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「YAMAHA カスタム(L-51〜L-54)の話」

 「終活ギター アコギ庵」「アコギ弾き比べサロン アコギ庵」です。
 アコギ一筋54年。アコギの終活をやろうというオッサンが、《何かアコギ好きのためにできることはないか?》というところからスタートしました。アコギ好きのための”Support and Assist”を目標に、何かしらお役にたてることがあればいいなと思っています。
 そうそう簡単に弾くことができないと思われるギターも、何本か用意しています。初心者の方用、中級者用のギターもあります。とにかく来て弾いていただいて、そこから何かが始まることを期待しております。アコギ好きの皆様とお話しすることを楽しみに、お待ちしております。


「YAMAHA カスタム(L-51〜L-54)の話」
 YAMAHAのアコギの中で最高峰と言われ、もはや伝説のようになってしまっているカスタムシリーズ。L-51〜L-54の四つのモデルがあり、それぞれ違うコンセプトで製作されました。オーダーメイドで様々なデザインのパーツを選ぶことができました。当時もそう言われていましたが、全く採算を無視して製作されていたとしか思えません。本当に贅沢なオーダーシステムでした。(1975年11月から1980年7月まで)

当時のカタログから

 自分も1本オーダーしましたが(L-54)、注文から完成まで8カ月ほどかかったことを覚えています。(ラベルに1978年2月と書かれていました。)当時ギブソンのダブに憧れを持っていました。そのサイド・バックがメイプルだったことと、ピックガードのデザインが似ていたのでL-54でオーダー。どうせなら可能な限り豪華にしてやろうと、サイドにもアバロンを入れてもらうことにしました。基本モデルのトップとバックのボーダーはバイアス柄のアバロンでしたが、それを全てアバロンだけにしてもらいました。サウンドホールの周りも二重にしてもらいました。アバロンの幅が当時のマーチンD-45より太いものだったので、嫌味と言ってもよいぐらい豪華な外観になりました。どうせならこれ以上はない!というのを作ってやろうと思っていたからです。

 この時期(カスタムオーダーができた時期)ならではの「ちょっとやり過ぎ?」とも言えるようなギターだったかもしれません。採算を度外視して、YAMAHAの威信をかけてやっていたのでしょう。オプションの種類もたくさんありました。後にも先にも、こんな豪華なオーダーメイドはないと思います。

 当時の価格は用意されたオプションの範囲であれば、どんな仕様にしても30万円でした。自分がオーダーしたL-54はサイドにもアバロンを入れてもらったので、35万円という価格になりました。当時マーチンのD-45の定価が80万円だったと記憶しています。それを思えば、むしろ安いのでは?という印象でした。

L-55 CUSTOM 1980(三木楽器のHPより引用)

 あれから時は流れ、YAMAHAのカスタムモデルはヴィンテージ市場でとんでもなく大きな存在になっています。特にサイド・バックがハカランダのL-51とL-53は、かなりの価格になっています。L-51の方はもともと人気が無く、最も売れなかったモデルだと聞いています。今ではそのことが逆に希少価値となっているようです。L-53の方は最も人気があったモデルとされ、今現在もその人気が価格に反映していると言えます。

2023年12月6日現在、名古屋アコギ専門店 オットリーヤギターさんの
YouTubeの投稿から引用させていただきました。L-51、凄い価格になっていますね。

 L-51は、今まで一度も弾いたことがありません。タマが少ないこともあるかもしれませんが、何より興味が無かったというのが一番の原因でしょう。もともと音質を重視するというコンセプトで製作されたようですが、その割にヘッドやブリッジ、ポジションマーク等の形状が奇抜すぎて好きになれませんでした。

 L-52は、サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンが弾いている写真を見た覚えがあります。(オリジナルより少し小ぶりではなかったかな?)そのこともYAMAHAのカスタムって凄い!と思った理由の一つです。日本のアーティストではチャゲ&飛鳥の、飛鳥さんが弾いていましたね。カッコ良かったです。

 ポール・サイモンのL-52については、こんな詳しいサイトがありました。びっくりです。

 L-52は2本弾いたことがあります。1本はイマイチでしたが、2本目はよく鳴っていました。その2本に大きな差があったので、「同じモデルなのに何で?」と驚いた記憶があります。

 所有していたL-53は自分のオーダーではなく、量販店がYAMAHAにオーダーしたものでした。ですので、全くカタログどおりの仕様でした。音は良かったです!たぶん自分が弾いたYAMAHAのアコギの中ではNo.1でした。これ以外では、後に限定で製作されたL L-100Dが良かったですね。(今はとんでもない価格になっています。)

L-53 1977年製 自分が所有したYAMAHAの中でNo,1でした。

 L-53はカスタムオーダーが終わり、次のLシリーズに変わってからもL-53Customとして製作されています。人気があった証拠かもしれません。が、この時点ではフラッグシップモデルではなく、No.2の位置付けでした。No.1はL-55Customで当時の価格は45万円。( L-53Customは35万円)

1980年6月のカタログから

 
 1980年までのL-53と1981年以降の L-53Customは、同じグレードではないという認識を持っています。ブレイシングも変更されていたようです。(弾いたこともあります。間違いなくランクは違うと思っています。)ヴィンテージ市場では、そのあたりのことは曖昧にされているような気がします。個人的な意見なので自分の書いていることが必ずしも正しいとは言いませんが、セールスのための説明ではと思うことは多々あります。

今日現在(2024年2月2日)のデジマートでの最高価格のL-53
後期(1981年以降)のL-53 価格にはかなりの差がります。仕様も変わっています。
自分の勝手な感想かもしれませんが、材料のグレードも違うのではと思っています。
前期モデルのブリッジのインレイ、台形のような形です。
後期モデルのブリッジのインレイ、長方形です。
前期のモデル、バイアス柄のインレイ
後期モデルのインレイ、バイアス柄ではなくアバロンのみになっています。

 余談ですが、L-51、L-53とも復刻版が発売されています。
 L-51は2010年に10本限定で、価格は150万円(税抜き)でした。

L-53は2012年に20本限定で、価格は190万円(税抜き)でした。

 どちらも10年以上前の発売ですが、かなりの高額商品です。が、これがもし今発売となると、いったいいくらの価格がつくんだろう?そんなことを考えてしまうのは私だけでしょうか?


 拙い文章をお読みいただき、誠に有難うございます。皆様の感想、ご意見をお聞かせください。 またアコギに関する相談等がございましたら、どんなことでもOKです。遠慮なくお尋ねください。
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