ビジネスチャットの進化形

今年4月に1億4500万ドルを調達した独Staffbase-従来の統合コミュニケーションプラットフォームと異なる成長の強みはどこにあるのだろうか。

Staffbaseが米国大企業の支持を広めている。欧州系企業だけでなく、米国でもジョンホプキンス大学、医薬品卸大手のマッケソンなどがユーザーになった。筆者が関わるHRテック(人事テック)の観点から、主にSlackなどのビジネスチャット(BC)と比較してStaffbaseの強みを見てみよう。技術的にBCで対応可能な点もあろうが、紙幅も限られユーザー観点で強みを評価する。Staffbaseの設計思想で優れているのは、「会社の文化と経営思想」を軸とし、日々変わる重点事項を踏まえ「コミュニケーションの重点事項」を明確化し、「オフィス外の社員をも含む全社員」に伝達、確認できる点だ。BCでは情報を「チャネル」分類できるが、ユーザーに対して日々の局面で大切な情報への関心を高めるツールとしては難がある。自分もそうだがBCのスレッド内に重要情報が埋没する不満を感じるユーザーは多い。例えば天候上の警戒が発令され「業務上重要な指示」を出すとしよう。重要な指示をユーザーが理解したことの確認、関連する業務遅延や事故の報告、不慮の事態への対応方法の共有等も必要な時局がある。これらを一覧性高く情報即応できる点にStaffbaseの強みがある。事故報告書作成や安否報告のボタンを組み込むこともでき、BCでのメッセージの連発とは違って、業務フロー上、質的に高い情報交換の機能性を発揮する。危機対応を例に挙げたが、一般的に、特に事務所外の社員の現場では、「指示の確認と結果報告、関連事項のフィードバック」は業務フローの基本であるが、BCはこのような指示確認報告のフローをなぞる目的で設計されていない。Staffbaseは一言でいえば、「現場での使いやすさ」を踏まえ「業務フローに沿ったコミュニケーションの質的向上を狙えるツール」である。ユーザーは機能性の質的向上を求めており、今後の成長の強みになるものと思われる。

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