【全文公開➁】◎カジノ用地不正値引き疑惑/大阪市〝賃料増額〟とウソ/契約内容は安値固定/宮本岳議員が日曜版示し追及=2022年11月6日号
不正や虚偽があってもカジノ開設を認めるのか―。大阪カジノの安すぎる用地賃料をめぐる不動産鑑定評価の不正疑惑(日曜版10月2日号)を日本共産党の宮本岳志衆院議員が国会で追及しました。大阪市による審議会での虚偽説明や、鑑定業者による基準違反など新事実も暴露。府市が国に提出したカジノ開設申請の大前提が崩れています。
本田祐典記者
※肩書や今年・昨年などの表記は掲載時点
松井一郎市長(日本維新の会顧問)らが推進する大阪カジノの不正は〝底なし〟です。
宮本さんは10月27日の衆院総務委員会で日曜版記事を配布し、府市がカジノ開設申請(4月)の重要項目に記載している用地賃料に「大きな疑惑が持ち上がった」と指摘。開設を認めないように国に求めました。
宮本さんは質疑で、新たに突き止めた市や鑑定業者の不正を次つぎと告発しました。
一つ目は、安い賃料を承認した市不動産評価審議会での〝虚偽説明〟です。市は、賃料を増額していくとウソをついていました。
宮本さんが入手した審議会議事録(2019年11月13日)には―。
市の説明通りに増額すれば、35年間の賃料は数百億円規模で増えるはずです。
実際は安い賃料で固定し、改定は物価上昇分だけ。この契約条件は、審議会6日後(同年11月19日)の市戦略会議や、翌日の府戦略本部会議の資料に明記されています。
二つ目の不正は、鑑定評価書の〝基準違反〟です。安い賃料になる特別な条件を設定しながら、その根拠を記載していません。
19年に市の依頼で鑑定評価した4社は、カジノリゾート計画を「考慮外」とする条件を設定。ショッピングモールを想定して賃料を安く算定しました。
こうした条件設定について、国の不動産鑑定評価基準は「妥当なものであると判断した根拠を明らかにする」と定めています。
ところが4社中3社は妥当性の根拠について記載なし。残る1社は「依頼の背景は…貸料を算定する参考とするため」などと記載するだけで、説明になっていません。
不正で安くした用地賃料は、府市が国に出したカジノ開設申請の大前提になっています。用地の確実な取得を求める審査項目「要求基準4」に対し、この賃料で基準への適合を主張しています。
要求基準は「満たさないと認定しない」(国土交通省)という最重要項目。宮本さんは「不正や虚偽があって、そのまま認定できるはずがない」と指摘しました。
安値正当化の〝虚偽記載〟も判明
編集部の調べで、さらなる市の不正が明らかになりました。鑑定評価書に記載がないにもかかわらず、安い賃料を正当化するような主張を「鑑定評価内容」として市不動産評価審議会に提出した〝虚偽記載〟です。
賃料を承認した19年11月審議会の記録(諮問調書)によると、市は実際の鑑定評価書を提出せず、評価額が同じだった3社の結果をまとめた「鑑定評価内容」を配布しました。
問題は、このうち2社の「鑑定評価内容」に、カジノリゾート計画を「考慮外」として安く評価した理由を市が書いたことです。
カジノリゾート計画で上昇する土地の価値を含めた賃料をカジノ事業者が負担するのは不適切という主張。もう1社の「鑑定評価内容」にも、ほぼ同じ記載があります。
実際の両社の鑑定評価書に「循環論」などの主張はありません。
大阪府内の不動産鑑定士は「評価書に記載がないのは当然だ」と指摘します。
10月2日号で報じた用地賃料をめぐる不動産鑑定評価の不正疑惑
市がカジノ事業者に貸す大阪湾の人工島「夢洲」内49㌶の賃料(年25億円)を不当に安くした疑いがある。
19年に市が依頼した鑑定業者4社のうち3社の評価額が完全一致。いずれも更地価格「12万円/㎡」、期待利回り「4.3%」、月額賃料「428円/㎡」。
専門家は「偶然の一致はありえない。不正な〝評価額談合〟だ」と指摘。
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