ロボ・アドバイザー (ウエルスナビ)

ウエルスナビの成長は注目に値するが成長持続性は不透明だ。以下、日本人の投資耐性からみたロボアドバイザーの強みと弱みを見てみよう。

チャネル戦略
ウエルスナビの特徴はマーケティング戦略だ。三菱UFJ、横浜、イオン等の他、ネット銀行、ネット証券など8社の有力チャネルがある。顧客年齢、余資の規模、運用選好、リスク耐性度は様々だが、広いチャネルがあれば、ウエルスナビに関心を持つ顧客獲得は比較的容易なはずだ。銀行の投信等の対面販売では、運用成績悪化のクレームなど苦渋を舐めることは多い。しかし、顧客の自主的選択で6つの質問に答えれば10万円から口座開設できる利便性提供と、対面販売の現場負担が削減できるウエルスナビ推進は一石二鳥の提携戦略だ。

長期的分散運用への理解
「国際分散運用と自動最適化調整」は長期的資産運用に必要なスタイルである。しかし、短期的資産価値の増減に一喜一憂する投資家はこれには向かないので、ウエルスナビ利用者にも、途中解約をする投資家は一定割合いるだろう。しかし、長期的国際分散運用の必要性を理解し余資運用にのみ使う投資家層の確保は、上記チャネルから一定程度可能と思われ、成長の余地はある。

低い投資耐性
根本的問題もある。少額資産投資家は「運用の基本概念とゴール観」が無いことが多く、市場暴落に対する耐性は低い。運用アドバイザーの対面サービスを省いたロボアドバイザーの特徴が、長期的に必ず来る暴落局面に根本問題として牙を剥く危険性はある。口座開設時の慎重な投資耐性診断が重要であり、リスク説明を強化した場合に、成長阻害要因となる懸念はある。

金融資産多様化と長期投資への移行はマクロ的に必然だが、男性545万円、女性293万円という日本の平均所得で、長期的運用に回せる余資は小さい。リスク理解を徹底し、税的恩典がある積立NISAもある中でウエルスナビを選好する投資家層がこれからどれほど増えるか、成長は青天井ではない。

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