目から鱗の確率論

確率の話について
文責 西川為仁(西川航平)

カードゲームにおいて、確率は非常に重要な要素です。
しかし、この確率についてあまり理解されていない方を見かけるのも珍しくありません。
もちろん、知っていることが偉いわけではありませんが、ある程度の理解があると構築やプレイの際の指針の一つとなることも事実です。
少しこの確率の問題について考えてみませんか?




先日、私の大好きなタレントさんの期間限定マネージャーの面接を受けてきた。

幸運なことに私は最終選考の3人まで残ることができた。

3分の1の確率で受かる!と思った私だったが、その日の帰りに社員さんたちがこう話しているのを聞いてしまった。

「A君は専務の親戚だから、多分彼になるかな」

「そうですね、50%は彼で、残りの半分が他2人のどちらかというところでしょうか」

公平だと思っていた採用面接は、実は私とBさんに不利なものだったのだ!

居ても立ってもいられなくなった私は、会社に電話した。

「3人のうち、私以外で不合格になった人を教えてください。

私が合格なら、コイントスか何かで決めた2人のうちどちらかを答えてください」

「Bさんは不合格です」



・さて、ここで問題です。Bさんの不合格がわかる前と後で、私の合格する確率はどのように変化したでしょうか?

ぜひ一度自分で答えを出してから以下の文章を読んでいただければと思います。










Aさんはやっぱり落ちてないか……しかし、Bさんにあった4分の1の確率がAさんと私に分散されて少しは確率が上がった。

胸をなでおろした私はこのことを友人に伝えたのだが、彼からは驚くべき回答が返ってきた。

曰く「Bさんの不合格を聞く前より西川君が合格する可能性は下がった」というのだ!!!

意味が分からない……呆然とする私に彼は説明を始めた。

考えやすくするため、このオーディションが400回行われる場合を考える。

Bさんの不合格を聞く前の私の合格確立は4分の1なので、私は100回合格する。

では、Bさんの不合格を私が聞くのはどんな場合なのか。

まず、Aさんが合格した場合である。

このときは、不合格者が私とBさん。私以外で不合格になった人を答えるので、この場合はBさんが不合格という答えが返ってくる。

Aさんが合格する確率は2分の1なので、200回この現象が起こる。

次に、Bさんが合格した場合。

この場合は、Aさんが不合格という答えが返ってくる。これが100回起きる。

最後に、私が受かる場合。

会社側はAさんと答えてもBさんと答えてもよい。

コイントスで決めるので、AさんとBさんが不合格といわれる回数はそれぞれ50回ずつである。

Bさんが不合格といわれるのは250回で、そのうち200回はAさんが合格、私が合格するのは50回で、確率は5分の1!!!

確かにBさんの不合格を聞いた後の方が合格率が下がっている。

私はその事実に呆然とし膝をついた。



どうでしたか?
正しい答えを出せたという方は、かなり確立について理解できていると思います。
(論理的思考力も高いと思います)

しかし、多くの方が誤った答えを出したのではないでしょうか。
どうでしょう、いま一度確率について考えてみませんか?



そして、こう思った方もいるかもしれません。
『確率って、考えてたより面白いぞ』と。

もしそんな方が一人でもいれば、これほど嬉しいことはありません。

*本記事を書くにあたり、これらを参考にしました。
『味噌ラーメンの行動経済学』『MENSA会員のための数学』『論理的思考力を鍛える33の思考実験』『教師のための確率論』


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