もう何も滅ぼさない
何もかも滅べばいいなって、思いながら
2年くらい無碍に年を重ねてていたみたい。
母が癌になった知らせを受けても、なんて言っていいかわからない。何をしたらいいのかわからない。
手術して抗がん剤治療すれば治るから大丈夫だと言われても、強がりにしか聞こえない。腑抜けた頭は、「もうきっと長くないんだろうな」ってなんとなく答えを出す。
大切な家族なのに、ここまでつながりが軽薄になっていることになんの危機感も持てず、一つもアクションを起こせない。逆に、このご時世だから帰ってくるなと言われる始末。じゃあ、いいわ、ってなる。俺にできることは何もないので。
このまま息が切れるまで走り続けて勝手に滅んでいけばそれでいい。誰かに止めてほしいと期待しても無駄だし、なにより人間に迷惑をかけたくはない。
存在ごと燃やし尽くして楽になりたかった。消費されるだけの存在だと言い聞かせてきた。
結局のところ、体は一人でには燃えないし、鉛筆のようにすり減ったりもしない。当たり前だけど、しぶとい。
頭ん中ではとっとと滅んで欲しいと思っている割に、鏡をみるといつも眼がギラついてる。これ以上叶えたい願いとか、今更ないだろ。何がしたいんだ。
滅びなければきっといいことあるんだろうな。100円くらい落ちてて欲しいな。それで音ゲーできるし。そういうちっぽけな幸せを諦めていない。そして自分が滅ぶことで不幸になる世界があるってことも自分の眼には見えてるのかも。
綺麗に滅びることは、億万長者になったり、幸せな家庭をつくることより遥かに難しいんだな。泥臭く生きて、ちょっとでも幸せ噛み締めて生きていく方が簡単で楽だ。そういうことにしておこう。
全然まとまらないけど、もう自分も、誰も、滅ぼさない。ここ2日間で、そう思った。
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実家にはおせち贈りました。