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今夜もウェブで会おう ー東京とドイツの友達ー

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高校時代、私たちはいつも長い手紙をやりとりしてきました。 自由について、生き方について、 働き方について。色々話したと思います。 とても未熟だったけれど、そういう友達はけっこう…
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#対談

コロナで感じた東京の「狭さ」。ヨーロッパでは物置レベル?

広いことはいいことだ やほー 将軍川くん 前回、「人と自分は違うんだね」っていうことについて話したよね。 それについて書こうと思って、近所のカフェにいたんだけど、コロナ禍であまりに人がいなくてゆったりしてるから、ちょっと感動してしまって、それを書きたくなっちゃった。 今書こうとしているテーマは来週にさせてもらおうかなと思った。 コロナのせいっていうのはひとまず置いとくけど、広いってことはリッチなことだよ。スイートルームとおんなじだ。 これまで、東京は場所がないと思っ

人と自分は違う。その上で「伝える」ということ - 『今夜もウェブで会おう』 (第20通目)

コミュニケーションの基本は「話は通じないもの」と諦めること? 将軍川くん ある時気がついたんだけど、話って「通じない」ものなんだね。 話せばわかるっていうのはウソで、ほとんどの相手には、わたしの意見を理解する土台がない。(逆にいうと、わたしと同じ人生を歩んできた人だけが、わたしのことを完全に理解できる)。 つまり、わたしも、相手の言っていることを100%は理解してないんだよ。 それどころか、周りにいる人をランダムに捕まえて話した場合、簡単なことですらほとんど伝わらない

結局遊んじゃうけど、それでいいのだ。 - 『今夜もウェブで会おう』 (第19通目)

休みがありすぎ?!仕事をするひまがない 将軍川くん 久しぶりに実家に帰ってるよ。 最近、父に仕事を一部振るようになったから、打ち合わせも兼ねてのお盆休みかな。 将軍川くんもむかし、うちに遊びにきたことがあったよね。 広い庭に3本白樺の木が生えてて、しめった地面の上に小さな花がたくさん咲いている白い家がうちだ。 東京を離れてみると、ものすごく虫の声がすることに気がついた。 かき氷を買おうと思って、スーパーに向かって歩いていると、木の上から鈴虫の声がしてくるんだ。そうい

悲報... コロナで大損害?! まさかの無収入 - 『今夜もウェブで会おう』 (第18通目)

この春〜夏は自分を見つめ直す時間だった 梶さん この夏、どう過ごしてる? 今年はコロナがあったから、例年とはかなり違っていたんじゃないかな。 パンデミックが始まった頃、ウチは主にお金のことをでドタバタしていたかな。 生活が安定しているうちに、2〜3年計画で収入を増やしたいとは思っていたんだけど、増える前に予想外の収入減と支出増に見舞われてしまった。 支出増っていうのは、住み込みで猫ちゃんのお世話をするハウスシッティングの案件がなくなったせいで、自分で家賃を払わなきゃい

これからのコンテンツ作りは個人が主役だ! - 『今夜もウェブで会おう』 (第17通目)

やりたいことは一人ですぐできる時代になったね 将軍川くん 日本では梅雨前線が本州の上を行ったりきたりしている。 部屋にふとんを敷いて、ベランダの窓を開けてから明かりを消すと、ちかくの家の屋根に「トン」「トン」と大きな雨粒がおちるんだ。 そのぽつぽつとした音を聞いていると、心がおちついてくるよ。 そう、最近、引退した、ある有名な建築関係の人に会ったよ。 会社や仕事に人生を賭けて、責任感をもってやり遂げてきた人の輝きがあった。 彼の技術や、言葉のキレは素晴らしいんだよ、ほ

ドンマイ。 - 『今夜もウェブで会おう』 (第16通目)

「心の家」から友達を出してあげた話 やっほ、梶さん 最近調子どう? うちはこっちの友達とちょっと喧嘩をしてしまって、前話した時はまだ頭がフワーッとしてたんだよね。 どちらかといえば、喧嘩した、というよりは、ウチが一方的に傷ついたといったほうが正しいのかもしれないけど。 友達がストレスで体調を崩したっていうから、果物を窓まで届けたり、メッセージで「大丈夫?」SMSで1日おきくらいに確認したんだ。 全然返信がなかったまま数日後、元気そうにしているその子をパーティーで見つ

人生とマグカップについて - 『今夜もウェブで会おう』 (第15通目)

結局、原点に戻る 梶さん 最近調子どう? 先月まで、ドイツのベルリンにある、ヴィーガン(完全菜食主義)専用の集合住宅に住んでいたよ。住人は5人で、だいたい1ヶ月ぐらいの滞在だった。 ウチは確かに、「ベジタリアン」的な食生活をしているけど、卵類と虫、時々乳製品を食べるから、厳密にはヴィーガンではない。 けど、居住の条件として、そこにいる間は完全植物性の食事さえしていればOKみたいだったから、住むことにした。 思い返すと、ドイツで友達の家に泊めてもらったり、現地の人の家に

「知識」だけでは価値はない - 『今夜もウェブで会おう』 (第14通目)

「ネットサーフィン」をやめることにした 将軍川くん そっちはどんな天気? こちらは、直射日光が「熱線」になってきた。爽やかな風が吹いてくるから、そこまで暑くはないんだけれど、太陽光線に攻撃的なものを感じる。 まだまだコロナウィルスの感染予防で、世間のトレンドは「自粛」。街はやや混んでない。 さっき、Google Local Guideが「家にいながら世界を散策しよう」っていうメールを送ってきた。多分、世界中のいろんな美しい風景や、写真が見られる何かのサービスなんだと思

世界がパニック状態でもスーパーは大丈夫だったよ - 『今夜もウェブで会おう』 (第13通目)

ブダペストとベルリンの近況 梶さん さっきちょうど、コロナの影響で、日本のスーパーでは何が前年よりも売れ、何の売り上げが下がったかと分析された記事を、面白いなあと思いながら読んでいたよ。 ウチは3月初旬から5月の中旬ハンガリーのブダペストにいた。 そこでは、スーパーマーケットや薬局などの生活必需品を扱っているお店は、年齢別の入場制限を行なっていた。 午前中はお年寄りだけ、午後はそれ以外の「若者」だけ、という具合にね。 「リスクグループであるお年寄りに、なるべく安全に生活

仕事がなくても死ぬってことはないんだね - 『今夜もウェブで会おう』 (第12通目)

📧将軍川→梶 梶さんへ 世の中の人にうっすらと付きまとう不安があると思うんだ。 それは、「仕事がなくなったら終わり」「ビジネスに失敗したら終わり」っていう考えから生まれる、恐怖だ。 つまり「お金がなくなったら死ぬんじゃないか」っていう不安。 この不安は、フリーランスだけじゃなくて、誰にでもあるような気がする。 でも、最近、落ち着いて考えてみた。 そしたら、「金がなくて野垂れ死ぬ」っていうことは、自分から「死」を選ばない限り、ありえないってことに気がついたんだ。 また

「仕事」と「プライベート」ってわける必要ある? - 『今夜もウェブで会おう』 (第11通目)

📧梶→将軍川 将軍川くんへ やっほ! コロナ禍で自粛生活が始まって3週間経った。 最初の頃に家の中を思いっきり掃除して、もうやることがなくなったと思って茫然としていたんだけど、さっき、おふろの排水管にゴミが詰まったらしくて、流れなくなったんだ。「やった、ゴールデンウィークにやることができたぞ」と嬉しそうな口調でつぶやいてみたんだけど、もう、完全に不貞腐れてる。 まあ、最初に浮き足立った自分が、弱かったのかもね。コロナ禍で変わったことを取材したり、遠隔でできる仕事を提

「無能」って定義の問題じゃない? - 『今夜もウェブで会おう』 (第10通目)

📧将軍川→梶 ① 梶さんへ 最近、ひろゆきのトーク動画を聞き流しながら仕事をするのが日課になってるんだ。その中で、「有能さ」と「無能さ」の意味について、ひろゆきが語っているエピソードがとても心に残っててさ。 「有能な人」が存在すると、それよりもヒエラルキーの下にいる人は、自動的に無能ってことになってしまうという話だった。 ハタから見ればウチは、たくさんお金を稼いでいない。フリーランスのイラストレーターとしては平均以下、すなわち「無能」の部類にはいる。でも、これは、稼げ

ドイツから60万円がきた! - 『今夜もウェブで会おう』 (第九通目)

📧将軍川→梶 梶さん! スクープだ! 前のメールで、外国人はコロナの助成金がもらえないって書いたけど、あれは間違いだった。 たった今、ウチの口座に5000€が入った。 日本円で60万円。 信じられん。 先日、ウチと同じスタジオのイギリス人デザイナーが「申請したらもらえたよ」ってメッセージを送ってきた。 そもそもドイツ国民しかもらえないもんだと思ってたから、そのニュースには驚いた。 「応募してみなよ」と言われるがまま、ダメ元でやってみることにした。 手続きは簡単だった

「普通のレベル」ってどのへん? - 『今夜もウェブで会おう』 (第八通目)

📧梶→将軍川 最近調子どう? どうも、わたしは「普通」がどんなものなのか、わかってきたんじゃないかと思う。普通っていうのは、自然に周りの人と一緒に居られる状態。「これが普通」って言う線引きはないんだ。 20代前半、1000文字書くのに3日徹夜したこともあったし、身の回りに自分と同じことで悩んでいる人がいなくて、「どこから手をつけていいのかわからない」状態だった。まあ、当時はフルタイムで働きながら、原稿を書いていたけれど、書く仕事一本でフリーランスになるには、ちょっと危な