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【第3回】勘違いや知られていないことが多い医療法人の基金について徹底解説

前回は経過措置型医療法人の出資持分について解説いたしましたが、今回は出資持分と同じように法人設立時に拠出されることが多い基金について解説いたします。

平成19年4月以降に設立された出資持分のない医療法人の多くは基金を拠出する基金拠出型医療法人ですが、基金については勘違いしている方や、よく知らないという方が多いと思います。
医療法人について書かれた書籍でも基金について軽く触れる程度で、詳しく解説していないからです。

前述したように基金拠出型医療法人は平成19年4月以降に設立されていますが、既に約17年が経過しているので、最近になって基金の返還に関する相談が増えてきました。

その中でも多い相談は下記の2つです。
基金は基金の倍以上の純資産額がなければ返還されいないと聞いたが本当ですか?
多額の基金で法人設立をしてしまったのでいつまで経っても基金が返還されず困っています。

しかし、上記はいずれも単なる勘違いなので、基金より多い純資産額があれば、基金の返還は可能です。

また、平成19年4月以降に設立された医療法人の中には基金を拠出して設立しているのに定款に基金に関する規定が無いところがあります。
この場合の基金の取扱いについて相談されることもあります。

さらに医療法は何かと問題が多い不完全な法律です。
たとえば前回解説した出資持分はその代表例といえます。
なんせ医療法では剰余金配当禁止と定められているのに、厚生省(当時)は医療法に矛盾する出資持分払戻と残余財産分配を認めたくらいです。

ちなみに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、本稿において「一般社団法人等法」と書きます)では「社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しない。」(第11条第2項)、「設立者に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定め」は効力を有しない(第153条第3項第2号)と、社員や設立者への分配を明確に禁止しています。

医療法人の出資持分については昭和25年の医療法改正まで話が遡るのでモヤモヤ感があるのは致し方ないと諦めるとしても、平成19年の医療法改正で新設された基金にもモヤモヤ感があります。
有料記事ではまず基金に関するモヤモヤ感について詳しく解説いたします。
法的に基金がどういう扱いになっているか知ることはとても大切だからです。


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