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題[あの…伝えたいことがあります……。]

(登場人物)
新川栄一
白川サクラ
白川(父)
白川(母)

どっかの駅前に、どこか緊張気味の新川がいる。(スーツ姿で)そこに、白川が歩いてくる。

白川「栄ちゃん。」
新川「あ、サクラ。」

少し間がある。

白川「(ニヤニヤしながら)あれ?緊張してる?」
新川「まぁ……ね。」
白川「大丈夫だよ。ウチの両親優しいから。」
新川「うん、(チラッとサクラを見て)だと思うけど。でも、緊張する。」
白川「じゃあ行こう。」

二人は、一路サクラの家に向かう。歩いている時、徐にサクラが軽めに手を握る。新川は、一瞬ドキっとしたけど少し落ち着いた様子。
少〜〜し時間が経ち、白川家の扉の前に二人立っている。
新川は、また緊張し始める。

白川「入ろ。」
新川「…うん。」

サクラは、扉を開ける。

白川「ただいま〜〜」
新川「お、おじゃまします。」

奥から白川母が歩いてくる。

母「あら〜サクラおかえり。(新川を見て)いらっしゃいませ」
新川「おじゃまします。」
母「緊張しないで。どうぞ」

二人は、靴を脱ぎ奥の部屋に歩く。
奥の部屋に入ると、母が席に案内する。

母「まぁまぁ座って。今、お料理準備しますから。」
新川「あ、ありがとうございます。」

新川は、暫く座らずにいると、サクラが母に

白川「あれ?お父さんは?」
母「え、あら…部屋にいるんじゃないかな?(別の部屋の方に目を向けて)お父さ〜んサクラたち来たよ〜〜。」

奥の部屋から声が聞こえる。

父「お…おぉ……今行くよ。」

サクラは、父がいることを確認した後新川の顔を見て悪戯な笑みを浮かべる。それを、チラッと見た新川は、グッと緊張しだす。
少し経って、部屋から父が歩いてくる。

父「(新川に)やぁ〜いらっしゃい。(サクラの方見て)サクラも久しぶり。」
新川「あ、今日はありがとうございます。」
白川「久しぶり〜〜元気そうだね〜」
母「さぁ〜さぁ、席に座って、食べましょう。」

4人は、座り始め、サクラと母は先に座って、新川は父が先に座ったのを確認してから座った。
父は、新川に

父「お酒は、飲むかい?(瓶ビールを手に取り)」
新川「あ、はい(コップを取って)すいません」

新川は、父のビールを手に取り

新川「どうぞ。」
父「あ、ありがとう。」

お互いに注ぎ終わり、母が声を出す。

母「さぁ、食べますか?」
白川「いただきま〜す。」

4人それぞれ食べ始める。少し時間が経ち新川が母に質問をする。

新川「今日は、ありがとうございました。」
母「良いのよあ、そうだ、今日作った料理のテーマは……最近色々な国のお料理にハマっててね。今日は、初めてベトナム料理を作ってみました〜。」
白川「そうなんだ(食べながら)」
母「(新川を見て)おいしいでしょ?」
新川「はい、おいしいです。」
母「(父の方を見て)あなたも口に合うでしょ〜」
父「…うん…まぁな。」
母「それじゃあ、デザートでも用意しようかね。サクラちょっと手伝って」
白川「え、(チラッと父と栄一を見て)良いよ〜」

サクラは、キッチンに向かう。
静まるリビングに父と栄一だけ。

父「美味かった?」
新川「は、はい、美味しかったです。」
父「それは、良かった。」

また静まるリビング
少し時間が経ち、父が

父「それで今日は…」

母がキッチンから元気よく出てくる。スゥ〜とサクラも出てくる。

母「は〜〜いデザートですよ〜お待たせしました〜〜。」
父「…そうか…」
新川「あ、ありがとうございます。」

母「まぁ〜デザートは今日の料理とは関係ないんだけど、駅チカのプリンで〜す。」

サクラが、栄一の分のプリン席に持ってくる。

白川「はい。」
新川「ありがとう。」

二人を見て、微笑ましくみる父の目の前にサクラに負けじと母が父にプリンを出す。

母「はい、あなた。」
父「あぁ〜すまんな。」

母は、席に着いて、プリンを食べ始める。

母「う〜〜ん美味し〜〜い」
白川「美味しいね〜」
新川「(一口食べる)うん、美味しい。」
父「うん。」

少し時間が経ち、プリンも食べ終わりお互い落ち着いている。
父が、新川に話をボソッと振る。

父「今日は……食事だけじゃないよね?」
新川「え…あぁ……(背筋を少し伸ばす。)お義父さん…お義母さん…今日は、承諾を頂きたく参りました。」
母「あら、何かしら?」

父は、どこか緊張しながら少し背筋を伸ばした。

新川「(息を整えて)あの………サクラさんと……」

父は、さらに背筋を伸ばす。

新川「サクラさんと…………同棲させて下さい。」

妙な空気感になる。父が、一言言い出す。

父「同…同棲⁈」
母「あら…」

新川は、少しキョトンとしている。

白川「あれ?何だと思ったの?」
父「あぁそれは……サクラもいい歳だから……結…結婚の許しかなと(母に)なぁ。」
母「まぁ〜ね。」


二人は、一瞬びっくりした感じだったが、サクラが一言

白川「結婚は、まぁ、(チラッと新川を見る)私はいいかなぁとは思うけど」
新川「何か色々考えさせてしまったようですいません。まずは、お互いに一緒に住んでみて互いの短所や長所を再確認したいと思い同棲を考えました。」

新川は、言い終わった後サクラを見て。改めて向き直して

母「あなたどうする?私は、良いと思いますが。」

父は、少し考える。

父「同棲か……家は、決めてるのかな?」
新川「一応決めてはいます。引越しも少しずつですが進めています。」
父「そうか………別に断る理由も見つからないな〜〜(キリッとした顔で)承諾します。」
母「堅いわねぇ〜〜」
父「え?そうか」

母の一言でまわりの雰囲気が和んだ。新川が、口を開く。

新川「お義父さんありがとうございます。」
父「あ、いやいや…」
白川「ありがとう」
母「写真撮る?記念に。」
父「え、そうか。」

4人は、机に上手く置いたスマホのタイマー機能で写真を撮った。
少し時間が経ち、夕方近くになる。二人は、帰り支度をしている。
母が、紙袋を手に近づいてくる。

母「(サクラに)これ、後で二人で分けて」
白川「これ何?」
母「駅チカに売ってたから買ったの。何だけな多分お菓子」
白川「多分って。」
新川「(母に)ありがとうございます。(二人に)それじゃあ失礼します。」
父「あぁ〜」
母「えぇ〜またね。」
白川「バイバ〜イ」

新川達は、駅に向かって歩き始める。その二人を見えなくなるまでみている両親に新川は、チラッと振り返って会釈をする。サクラは、手を振る。
少〜し時が経ち、両親の姿が見えなくなって、駅に向かう道中に新川がサクラに話し出す。

新川「良かった〜許しがもらえて〜」
白川「良かったね。」
新川「(袋を指差し)持つよ。」
白川「良いよ〜〜軽いし。」
新川「良いよ〜持つよ。」

少し考えてサクラは、チョンと袋を新川に渡す。サクラは、にゅ〜と腕を新川の腕に入れる。

新川「おぉ…」
白川「(悪戯顔で)びっくりした?」
新川「(同じような顔をして)ちょっとだけね。」
白川「へへへ。」(さらにグッと腕を入れる。)

二人は、腕を組みながら駅に向かう。その姿がだんだんと小さくなっていく。

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