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あいうえお作文【こさ】

小雨がぱらついた後の朝焼けの中

雨滴きらめく草で覆われた川沿いを

フラフラと一人の男が歩いていた。

この男、疲労困憊している訳でも

腹を空かして意識が朦朧としている訳でもない。

この男はただただ


ご機嫌に酔っぱらっていた。



「クケケケケ(笑)いやあ、やっぱりあいつらと飲むのは楽しいな、イテテテ笑うとまだ傷口が傷む」


~この男をご存じの方へ~

いつもお読み頂きありがとうございます。


変な笑い方さえしなければイケメンちょい悪オヤジ
のこの男…。

名前を喜次士郎という。

仲間内では「きじ」と呼ばれ英雄になる夢を持ち続ける陽気なおっさんである。

英雄になる夢を持ち続ける『いぬ』と『さる』という二人の仲間がいて月に一度、三人の活動報告会がある。

いつも楽しさのあまりついつい飲み過ぎてしまう。

昨晩は二人が帰った後も店に残って飲んでいたら
寝てしまった。

気づいたら店の外で朝を迎えていた。
おそらく店を追い出されたのだろう。

その日の帰りの出来事である。


きじが雨滴を両手に集めて渇いた喉を潤していると…。
川上から何やら二つの丸い影がユラユラと揺れながら近づいてきた。

「ん?なんじゃ?ありゃ?」

目をこすって見てみると、
大きな桃と大きな林檎が流れてくる。

「桃?林檎?デカイぞ!クケケケ」

ーははあん何かの罠だな。ー 

きじはすぐにピンと来た。

きじは事件を解決する事が好きである。

「きっと奴は攻撃して来るぞ!!クケ」

ときじは身構えた。奴とは?きじの妄想である。


しかし、二つの果物はきじの目の前をただただ流れて行った…。


「?ちょっ!!待てよ!!話がちが~う!!」

~なんの?~


きじは慌てて二つの果物を追いかけて川に入った。

「まて~桃!林檎も待って!!頼む!!ちょっと速いよ!!」

けして、速くは無かった。
ドンブラコドンブラコだが、千鳥足の酔っ払いには速く感じた。


「絶対!!『いぬ』と『さる』に自慢した~い!!クケケケケ

だから僕を待って! 待って!
きっと巡りあった僕らは奇跡なんだ~♪」

歌声が届いたかは定かではないが、桃が川岸に引っかかった。

「おー、俺の能力開眼か?すげえクケケケ」

きじは桃にフラフラと駆け/寄り掛かった。

~酔って走るのはおすすめしない。~

「うぇっ、気持ち悪。でも、俊足で捕まえたぞ!音の速さで流れる桃と林檎、二つ同時に捕まえるのは流石の俺様も無理だったか。
クケケ。」

そう言って直径1.5㍍はある桃を川から引っ張り出した。


「しかし、なんと大きな桃よ。
たしか叩いて音が『ポンポン』だったら熟してるんだったな」


~それはスイカである。桃にはやらないように。潰れてしまう~


きじは桃を叩こうとした…。

その時。『桃太郎』の絵本の絵のようにキレイに、パカッと桃が割れた。


中からはウルトラマン坊やが…。


~ウルトラマン坊をご存知の方~

本当に、いつもいつもくだらない私の記事を🐻なく、いや隈無く見て頂きありがとうございます。


実在する生き物は

どちらも違います。

出てきません。


大きな桃が、割れて出て来たのは可愛い赤ん坊でした。

独り身なのに子煩悩なきじは大興奮です。
赤ん坊に話かけました。

「クケケケケどっからきたんでしゅけ?
かわいいでしゅねえ、どこに行くとこだったんでしゅけ?
おじさんとこ来ましゅけ?」

「…」 赤ん坊は返事をしない。


赤ん坊の背中には小さな羽が生えていた。


「羽が生えてるんでしゅね。カッコイイでしゅね」


「…」 赤ん坊は反応しない。


「桃から生まれたから名前は桃太郎くんでいいでしゅね!」

赤ん坊は明確にかぶりを振った。

名前は後にして、きじは家に連れて帰ることにした。

「一緒にきましゅけ?」

赤ん坊は両手を広げ抱きついてきた。



~この赤ん坊を知っている方~

名前は『てん』ちゃんで問題ないですよね。




【さし】につづく

※分からなくなって間違えたりしないように
【さし】からは文字をダブらせずに、
さし→すせ
と進むことにしますのでご了承下さい。


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