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おぼえていること

2016年3月31日 晴

ライブビューイング会場に開演に3時間前に着き、近くのゲーセンでいつも通り鍵盤をしばく。記念に皆伝を受けるが一曲目のperditus†paradisus(A)で失敗。当時のバージョンは23作目のcopula。最後にプレイした「Everlasting Last」 を噛み締めながらゲーセンを後にする。

 夢に届く日まで
いつも理由探していた
キミが描いた地図
ボクラの道 続いていく

温泉で整いながら感想を語り合う。8割腑に落ちてない内容に悪態を吐く。本当にここまでなのかと。人をここまで熱中させておいて、無責任に消えるのかよ、と。荒んだ感情とは裏腹にはしゃぎまくって疲弊した身体は高速バスの狭い座席に沈み込んだ。時間は午前0時を回ったばかり。

2016年4月1日 明朝 曇時々晴

まだ肌寒さが残る新宿に放り出された俺たちは、とりあえず浅草を目指すことになった。あえてオタクの多い秋葉原を避けたかった意図があったような気がする。

スカイツリーを遠くに望みながら、隅田川沿いを歩く。昨晩の荒みは消え去り、素直に東京観光を満喫していた。この後起こることから逃避するかのように。

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2016年4月1日 昼 曇

奇抜な格好をした人間が集う神社は、色んな意味で息苦しかった。ふつふつと沸き上がってくるアドレナリンのせいで、息苦しさもまた心地よかった。満開のソメイヨシノに囲まれながら、神に祈ったことは詳しくは覚えていない。

下山し、万世橋のガード下のビール屋で腹ごしらえ。成功を祈り、盃を交わす。感情の波とほんの少しのアルコールでふわふわとした意識のなか、ステージへと続く道を往く。酔い止めを飲みながら山手線に乗車。雲は次第に重なっていき、太陽を完全に覆っていた。

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2016年4月1日 昼 曇

世界の終わりを感じながら、否、世界の終わりを望みながら、目の前のドーム状の建造物を望む。全てが終わったら、23区を覆い尽くす大きさの隕石が都内に墜落して、何もかも終わりにしてくれたらいいのに。
再会を誓い、拳をぶつけ合う。たった一年足らずの総決算をいよいよ迎えようとしていた。

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2016年4月1日 夜

ありがとう。

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2016年4月1日 21時 雨

雨は全てを洗い流す。撃ち落とされた祝福の桜は、全てアスファルトの染みとなった。世界は一旦、滅んだ。滅びる前に、両親や友人に、できる限り「ありがとう」と伝えたような気がする。

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2016年5月14日 晴

名古屋のとあるビルの4Fで、

世界は再び息を吹き返す。

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にうむ