映画大好きポンポさん

「ポンポさんの映画化がきったぞ~~~!」


はい。公開初日に見に行きました。初日をめがけて観に行ったのは「天気の子」以来です。※なんやかんやで投稿タイミングを失っていた。

自分は

・原作大好き(でも3巻は未読)

・ストーリー進行より、価値観やメッセージ指向

・「コンセプト」という言葉が好き

・根が暗く、アニメ化や実写化に過度の期待はしない


ので、映画化については

「劇中劇を映像で見てえな~」

と期待して観に行ってました。


この点については良かったですね。

ブラドックが屋根を直すシーンや、ナタリーのアリアも観れて、満足満足。

ついでにMARINEも観れて、セクシーなミスティアが拝めて満足。

予告はこちら。



とりあえず、原作を読んでいない人は無料で30分くらいで読めるので、まずはそこからだ。無料で読めるマンガとしては一番推しているのがこの作品といっても過言ではない。まずは読んでくれ。


映画狂の熱にあてられてから、話をしようじゃないか。

タイトルで嫌煙している人にワンカット出すと、こんな雰囲気の映画マンガになってます。好きなカットを2つだけ抜粋。

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以下では、原作を読んだ上で映画のネタバレをしながら進めていきますよ~~


【以下、ネタバレ注意!】







はい。

映画は正直、評価が難しいと思いました。お金分の価値はあったのだが、難しい・・・



序盤は原作のストーリーをなぞっていていた。

ただなぞるだけじゃつまらないので、映画の表現技法を駆使して、映画にしかできないことをして、原作と差別化していた。

「なるほどね、こう来たか」

みたいな気持ちで観てました。「飽きさせない」ってのが序盤のテーマだったんでしょう。



ちなみに、効果音(SE)がちょっと大きめなのが気になったかな~

少しだけやかましいなと思ってしまいました。


ストーリーでいうと、演出の節々がちょこちょこ変わってましたね。

ジーンはオーディション前にナタリーを見かけて、運命的な感じになってるし、ミスティアのストイックさは腹筋でしか語られず。

ポンポさんはキャラが立っているので、どう扱っても大差はないだろうけど、MEISTERの脚本を見せるシーンでは謎に付箋を貼ってましたね。

あそこでポンポさんのおちゃめなところが観れるのが原作だが、映画ではポンポさん、一貫して最強キャラになってますね。



でも大筋は変えずに、そのまま原作をなぞるのかなーと思っていたら、映画オリジナルのアランが出てくる中盤あたりからかなり変わってきた。

まあオリジナルキャラが出てくるのは知っていたし、ちょい役かな~とか思ってました。

※アランについてはあとでまた語ります。




☆最大のネタバレ要素が以下☆






んで、撮影後の編集シーンから、全く流れが変わります。ここからは完全に映画オリジナル。

ジーンは編集に苦戦し、追加シーンが欲しいとダダをこね、ポンポさんは怒り、金がなくなって映画プロジェクトに危機が訪れる。

それを心配して支えるナタリー、友人の力になろうとするアラン・・・



私の気持ちは

おいおい! 完全に別物じゃねーか!?

当然原作より面白くするんだろうな???? な???

という気持ちでいっぱいでした。


原作を読んだ方はわかっているが、この編集シーンはあっさりと終わり、いかにジーンが映画狂であり天才であるか を描く大事なシーンだと思っています。


全くといっていいほど悩まないんですよね、ジーン。

彼は狂った天才なので。

(いかにヤバいかは、原作のポンポさん2,3を読もう。すごいぞ)

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映画ではその異常性が完全に薄れてましたね。

「なんだ、人の子か」みたいな感じでした。

あとナタリーとジーンの関係に安っぽい恋愛の雰囲気を入れるな! とも思いつつ。あそこは運命共同体ではあるが、お互いへの思いやりとかあるのか? と思ったり。むしろそれをするなら、序盤のバス内からミスティアを見つけた時のジーンの感動が薄いなぁ・・・とか思っちゃたり。

原作だと完全にジーンはミスティアが相手なのでねぇ(諸説あり)

「いやー、ポンポさんみたいな規模のアニメ映画でも、けっこうストーリーに手を入れるんだな」と正直思った。それくらいには大きく変わっていた。てっきりコアな原作ファンをホイホイする映画になると想像していたのでね・・・



いやーしかしね、映画にはね。

圧倒的に「暗さ」が足りない。


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何より、ミスティアが普通の美人お姉さんになっていて、ちょっと残念に思っている。最初にサプリと栄養ゼリーを飲んでいるシーンとかも無くてさみしかったなあ。俺はミスティア推しだけど、彼女も十分狂っているからね?

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その狂気を説明する時間が、アランに割かれてしまったのだちょっとさみしい・・・最後のほうに、ジーン監督との共演を匂わせていたりするのもね・・・(詳しくはポンポさん2巻とフランちゃんを読もう! 原作ファンには買って後悔させない内容になってるぞ!!)


あと、ポンポさん原作の大きなテーマである、「社会のはずれ物に対する救済」をするための、とがっていた人の良さや輝きがちょっと薄れているかな~と。

その象徴がアランだな、とは思うところ。


彼の登場以降、映画の文脈で言うと、主人公は完全にアランでした。

過去に見下していたヤツ(ジーン)が力をつけて、やりたいことをやっている。でも自分は・・・どうだ? みたいに葛藤するんですよ。

ここから、日常への不満を吐露し、現実の上手くいかなさに葛藤し、友(だと勝手に思っている)相手の障害をクリアし、人間的に成長する、というね。

これを主人公と呼ばずに、なんと呼ぶ?

彼が主題を持っていきましたねぇ・・・これで主軸は

「現実に迎合した人が再び熱さを取り戻す」

みたいな流れになりました。

もう、原作の流れをくんだストーリーと、ターゲットが変わっているのだ


映画化ってとても難しいのが、いかに原作のメッセージを受け継ぎながらやるかってところと、原作の映画に対する熱いメッセージに、どう返答するか? ってところだと思うんですね。

ポンポさんは特にメッセージが強いし、それが映画に対するものなおんでなおさら大変だとは思ってまして。


それの返答に対しては

「世間に迎合してしまったのかなあ・・・」と悲しくなり

「本当に届けたい人が、あなたには想像できていますか?」

とは、問いたくなってしまいました、僕は。

届ける相手は原作と違ってもいいけど、届けたい相手を明確にする、という点は一緒にしてほしかったなぁ、と・・・

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なんやかんや言いましたが、映画表現的に「面白い」のはその通り。

映画通が見ながらニヤニヤできる表現や工夫はたくさんちりばめられているので、映像として飽きはしないとは思う。

逆にちょっとやかましかったり、映画表現に偏ってしまって、登場人物の表情や感情がちょっと伝わりにくいかな~と思ったり・・・



結論

原作を観た人へのご褒美って感じはありました。
ただ、映画として完結した面白さではなかったように思う。悲しいが。


原作が好きな人は、劇中劇には期待できるぞ! 

狂ったのが好きなら原作の2巻目を読もう! 存分にジーンが狂っているぞ! ミスティアがかっこいいぞ!

原作キャラが好きならフランちゃんを読もう! 映画では終盤に端役で出ていたフランチェスカ、彼女はかわいいぞ! というか原作はやっぱりすごいぞ。


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