら失念とか言ってますが、組織的に売却したのかと疑いたくなるぐらいありえないことですね。
 この文章が誰かの役に立つと嬉しいです。

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