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想い出の跡なし

一度も言えなかった あの言葉 あの2文字
7年間の片想いだった
8年目に初めてクラスが変わり
自分はケガでリハビリと入退院
ケガを機にイジメにあった中2だった
そうしたら いつの間にか 片想いを失くしていた
なぜ失くしたんだろ
あの日 想っていた感情はどこに消えたんだろ
たった一言なのに 伝えたい事は多くても
一番の言葉はたった一つなのに
なぜ言わなかったのか

時が経ち そんな事 全て忘れていたけど
カナダで幸せになったあの人に
言われた言葉で思い出した

自分の事なんか覚えてないと思ってたよ
自分ばかり意識していた
いつも姿を目で追っていた
成績優秀で運動神経が良くて
性格が良くて友達が多くて
時たま見せるドライな一面もあった
異性ながら憧れがあった
対抗心があった
テストで良い点を取りたかった
速く走りたかった スポーツで活躍したかった
でも 上手くいかなくて バカ騒ぎばかりしてた

そんなバカな自分をあの人は
「優しい人」と覚えてくれていた
誰も見てないと思ってたんだよ
誰より早く登校して 花の世話をしてるところ
遊びっぱなしで 散らかった教室を整理してるところ
誰かが割った 花瓶のかけらを集めていたところ
最後に
走り回る私に彼女が足を引っ掛けてしまい
私が展示物へダイブして壊してしまった時
私が一言も彼女の名前をあげなかったところ

気づいていたんだね 私の裏側に
気づいてなかったんだな 彼女の視線に

なんで言えなかったんだろな あの日々に
全然会話なんてできなかった 7年間
宿泊学習のフォークダンスで
手を取る瞬間 胸の鼓動が高鳴ったあの刹那
この時間が続いてほしいと思った一時

全部思い出したんだ
「貴方が好きでした」
「小1〜中1まで同じクラスで ずっと貴方を見てました」

「今」がある時に言いたかった

#学生時代の心のこり

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