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備忘録:2023共通テスト地歴公民

 みなさん、こんにちは/こんばんは。
 この記事は、2023年1月14日に行われた大学入学共通テストの地歴公民科目(世界史B、日本史B、地理B、倫政)についての備忘録です。順次更新しています。
 「備忘録」なので個人的な気持ちも吐露していますが、一応、公開物の体裁を守るため、これから受験するひとが参考になるかもしれないことを書き連ねてもいます。長くなっているため、ぜひ目次をご活用ください。


世界史B

【感想と基本的な心構え】

・去年よりむずかしい!
・とてつもなくめんどくさい!!
→ 難化したと考えてよい。

 これが正直な感想です。なんですかアレは。わたしは「めんどくさい」「これはわたしの知っている世界史のテストではない」などと愚痴をこぼしながら解いていました。
 とはいえ、「まったくわからない」となるような問題は基本的になく、ふつうの知識を問う問題もあります。
 たとえば、最初の問い。次のように考えて解いていたひとも一定数いるのではないでしょうか。


・「ロシア」について述べた選択肢を選ぶことを理解する。
・選択肢①を見てみる。
 -「ピョートル1世」と「北方戦争」は組み合わせとして正しい、かつ、「ロシア」の歴史でもある。
 -「イギリス」との戦い……だったっけ???(ここで思考停止)
・選択肢②は「デンマーク」、選択肢③は「ポーランド」だと判断できるので(③の「ピウスツキ」はちょっと難しいかもしれないが)、ともに誤り。
・選択肢④の「BRICS」、聞いたことあるけど、なんだったっけ???戦後史の勉強あんまりできなかったから、"R" は「ロシア」っぽいんだけど、確信が持てないな……。
⇒最初の問題からいきなりピンチ!!!やばい!!!


 緊張していると、こういう純粋な知識を問うポイントでいきなり思考停止に陥ってしまったり、あるいは勘違いに気づかないままになってしまったりするものです。(→そして、勘違いしたまま解答を終了させ、1日目に自己採点してしまって、とても悲しくなります。自己採点ダメ、ゼッタイ!) 

 ここで落ち着いて、「北方戦争」は「スウェーデン」との戦いである、したがって正解は④だ、と考えることができるひとだけが、平常心を保ちながら問題を解き進めることができます。この差は大きいでしょう。
 共通テストは、地歴公民が最初の試験科目です。また、共通テスト自体が最初の「本番」になるひとも多いと思います。
 その科目の最初の1問を《落ち着いて》《正確に》解くことができるかどうかは、2日間の試験の運命を左右するといっても過言ではありません。
 ですから、普段の学習から、「試験の最初の問題に出てきても悩まずに判断することができる」ことを最低限の条件として、知識の暗記に取り組むことが求められます。ストイックにいきましょう。

【問題構成・大問ごとのテーマ】

 上はあくまでも解答者としての感想ですが、作問側の視点に立つと、各問の題材そのものはおもしろいとは思います。ざっくり見ておきましょう。

 1.  ジェンダー史(女性史)
  →参政権獲得/古代中国
 2.  王朝の継承
  →中世ヨーロッパ(フランス)/アラビア半島
 3.  歴史理解
  →ナポレオン/科挙と学問/中国史上の書物
 4.  歴史資料(史料)・歴史編纂と歴史認識
  →地中海世界と貨幣/古代ギリシア/中世ヨーロッパ(ブリテン島)
 5.  歴史統計からみる社会経済の構造と変化
  →19~20世紀の 東南アジア/イギリス

 このようにまとめましたが、関連事項を問う問題などをつうじて、教科書の内容がまんべんなく出題されています。
 あえて挙げるとすれば、【古代の四大文明】や【近世(15~18世紀)ヨーロッパ】といった分野からの出題は、今回はほとんどなかったといえるでしょう。このあたりは、私大入試では(むしろ)好んで問われる分野です。

【対話文・資料と設問のつくり】

 また、すべての大問に、対話文を読み取ったうえで、対話文中の空欄に入る語句をえらぶ問題や、対話文の情報から考えられることをえらぶ問題が設定されていました。(なんと面倒なことか!)

 読み取るべき資料の種類も豊富でした。中問単位で列挙しておきます。

 ○文章資料 → 1-B,  2-B,  3-A,  4-B,  4-C
 (2-B,  4-B,  4-C は複数の資料を比較するタイプ)
 ○図(絵・写真)→ 2-A,  3-A, 4-A
 >>共通テストでは、こうした図についての基本情報や図から読み取れる事柄は、ほとんどの場合、対話文中で説明(提示)されるので、対話文からキーワードを読み落とさなければそれほど難しくない。
 ○家系図 → 2-A
 ○地図 → 3-A
 ○表・グラフ → 5-A,  5-B

 ただし、〈提示される資料の読み取り〉だけで解ける問題はほとんどありません。そうではなく、読み取り作業をつうじて得た情報と、いままでに習った教科書的な知識を総合して、答えを導き出すことが求められています。その意味で、巧妙な設問のつくりがなされているといえるでしょう。

【共通テスト世界史の克服法】

 このように、共通テスト世界史の大きな特徴は、〈あえて不明確に書かれた固有名詞の特定〉や〈提示される資料の読み取り〉に時間がかかることです。とくに、今回はその面倒なところが随所に現れており、これまででもっとも解き進めにくいセットになった印象です。
 設問ひとつひとつも、それを解くためにハードルがいくつもあって、それをすべてクリアしないと解けるようになっていない、という形になっているものが大半になっています。

 しかし、このような特徴に順応していくためにすべきことは、いたってシンプルに、基本的な事項を、「一問一答」形式で、問題文を見聞きして3秒以内に答えることができるようになるまで、暗記することです。
 難しい問題集を解く必要はありません。むしろ、教科書傍用の問題集(一問一答や書き込み問題集など)を隅から隅まで覚えることのほうが効果的です(学校の定期テスト対策にもなります)。学校や塾・予備校で通史が一通り終わるまでは、まずこの学習方法を中心に、世界史の学習を進めるのがよいでしょう。

※某予備校の参考書に有名な「一問一答」シリーズがありますが(わたしも持ってはいます)、あのシリーズはどれも分厚く、どこまでできるようになるべきかを見失いやすい教材であることは否めません。教科書傍用の問題集が完璧になってから使用することを推奨します。

 そのうえで、通史が終わったあとに(11月以降、遅くても12月半ばまでには)、過去問や予想問題集での演習を始めることが目標です。一問一答での学習を徹底しておけば、純粋な知識問題で間違えることが少なくなってくるため、この段階から〈資料の読み取り〉などの共通テスト独特の問題に慣れるようにすれば、本番までに十分間に合うでしょう。
 もちろん、受験学年になってからは、模試でも世界史を解くことが多いはずなので、模試を受けて2~3日で復習するサイクルが身についていればなおよいでしょう。世界史を得点源にしたいひとは、ここまで頑張るようにしてください。



日本史B

【感想】

・史料問題は意外と解きやすい。
・年代整序、年代から推測させるタイプの問題が多い。
→結果的には、難易度は平年並みか。

【問題構成】


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