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今更ながら仮面ライダー龍騎を全話(TV版)視聴したので、全ライダー(SP除くTV登場分)の感想を綴る

2023年〇月〇日、ついに半年以上に渡る仮面ライダー龍騎のYoutube無料配信が最終回を迎えた。

著者は恥ずかしながら「有名な回だけ見たことがある」「オチだけ知っている」ような状態だったため、逆にほぼ初見の状態で感想を述べることができると思う。

早速本題に入るが、この記事では登場順に各仮面ライダーたちへの所感を振り返っていきたい。

※この記事はその性質上ネタバレを多分に含むので初見の方はご注意ください。

※キャラへの感想はあくまで個人の意見です。実際の描写意図と多少食い違っていてもご容赦ください。

・仮面ライダー龍騎/城戸真司

我らが主人公。一般人枠として描写されているが、こいつの性格も戦闘とは別の方向にぶっ飛んでいる気がする。

主人公でありながら戦いを嫌う性格であり、他のライダーたちの言動がまあ碌でもないことも相まって、番組当初はその姿勢にやきもきさせられることも多かった。

しかし、「バトルロワイヤルものなのに戦わないこと」自体がこの作品の醍醐味(後述)であり、そういった意味では作品を体現しているキャラと言えよう。

彼の頑なに戦わない姿勢が蓮や北岡、果ては浅倉にまで(変わっていないのが浅倉の魅力だが、後半はギャグに参加するシーンがある)影響を及ぼしていったと考えるのは、著者の考え過ぎだろうか。

有名な「最終話前に死亡」のシーンでは、演者さんの迫真の演技も相まってただただ息を呑むばかりであった。

・仮面ライダーナイト/秋山蓮

所謂2号ライダー。通称龍乃(検索避けとも言う)。

Q:乃とは?
A:表面上はツンツンしているが、非常に徹しきれないツン。ツンデレとは似て非なるもの。

詳細は省くが『IDOLY PRIDE』シリーズに登場するキャラクター:長瀬琴乃の当初の態度がツンケンしていたため、容姿が似ているキャラを「~乃」と呼称するようになった。ッテソンナッワケナイッデショ~~~~~~!!!!
なお、琴乃の態度はわりとすぐ軟化するため、作中でパブリックイメージの“乃ムーブ”をするのはどちらかと言えば一ノ瀬怜の方である。

なお、余談ではあるがTVアニメ『IDOLY PRIDE』はスマートフォン向けアプリゲーム『IDOLY PRIDE』への誘引のためにしょっちゅうYoutube上で全話無料公開している他、アマプラを始め各種配信サイトでも見れる。

前述の通り龍騎との共通点も多いため(そもそも龍騎と共通点の多いシリーズはやたら多いのだが)、この記事を見ている龍騎ファンで気になった方は要チェックである。

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B08SGVR3NJ/ref=atv_dp_share_r_tw_567008266a8d4

そろそろ話を戻すが、

2号ライダーと言えば秋山蓮を思い浮かべる方も多いのではなかろうか、実際以後の仮面ライダーシリーズに大きく影響を与えており、秋山蓮のような仕草は2号ライダームーブと度々揶揄されがちである。
著者も「お前の為じゃない~」的な台詞が登場するたびに「本物だ!!」と興奮を隠しきれなかった一人だ。

個人的な意見だが、城戸真司よりも主人公していると思う。
と言うのも戦う理由がはっきりしていながら人を殺めることに躊躇ったり、彼の視点からだとバトルロワイヤルものとして非常に見やすい。
実際「もう一人の主人公」的な扱いであり、そうした意図も少なからずあるのだろう。

戦いが終わっても、真司くんと蓮を忘れないでね。

・仮面ライダーシザース/須藤雅史

カニ刑事。純那ちゃんと呼んではいけません

ライダーバトルのチュートリアルのように出てきて、これまたチュートリアルのように呆気なく退場するキャラ。『劇場版レヴュースタァライト』では大場ななに肉薄してみせた純那ちゃんとは大違いである

呆気ない退場ながら、後世では人気投票でライドウォッチが発売されるほどの人気キャラとなっている。

著者ははっきり言って最初はどこが魅力的なのか分からなかったのだが、この『仮面ライダー龍騎』という作品において基本的に「ライダー」は大切に扱われ、悲惨な退場をするライダーでも出番の多さやインパクトのある退場だったりと長い目で見れば恵まれていることが多い。

にもかかわらず、シザースの扱いは“雑”の一言である。

『仮面ライダー龍騎』の視聴を続けるうちに「あれシザースの扱い……なんか雑だったのでは?」と疑念を抱いたが最後、もう頭からこいつの事が離れてくれない。

刑事という立場上、生き残ってしまうとライダーバトルで有利すぎるキャラではあるのだが……。

極めつけに総集編や回想で度々フラッシュバックする死に様は、『機動戦士ガンダムSEED』におけるニコルを彷彿とさせる。
該当キャラはガンダムSEEDにおけるキーマンであり、アバンカットで何度も死ぬことがネタにされてはいるものの、彼の死がきっかけでキラとアスランの全面対決に繋がったりと意義のある悲壮に満ちた死である。

一方、カニ刑事を見てみよう。
「ナイトにデッキを壊され、使役していたはずの自身のボルキャンサーに食べられて死亡」

一周回って人気が出るのも納得である。

・仮面ライダーゾルダ/北岡秀一

天才弁護士。頭からスパゲティ。

ま~~~~~嫌味な奴が出てきたもんだと思った。
シザースの次がこれって、バトルロワイヤルもののテンプレートが確立する前の作品とはいえ、これて。

登場直後から主人公を物理的にボコボコにするわ、弁護士の立場を利用して間接的にも退場させようとするわでやりたい放題である。

やりたい放題しているキャラ“だった”。

1年(半年)を通して彼の“人間味”が描写されていき、退場する頃には好きになっているという何とも罪なキャラである。
初期こそ強さで圧倒していたものの、番組後半では苦戦も多く、「俺は弱くなった」と嘆く姿は哀愁が漂う。

バトルロワイヤル作品の代名詞でもある『仮面ライダー龍騎』だが、登場した仮面ライダーはなかなか退場しない。基本的に。
北岡秀一も登場して即退場では、ここまで思い入れを持つこともなかっただろう。

最終話では浅倉との最期の決戦に臨むことすら叶わず息を引き取ってしまう。初対面の印象とはまるで正反対の物悲しいラストになっている。

・仮面ライダーガイ/芝浦淳

ガードベントさん。

こいつのことは「変な奴」としか言いようがない。
ガードベントでよくネタにされているが、正直そのネタを抜きにしてもぶっちぎりで「変な奴」という感想が出てくる。

バトルロワイヤルを掻き回すピエロ的な立ち位置のキャラクターなのだが、その行動に共感できる部分は少なく、タイガを差し置いて真のサイコパスなんじゃないかこいつは。

何気に契約モンスターのメタルゲラスには愛着を持たれてたりする……登場作品が『ポケモン』だったら、ちゃっかり終盤でなつき度進化(※)させてくるポジションだったと思う。

※『ポケットモスター金・銀』から登場したシステムであり、ぶっきらぼうなライバルがクロバットを連れていることで話題を呼んだ。
ちなみに『ポケットモンスターX・Y』から登場した「なかよし度」と非常に紛らわしかったためか、『スカーレット・バイオレット』ではとうとう同じパラメータとして統合された。

・仮面ライダーライア/手塚海之

(相対的に)良い奴。

戦うことに反対して戦いを止めようとしたりと一応“良い奴ポジション”なのだが……ぶっちゃけこいつの登場直後の感想も「うわ~~~変な奴がまた増えた!!!!」であった。

と言うのも、初対面から占いで蓮の地雷を踏み抜いたり、思わせぶりな言動ばかりでその場を立ち去っていったりで「あいつ何なの!?」と叫ばずにはいられなかった為である。

もちろん、だんだん真司と意気投合していく様は応援できるものであり、退場する頃には「まあ、良い奴だったな……」と思えるくらいにはキャラが立っていくのだが。

余談だが、こいつのことを『グランベルム』の土御門九音と呼んでいるのはインターネット広しと言えども著者だけである。
九音ちゃんを消滅させたの許さん。

・仮面ライダー王蛇/浅倉威

狂言回し。本作のメインヒロイン。

エロゲのヒロイン以外で手錠で鉄格子に拘束されるのこいつくらいじゃないですか。以下は参考画像。

あんまり変な奴が多すぎることに業を煮やした神崎がついに投入したバトルロワイヤルものには一人はいる戦闘狂。

殺人鬼という触れ込みにもかかわらず、放送当時のちびっ子人気1位である。
バトルロワイヤルものなのに戦いに消極的だったり、ひとまず様子見に徹して結局戦わなかったりする奴が多すぎるので、当然と言えば当然であるが。

とにかく強い、圧倒的な強さであれこれ理由を付けて戦闘を避けようとする面々をボコボコにしてくれる。
「ヒュー! やっぱりバトルしてこそバトルロワイヤルだぜ!」と言わんばかりに大暴れして、主人公の見せ場ではしっかりやられ役もこなしてくれる。

良くも悪くもなかなか登場人物が退場しない本作であるが、こいつに退場してもらっちゃ困るぜ。
脚本家の皆さんもお気に入りなのか、客演にもガワのみ出演含めてやたら恵まれている。そりゃこんなお話を引っ掻きまわしてくれる便利なキャラがいたら恵まれるでしょう、と納得である。

あれ、ガイも同じくお話を引っ掻きまわしてくれるキャラだったはずなのだが……(お前は戦闘してない時の言動が「変」すぎるよ!!)

ラストの雄叫びを上げながら銃口に向かっていくという凶悪犯らしい散り様は、何故か寂しい気持ちさせられる。これも1年近くの「積み重ね」の成果なのだろうか。

・仮面ライダーオーディン/神崎士郎

ライダーバトルの仕掛け役。ラスボス。厳密には神崎士郎とオーディンは別個体なのだが、ここでは同一として述べる。

バトルロワイヤルもののラスボスらしく、瞬間移動や羽の範囲攻撃、時間巻き戻しなどのチート能力で圧倒してくれる。

そのわりには時間を戻した理由が「妹に破られた絵を直すため」だったり、ナイトとの再戦時ではやられ役もしてくれたりと、妙に憎めないキャラでもある。

ちなみに常時サバイブ状態だったりするので本当の意味でチートである。
でもオーディンサバイブはいつかうっかり出ると思う。(ライジングアルティメットとか出す会社が設定の整合性を気にするわけないだろ!!!

・仮面ライダータイガ/東條悟

サイコパス(原義)。強かった。

バトルロワイヤルものに一人はいるサイコパス(原義)キャラ。満を持して登場するのに見合った強さで王蛇並みに場を荒らしてくれるので、嫌いじゃなかったりする。

例にもれず変な奴なのだが、こいつに関しては変な奴すぎて一周回って逆に変な奴じゃないのかもしれないと思えてくるから困ったちゃんだ。

有名な親子を庇って英雄に~は実際に見ると印象が違っており、香川教授の教え方がちゃんとしていれば違った道もあったのかもしれない。

・仮面ライダーインペラー/佐野満

かませ。可哀想。

バトルロワイヤルものに一人はいる金の為に動くキャラ。
龍騎の後半はバトルロワイヤルものに脚本家の皆さんが対応してきたのか、後の世のテンプレみたいなキャラがたくさん出てくるぞ。

今だったら10話くらいでガイの代わりに出ていたであろうキャラ。
残り10話という「このタイミングで!?」と思わずにはいられない時期に参戦し、そこそこの強さで暴れてくれる。

そして最期は当時のチビッ子たちにトラウマを植え付けながら退場と、出番は短いながらもインパクトを残していくキャラだ。

総括

劇場版やSPのキャラは例外も多いので、このレビューは本編に限り、ここで終了とさせてもらう。

『龍騎』最大の特徴はキャラクターが登場してから退場までの時期が(基本的に)長い事だと考えている。
最初は嫌な奴だな~と思ったキャラも、内情が吐露されるにつれて魅力的になり、退場する頃になって最大限のエモーショナルが炸裂するのだ。

しばしば本編で13人揃っていないことが揶揄される本作品であるが、真司、蓮、北岡、浅倉の4人に焦点を絞った描き方は個人的には「正解だった」と思える。

勿論、玩具の販促や役者さんの都合もあるだろうし、現代では「テンポ感」が重視されやすく間延びに感じられるかもしれないため、一概に正しい描写とは言えないのだが……。
少なくとも1年という長いスパンを通して番組ひいては「キャラクター」をお送りする『仮面ライダー』の作風には合っていたと思う。

20年経っても古さを感じさせない本作は、ガラケーや古めかしいパソコンが画面に映る度に「そう言えば20年前の作品だった」と驚かずにはいられない。まさに普及の名作である。

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