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【表現評論】メモリーズオフ 想い出にかわる君 コアレビューその9 深歩ルート1【全作再プレイシリーズ】

●メモオフシリーズ、その他作品、様々なネタバレが含まれます。

⚫︎前回の記事

⚫︎役にたつこと

音緒さんがカフェでバイトできるようになったところから。音緒と深歩からお礼の電話が別々にかかってくる。ここで深歩の気になるセリフがひとつ。

「えっ? あたしも、役に立ったの?」
「もちろんだよ!」
「ほんとう?」
「うん!」
「てへ♪ ありがとう、ショーゴ君って、やさしいね?」

想い出にかわる君

普段車椅子の深歩にとって、人の役に立つというのは、人生のテーマなんじゃないでしょうか。ただね、このシナリオ残酷なんだよね。今でも覚えてるくらいだもん。

⚫︎音緒の魅力とは何か

音緒はDC版のパッケージヒロインなわけですが、割と空気ですよね。これといった特徴がない。悲しき過去があるわけでもなく、特殊技能があるわけでもなく、変な語尾があるわけでもなく、シナリオのコアに絡んでくるわけでもなく、幼馴染でもなく、過去の因縁もない。ザ、普通。妹とセットだとちょっと電波を発するくらい。特徴といえば、掲示板を荒らしまわっていたという実績くらいですが、う〜ん。みんなから持ち上げられるほど可愛いのが特徴なのか。二股かけられてるのに、3回に1回でいいから、みたいなセリフもあった気がするので、メモリーズオフ唯一の浮気許容系ヒロインとも言える。これは魅力なのか。

⚫︎お花に詳しい深歩

花嫁が身につけると幸福になるもののひとつにサムシング・ブルーなるものがあるらしいです。近所の結婚式を見に行くと、深歩がブーケの中にブルースターという青い花が入っていることを教えてくれます。ひとつ賢くなったな。民明書房じゃないよね?

深歩は独特の感性の持ち主で、ウェディングドレスは一枚布に花を飾りつけたものを着たいと言っています。姉にすぐ枯れるやんと突っ込まれますが、すぐ枯れるからいいんだよと譲りません。音緒さんは結婚式に憧れがあるようです。豪華な結婚式やらなかったら100年くらい文句言ってきそう。

⚫︎カナタの回想

隙あらば挟まってくる。未練がましい男やで。そんな女忘れちゃってよ。テンチョーと付き合ってんだから。

⚫︎シンのホームページ

レトロってレベルじゃねーぞ。レベルじゃねーぞもレトロです。旅サイトで行った国を赤く塗ると言ってますが、まだインドだけ。シンメモの時はどうなってるのか。

ついでに音緒と深歩のホームページも作ってます。問題のや〜つ。

⚫︎トビーに突っかかる主人公

何かと絡みに行く男。明らかに馬鹿にされてるからね。自分に正直に生きるべきであるという、トビーの価値観だと、一番許されない人間だろうから、全くソリが合わない。扉さんは主人公と言い合いした後、無駄に時間を使ったせいでデカい仕事がポシャったと言ってますが、何の仕事をしてるんですかね。

⚫︎深歩とトビー

深歩がトビーと楽しそうにしてるのを見て、面白くねえなあ! とのたまう主人公。男の嫉妬はおそろしぃの〜。女の心変わりもおそろしぃの〜。聞いてるかカナタ。シンさんが言ってましたわ。信じゃなくてシンね。

その後深歩と偶然遭遇。なんかポエミーなことを言って去っていきました。つばめとは違うほんわかポエミー感。

⚫︎深歩からの手紙

詩が書いてあります。いい詩ですやん。普通に成長過程を描写してるようにしか読めないけど、主人公一味は??? 状態です。音緒さんは深歩ってちょっとおかしなコでしょ? と言ってのけます。普通のことは書けないのかと。って言われても無理ですやん。詩人ってそういうもんだし。手紙は4枚だけではないようで、トビーの手紙が抜けているらしい。

⚫︎ネカフェの謎店員

〜の方、を連発する電波店員。伏線でもなんでもない、変なだけの人だったような気はする。

音緒と深歩のホームページは深歩の方だけ何にも反応がないので、主人公が仕方ねえなとサクラコメントを打っています。この時代の平均的なネットリテラシーが見て取れる。ついでにシンのホームページにも女のフリして書き込んでます。カタクラッキー⭐︎フミというハンドルネームです。これがシンのお世話になった先生に偶然似ていたということで、後々ややこしくなる。

⚫︎自分を省みる深歩

あたし、おかしなこと言ってるかな、と連発してます。おかしなことを言ってるのかもしれないという自覚はあるけど、何がおかしいことはわからない状態。独特の感性と常識の狭間で揺れているらしい。

⚫︎自演しまくりの人たち

ショーゴ君は一人三役で掲示板に書き込みまくってます。ついでに音緒も花の王子様というハンドルネームで自演してます。深歩さん、この光景見たら泣くぞ。本当に。テンチョーが花の王子様ってやつは、深歩ちゃんの嗜好をよくわかってるね、と言ってますが、そらそうよ。音緒さんなんだから。

トビーがカフェにやってきて、すぐにそっちへ移動する深歩。深歩の謎会話にもトビーは普通に対応してます。女とはうまくやれる男です。

⚫︎昔の女

音緒さんをチャリで家に送っている最中、雨が降ってきて雨宿り。なんか自然とさん付けになってしまう。音緒といるときもま〜た昔の女の回想かぁ〜。と思ってたら、ショーゴ君がこちらの気持ちを察したのか、回想キャンセルされました。もう回想はいいです。はい。

音緒を家まで送ると、深歩がどこか残念そうな顔をしていました。チャリ乗れないからね。そういうセリフがあった気がする。自転車の後ろにだって、乗れないしね、みたいな。悲しい。

⚫︎トビーと喧嘩

深歩とどんな関係なのか質問すると、言いたくねえなと返ってきます。その後、お前本当は輪に入りたいんじゃないの? 素直になれよと挑発してると、他人を尊重するってどういうことか教えてやるよと言われ、いきなり顔面パンチ。殴り合いじゃああ、とはならず、マグローが飛田先輩は足が悪いんですよぉとカミングアウトして、場がしらけて終わりました。

でもこれはなんとなくわかりますね。主人公は以前、他人を尊重するという話をトビーにしたわけですが、他人を尊重したいなら、間違っても輪に入りたいとか言ってはならないセリフですよ。入りたいとしても、いちいちおせっかいで言うのもおかしいというね。トビーにとっては、全ては自分の意思でやるべきことですからね。深歩のためにカフェにスロープつけた時も、深歩がやってくれって言ったのかよ、と文句つけてましたし。自分の意思でやること以外は、全ておせっかい、尊重にはならないと言うのが、トビーの考えのようです。扉くんが出てきたらやたらと筆が進むな。

⚫︎音緒と深歩

花の王子が嫌い、と書き込んでいます。全体的に深歩の電波に付き合いきれなくなってきた感が出てるな。深歩が電波を発信した後の、音緒のセリフ、深歩ってほんとにおちゃめさん! っていうやつ、何回も出てきてますけど、これ内心ブチ切れてる合図なのでは。

自分が変なことを言ってるから場がしらけるのでは、と深歩は疑念を抱いてます。普通はそうだけど、カフェ面子は全員おかしいので、しらけているわけでもない。

⚫︎掲示板荒らし

花の王子様が嫌い嫌いを連呼したり、ばかばかと連呼したり。深歩は仲直りしようとしますが、会話になりません。音緒さん、テンチョーにばかばか連呼してたからな。あれ伏線だったのか。なんだってー!? でも現代のおかしな書き込み見てると、このくらい大したことはないのでは、と思わなくもない。荒らしも高度化しているというね。

⚫︎花火大会

行くか〜という流れになりますが、車椅子なんで無理ですと言われて終わり。その後、偶然静流と小夜美が車で通りかかって、送ってもらうことになりました。この二人もたまには役に立つじゃない。那由多ルートで出てきた時は地獄のようなキャラだったのに。

カフェの面々が大所帯なので、車二台で行くことに。片方は静流で片方はトビーの運転。トビーの商売の話になってるけど、話を聞く限り、ガチモンの犯罪者な気がしてきた。

花火大会での深歩のセリフ。

「……あたしは、いつもこんなふうに、はじっこでみんなが楽しそうに通り過ぎていくのを見てるだけだよ……そんな時、おかしなこと考えちゃう」
「……もう、あたしみたいなお荷物かまうの嫌になって、みんな行っちゃった。このまま、ずーっと、独りで置いてかれちゃうんだな……って」
中略
「…………自転車の後ろにだって……乗れないしね」

想い出にかわる君

あたしだって、ショーゴ君の後ろに乗りたいよと。バイトもしたいし、花屋で働いてみたいと。何軒も回ったけど、どこも無理だったと。いや〜。このシナリオは悲しい。歩けるようになってハッピーエンドとか、絶対にならないのがメモリーズオフなので。

⚫︎ヒロインはいつ主人公に惚れるのか問題

恋愛ゲームなので、ヒロインがどの時点で主人公を好きになったのかは、個人的に重要視されるファクターですが、このルートはどうだろう。よくわからん。想君は多分一目惚れがデフォルトスタンダードなので、考えるだけ無駄なのかもしれない。

と思ったけど、バイトの件で深歩も役に立ってたよというフォローとか、カフェのみんなの前で深歩の考え方を褒めたりしたやつとか、いくつかポイントはありそうですね。むしろ他の面々より簡単かも。沙子は幼馴染枠としても、響那由多は一目惚れ、環は何もかも不明なので、深歩はわかりやすい部類に入る。

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