【キュレーション】「強度行動障害」見つからない受け入れ先 親の負担も限界に

塾長コメント:

 「強度行動障害」はご家族も支援者も負担が大きく理解はできても受け入れできない人たちも多い。支援者もまたひとりの人間でこの障害を受け入れるために相当の努力と覚悟が必要になる。だからこそ、「強度行動障害」を知っている人や受け入れをしたことがある専門家などに繋がり、支援者も支援を受けていく必要がある。
 当塾では何度か受け入れに関わったことがあるが、難しい問題が多く複雑に絡まっていて、紐解くのに大変な労力と時間を要してきた。
 「強度行動障害」の人たちが適切な支援を受けて安心安全の日々を過ごせるようになるために、どれだけの支援と理解が必要か。体感をもって切々と感じている。
 まずは「強度行動障害」についての理解が第一歩。体験談を含めた理解への後押しはいつでもお手伝いさせていただいています。ご連絡ください。

引用記事



「強度行動障害」見つからない受け入れ先 親の負担も限界に


https://rkb.jp/news-rkb/202211223852/
RKBオンライン
rkbNEWS

「強度行動障害」とは、自閉症などの二次障害で、大声をあげたり、自分を叩いて傷つけたり、中には、人に噛みついてしまったりするケースもあります。家族と一緒に暮らすことも難しく、受け入れてくれる施設もなかなか見つかりません。ある家族を取材しました。

「壁に頭を打ち付けることが多い」

時折大きな声をあげる男性、頭にはヘルメットをつけています。福岡市に住む財部雄斗さん(19歳)、強度行動障害があります。自閉症の人などにみられる二次障害で、自分の体を傷つけたり、人によっては他人に噛みついたりすることもあります。母親の志穂さんは「雄斗さんは壁に頭を打ち付けることが多い」と話します。
母の財部志穂さん「(壁に穴は)たくさんあった。一つがここです。多分頭突きだと思うんですけど、頭をぶつけて簡単に穴が開いて。後は、よくジャンプするので、床下収納だから一気にバキッて」

症状は中学3年生のころから

雄斗さんに自閉症の症状が確認されたのは3歳のころで、強度行動障害の特徴が出始めたのは中学3年ごろからでした。
母の財部志穂さん「頭打ちも、血が出るほどやったり、睡眠障害も夜中3時に目が覚めてずっと騒ぐという状況になったり。夜中3時から延々とドライブに連れて行ったり、近所迷惑になるので延々に都市高速を何周もする状況が続いて」
雄斗さんの主治医の武井庸郎医師です。強度行動障害が起きる要因の一つとして、痛みでストレスを軽減させようというメカニズムがあるのだと説明します。
香椎療養所 武井庸郎医師「頭を打ち付けて、痛みのストレスで本人が抱えている別のストレスを解消しようとする。それが癖になって、“癖の悪循環”になってしまうことがしばしばあります」

受け入れ先は見つからず……

雄斗さんは高校1年の時に入院し、一時的に落ち着きを取り戻したものの、入院期間は3か月に限られました。次に受け入れてくれる施設を探しましたが……。
母の財部美穂さん「学校の支援部とかみんなが探してくれたけど、なかなか見つからなくて。受け入れ先がない、人手不足で受け入れられない、と全滅だったんです」
福岡市によりますと、市内で強度行動障害者を受け入れている施設は9か所しかなく、なかなか空きが出ない状態だということです。
福岡市東区にある社会福祉法人です。デイサービスやグループホームなどを運営しています。強度行動障害の人を受け入れていますが、受け入れるのは容易なことではないと話します。
社会福祉法人「明日へ向かって」介護福祉士 土肥弘義さん「こちらが、強度行動障害がある方の部屋。本人にとってはこれが安心できる環境であって、これを崩されるとそれで興奮してしまったり、手が出てしまったり。叩かれてしまったことで、気持ちがあっても建物に入れず来られなくなった方(職員)もいた」
社会福祉法人「明日へ向かって」末松忠弘理事長「手も足も不自由で、全て介助がいる人たちも住んでいる。利用者に他害があるタイプは受け入れられるかと言ったら難しい」

母が自ら事業所を設立

高校1年で3か月間入院した後、雄斗さんを受け入れてくれる施設は見つかりませんでした。周囲にも相談し、考え抜いた末に志穂さんは、自分で事業所を立ち上げることを決めました。
母の財部志穂さん「自分の人生が終わるまで、ずっと見ているんだな、と思って。24時間ヘルパーを使えるようにして、自分が事業所を立ち上げてヘルパーを集めて、ヘルパー事業所をやろうと思った」
2年前に志穂さんが立ち上げたサービスです。利用者にアパートの一室で独り暮らしをしてもらい、ヘルパーを24時間態勢で派遣して生活をサポートします。雄斗さんも現在このサービスを利用しています。
香椎療養所 武井庸郎医師「グループホームに入ると、人の刺激が多い。いろいろな人が中にいますから、重度訪問介護で住居を確保して、ヘルパーが入って長時間見守るという制度は、一つの選択肢としてもいい」
アパートには衝撃や音を和らげるタイルやマットを設置していて、これまでに周辺住民からの苦情などもないということです。
母の財部美穂さん「(親が)高齢化しても預け先がない、その先が見えないという絶望的な状況から、ちゃんとした地域生活の道というのを作っていきたいと思っています」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?