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僕のようにはなるな〜未来の武者生に送るOBの言葉〜

今や日本一の海外インターンプログラムとすら言われる武者修行プログラム。早くも大学1,2年生のうちからそのプログラムに参加しようとしている若き才能たちに向けて,(なぜか僕が)数多いる優秀な武者修行卒業生を代表して「大学1,2年生のうちからしておくべきこと」と題した講演をする機会を得た。これはそのプレゼン原稿。

自己紹介

新しい人と知り合うとき,当然だが人は自己紹介なることをする。特に近頃は,COVID-19の騒動で全国各地の学生と知り合う機会に恵まれ,自己紹介について嫌でも考えることが増えてきた。

自己商機亜

大学生の自己紹介では,よく「○○プロジェクトの〜〜」「△△をしている」と言ったような,自分の所属に基づいた自己紹介がなされる。僕は常々こういった自己紹介には違和感を感じており,実験がてら今回の講演では敢えてそういった実績羅列式の自己紹介をしてみた。幸か不幸か僕は効率よく70点をかき集められるタイプなので,そういった自己紹介は好きではないけど得意なのだ。すると,やはり聞いている皆の雰囲気が堅くなっていくのを感じた

Doing とBeing

というのも当然のことで,学生の段階での所属や実績はたいていの場合その人自身を表す自己紹介ではあり得ず,そこから生まれるものはただのマウンティング合戦でしかないからだ。○○に所属していてもその団体では何一つしていないかもしれないし,△△をしてきた,というものも多少はその人自身の自己紹介に近づくのかもしれないが,いくらでも良いように言うことは出来る。そもそも,ほんの一握りを除けば,学生の間にしてきたことの差異なんて,社会人と学生の差異に比べたらなんてことはない。大切なのは,その人がどんな趣味を持っていて,どんな価値観を持っていて,将来どんなことをしたいと思っている人なのか,といったその人のBeing。そこがはっきりとしていることが何よりも大切だ。そんな話を始めにした。

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先ほど述べたBeing(内面)と対の概念とされるのがDoing(行動)。これは武者修行プログラムの中でもとても重視される考え方で,Beingが整っていない状態でいくらDoingを積み上げようとしたところでろくな Doingは生まれない,と言うものだ。もちろんビジネスを学ぶことの出来るプログラムではあるが,究極的には武者修行プログラムの本質は「Beingを鍛え上げるプログラム」であることなのだ。

そこで作られた「Being」は後になっても必ず生き続ける。言うなれば,武者修行プログラムは,そういった社会でやっていくために必要なものを装備する,「スタート地点」のようなプログラムだと思うと良いだろう。

すたーtp

因みに僕がコアメンバーとして運営をさせてもらっている「楽し樹」というリベラルアーツのオンラインコミュニティも,「心を育む」をモットーにして立ち上がったコミュニティだ。興味があれば是非声をかけてほしい(宣伝)。

「人と働く」ということ

よく言われる話だが,「学歴」と「ビジネスでの成果」は必ずしも相関しない。実際僕が武者修行に行ったときのチームは学歴的にはかなり強い方だったが,結果は優勝ではなかった。ビジネスは学と違い,一人で成し遂げることの出来ないものである。そこでは,「人と働く」と言うことが求められる。ビジネスで成果を出すには,学歴よりも大切なものがあるということだ。それは何か?

ところで,少し話が逸れるが,最近僕がはまっている「キングダム」という漫画があるのだが,ご存じだろうか?秦の中華統一を描いたこの物語,第456話にて渕さんという一見取り柄のないキャラクターが,とある作戦にてものすごく大切な役目を任されるというシーンがある。当然隊員たちからは不満の声が上がる。なぜ渕さんなのか。そう問われた隊長信は,迷うことなくこう答えるのだ。渕さんには,他の誰よりも抜きん出た一つの素質があると。それは...。(出典:キングダム(原泰久))

責任感1

そう,「責任感」である。この場面では,どんな秀でた能力を持っているよりも,誰よりも強い「責任感」を持っていることの方が重要だと判断されたのだ。これは大変示唆に富んだ話で,ビジネスの世界でも全く同じことが言えるのである。どんな困難においても人任せにせず,自らの力で解決しようとする力。これを武者修行プログラムにおいては「自走式エンジン」と呼ぶが,この力があることが,ビジネスという人と働く場においては何よりも大切なこと。そして,武者修行プログラムをはじめとした場で自走式エンジンを搭載し,その後も意識的にそれを磨くことの出来る場に身を置くことが大切なのだ。

エンジン

人生のミッション

さて,ここまでで「Being」が大切であること。具体的には「責任感」を持つ経験をすることが大切であることを述べてきた。では,責任感があればそれで十分なのだろうか。あと一つ。何よりも大事なことがあと一つ残っている。お得意の武者用語を用いるのであれば,「人生のミッション」なるものである。

ミッション

様々な経験をする中で,自分がどのような価値観を持っているのか。どういったことを自分は最も恐れているのか。そこから,自分はどのような世界を作りたいと思っているのか。「人生のミッション」は何なのか。これらが具体的であればあるほど,皆はやりがいを持って,幸せに生きていけると思う。共感できるものであればあるほど,皆を救ってくれる多くの仲間が現れるだろうと思う。それくらい大事なこと。

対話の力

「人生のミッション」を深めるに当たって,何より大事なのは「人にぶつけること」だ。抽象的なものであっても,「とりあえずこういうことがしてみたい」ということをとにかく発信し続けていくことだ。自分のSNSでも良いし,それがやりづらければどこかのイベントに出てみるのも良い。他者と自分の対話の中で,新しいものが生まれていく。少なくとも僕は,発信し続け,見つけた機会に飛び込み続けたことによって今回のカフェ運営・海外ボランティアをはじめとした色々な経験に出会った。自らの「人生のミッション」を腑に落ちるまで考え続けられた。


対話

グローバルな人材に

今の話は,言うなればとにかく異なる価値観に触れる中で,メタ認知共創を通して自分の「人生のミッション」を深めていく,ということだ。それで言うのであれば,「海外に出て行くこと」もまた自らの人生経験として必ず良い影響を生むものとなるであろう。

グローバル

大切なことは,①異なる文化との比較の中で自分を客観的に捉えられるようになること(メタ認知),②他者との関わりの中で新たな自分を作っていく(共創)ことの2点をきちんと意識することだ。これらが完遂されれば,旅武者で言うところの「グローバル( =いかなる環境でも成果を上げ続けられる)人材」になるための「本質的な( =再現性のある)学び」を得て,他ではなし得ない,人としてのかけがえのない成長を遂げることが出来ると思う。この辺の話が難しければ,まずは一度変態前夜祭(事前研修)だけでも受けてみて欲しい。大抵そこの内容に準じているので。

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「仮決め」の考え方

さて,ここまでは何が大切なのか,と言う話を延々としてきた。すると,「では具体的に何をすれば良いのだ?」となるだろう。もちろん武者修行プログラムはそれに向けてとてもオススメのものであることは間違いないが,先ほども述べたとおりそれはあくまでスタート地点である。その先続く長い道を,皆は自分で選んで進まないと行けない。そこで現れる道は人それぞれであり,「これをするのが正解だ」といったものはないのだから,結局「頑張って情報を集めよう」という身も蓋もない答えになってしまうのだが,一つだけ伝えておくべきことがある。

それが,「仮決め」という概念である。名前の通りであるが,例えば下のような分かれ道に差し掛かったとしよう。皆には,とある会社でインターンをする,という道もあればインターンはせずに大学の勉強を頑張って良い成績を修めるという道もある。(他にも色々あるだろうが,)大切なことは,どちらの方が凄いと言うわけでもないということだ。だから,迷ったのならば,とりあえず適当にどちらか決めて全力で進んでみよう。「違うな」って思ったらその時また戻れば良い。仮に違ったとしても,皆は「その道は自分には合っていなかった」という大切な示唆を得たことにになる。Doing(実績)ばかりを気にしていたら,失敗が怖くてなかなかそうはできないが,Being(中身)の成長が大切であると知っている皆が,何を迷うことがあるだろうか。だから,どちらでも良いからとりあえず頑張れば,それで良いと思う。

分かれ道


最後に

かくかくしかじか偉そうなことを書いてきたが,これらの多くは僕がこれまでの人生で出来なかったな,と思うからこそその大切さがわかることなのである。だからこそ,話をまとめると「僕のようにはなるな」。僕のような人間が少しはまともな方に踏み出せたのは武者修行に行った3年の夏だった。皆はまだこれから長い学生生活が待っているから,今のうちから少しでも今日の学びを実生活で活かしてもらえたら,それ以上に嬉しいことはない。そんな風に切に思う。(別に武者修行に参加しなさいと言っているわけではなく,最善の選択ができればそれで良い)

ところで,プレゼンでも最後に載せたが,下に記すのは僕が愛してやまないあだち充シリーズの代表作「タッチ」の主人公,上杉達也の言葉であり,僕の座右の銘でもある。あまり関係ないけど,載せたいから載せてみた。そんな感じ。


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