紫ルフィはなぜ強いか
※このnoteは紫ルフィの強さについて解説するものであって、どの紫ルフィが強いかについて議論する物ではありません。読み物としてご利用ください。
現在環境で猛威を振るっている紫ルフィ。
事前評価はそこまで高いものではありませんでしたが、一強環境と呼べるほどに結果を出し、使用されているデッキでもあります。
今回のnoteではそんな紫ルフィの強さにメスを入れていきたいと思います。
環境的な側面
環境における紫ルフィについて語るために、まずは環境の振り返りから。
第一章「乗るなエース」
5弾環境がスタートした段階で最初に注目されたデッキはサカズキ・赤紫ロー。
理由は単純で、サカズキは白ひげに、赤紫ローは赤ゾロに非常に有利であり、他方にも大きく不利を取っているわけではなかった為です。
4弾環境の中心だったのは白ひげ、レベッカ、赤ゾロの3デッキ。
このうちレベッカに関しては環境的な噛み合いに依存しやすいデッキタイプであり、完成した環境にアプローチしていくことで真価を発揮するデッキです。
必然的に環境が変われば一旦環境外に身を置くことになります(指針を失うのであって弱くなる訳ではありません)。
一方白ひげと赤ゾロについては純粋なデッキパワーが高く、環境を形作るデッキです。
事実数弾に渡って環境を席巻しており、他のデッキはこの2つのデッキにどう対抗していくかが命題になっていました。
4弾最強のパワーを持つデッキが5弾環境の門番になるのは当然の流れです。
サカズキと赤紫ローはこれをしっかりと突破しました。
またこれら2つのデッキは赤緑ローやレベッカに対しても強く出ることが出来た為、tier1に勝てるデッキからtier1のデッキへ位置付けが変化しました。
一方で白ひげや赤ゾロはtier1筆頭であるサカズキや赤紫ローに不利を取ってしまう為、構築か或いは環境の変化が必要となりました。
第二章「神なり」
サカズキと赤紫ローがtier1となったことで、世はまさに大除去時代。
強化を貰った緑紫ドフラミンゴでさえ、盤面に滞在して初めて強力になる特性上、あまりに向かい風であり立つ瀬がないような環境です。
そこに現れたのがゴッド・エネル。
事前評価ではエースの下位互換と呼ばれた7エネルですが、速攻+除去耐性が環境にブッ刺さり大活躍。
エースでは撃ち落とせなかったサカズキを地に叩き落としました。
最強、とまでは言えませんが、全対面に対して大きく不利を取ることがないことや、サカズキ・赤紫ローと比較してプレイの要求値が低いことから大きくシェアを伸ばしました。
海は海軍とハートの海賊団が支配し、空はエネルが支配する。
そんな環境の幕開けです。
第三章「ゴムだから」
空を支配したエネルが5弾の神で確定かと思われたその時、空に上り詰める男がいました。
天敵・ルフィ。
ルフィはエネルだけでなくサカズキや赤紫ローに対しても有利な為、当然環境のトップに躍り出ます。
(赤紫ローは上手い人だと違う結果になるかもしれません。)
しかし紫ルフィも完全無欠なデッキではありません。
特に赤ゾロやベロベティなどのアグロ系のデッキには滅法弱く、8キッドでも詰んでしまったりと全盛期の白ひげと比較すると弱点は非常に多いデッキです。
しかし紫ルフィは現在圧倒的tier1。
何故なのでしょうか。
紫ルフィを環境から引き摺り下ろす為には、海を越え、アッパーヤードを制圧した上でルフィに挑み、勝利を納めなければいけません。
海で待ち構えるはサカズキ・赤紫ロー。
紫ルフィに勝つ為に8キッドなどのギミックデッキを持ち込んでも、この2デッキに破壊されてしまい冒険は終了です。
麦わら軸の赤ゾロやベロベティなどのアグロ系のデッキは辛くも突破することができます。
無事にアッパーヤードまでたどり着いたアグロに待ち構えるのはゴッド・エネル。
アグロの天敵も天敵です。
紫ルフィがtier1な理由、それは紫ルフィに有利を取れるようなデッキが軒並みtier1.5以下のデッキに勝てない為です。
紫ルフィに勝とうと頑張っているエネル、サカズキ、赤紫ルフィがかえって紫ルフィの一強環境を作る要因となっています。
故に今の環境では、
紫ルフィに勝つか、他のデッキに勝つか
この2択を強いられているのです。
この紫ルフィ環境が終わりを迎える為に必要なのは、参加者全員が紫ルフィを使うような環境になること。
門番さえいなくなってしまえば紫ルフィに勝てるデッキはいくらでもあります。
しかし現実はそうはなりません。
特定のデッキが好きであったりミラーで勝てる気がしない事などから最大でもシェアは40%に留まるでしょう。
モビー時代の白ひげですらそこまでのシェアはありませんでしたしね…
デッキ特性的な側面
パワー1000の差
ワンピースカードの標準スタッツは、
……3-5000、4-6000、5-7000、6-8000、……
です。
では5000のキャラと4-6000のキャラはどれくらい性能が違うのでしょうか。
5000→6000の場合
1ドン付与に対し+1000ガード
6000→5000の場合
0ドン付与に対し+2000ガード
このように1ターンお互いに小突き合うと6000側がドンとカウンターの2つのアドバンテージを稼ぐことができます。
実際試合の場面ではリーダーの攻撃があったり面を無視したりする事で純粋にこの評価の限りではありませんが、1コストの差は1ドンや1000カウンターより大きいのがワンピースカードの前提です。
ワンピースカードのゲーム性
3-5000より4-6000が強い訳ですから、当然相手よりコストの大きいキャラを登場させれば試合を有利に進めることができます。
しかしワンピースカードは10ドンに到達するまでは先手であっても後手であっても基本的に相手のドン+1の状態になるのでシーソーゲームになります。
例えば先攻側が3-5000を出し、それに後攻側が4-6000を合わせます。
先攻側が不利になりますが、次先攻側は5-7000を登場できるのでまた先手側が優勢に。
このシーソーゲームを少しでも自分側に傾ける為に効果付きのカードを採用するのです。
効果付きのカードは、ハマれば少し強く、ハマらなければ少し弱くなるように作られています。
例えばチャカを見てみましょう。
スタッツ的には4コストと同じですが、効果を発動すれば1ドン付与を実質的に3ドン付与に変換することができます。
各コスト帯のカードをそれぞれ上振れさせることができればそれだけ試合が有利展開になり、最終的に勝利を収めることができますね。
対面によってはキャラに搭載されている効果がハマりにくい、つまり下振れになりやすい事があります。
下振れればバニラよりも出力が弱まってしまう為、当然試合展開は悪くなりやすい。これが有利不利に繋がっていくわけです。
※実際は様々な要因が絡まっています。「根底」はここにあるという話です。
デッキパワーとは
では、環境最強になる為により多くの対面に有利を取るにはどうすれば良いでしょうか。
答えは簡単。下振れなくて上振れるカードを採用すれば良いのです。
しかしそんな壊れカードは中々ありません。
上振れがあれば下振れがある。光があるところに闇があるのと同じです。
これを解決するには前提を破壊するしかありません。
3-5000に対し、4-6000を投げたら5-7000を投げられてしまう。
これが3-5000に対し、5-7000を投げたらどうなるでしょう。
相手も次5-7000を投げてきても互角。先に投げている分優位に試合を進められます。
5-7000を出す行為は相手に依存していない為、下振れの要素はありません。
「強い動きを押し付けることで勝ってしまう」
これがこそがデッキパワーです。
実際に環境で覇権を取ったデッキにはこの要素が含まれています。
紫カイドウ
1弾で活躍。
鬼ヶ島によって1-3-6-9で動く事ができる。
鬼ヶ島設置のラグこそあるが9カイドウや10カイドウがコスト以上の性能を誇る為、10ドン到達後もちょっと強い。
錦えもん
コスト-1。
2コストのお菊と3コストのヤマトは犯罪級。終盤は7キッドを出したり面が埋まっていたりでコストマイナスできない事も多いが、序盤のアドバンテージでそのまま勝ててしまう。
エドワード・ニューゲート
ワンピースカードの歴史上最も長期間環境の頂点に君臨したデッキ。
このリーダーは踏み倒しやドン加速こそしませんが、リーダーが6000です。
リーダーに攻撃する為に1ドン強要できるので、実質相手の使えるドンが-1であり、お互いのリーダーが攻撃するたびにカウンターも1000ずつ得できます。
王たる器を持つ紫ルフィ
言わずともわかると思いますが、紫ルフィも例によってこの強大なデッキパワーを持っています。
それどころかこれまでのどのデッキよりもその性能は上です。
紫ルフィの到達アクティブドン数は
先攻:1→4→7→10(カイドウ:1→3→6→9→10)
後攻:2→5→8→10(カイドウ:2→4→7→10)
になります。
鬼ヶ島を引いたカイドウにすら追随を許さない速度と言えばその異常性が分かるでしょう。
また、先2で4ドン、後2で5ドンのカードを使用できる為、序盤から容易にテンポを取る事ができます。
後1で3ドンを出したりレストなどの搦め手はできないにせよ、この序盤から制圧する姿は錦えもんと通ずるものがあります。
リーダー効果はデメリット付きではあるものの、ライフを能動的にリソースに変換できる為、安定性が向上する点は白ひげと同じです。
これらから分かる通り、紫ルフィはまさにデッキパワーの化身です。
デカすぎんだろ…
イカれたパワーを持つデッキと正面から殴り合っても勝てる訳がありません。
では除去で挑めばどうなるかと言うと、これも勝てません。
というのも、ワンピースカードの除去はイベントの場合だと+1コスト、キャラの場合は-1〜-2コストが一般的な相場です。
除去イベントは盤面有利な場合でないと効力を発揮しないというのは前述の通りであり、序盤から紫ルフィより強い盤面を作るのはほぼ不可能である為、機能しません。
キャラによる除去が必要になるわけですが、紫ルフィのカードはコストもパワーもデカすぎるキャラが飛んでくるため、到底間に合っていません。
紫は除去耐性などを持たない色であったはずなのに、デカさによってそれを克服してしまっているのです。
私の戦闘力は53万です
ここまで紫ルフィのデッキとしての強さについて述べましたが、キャラについては一切触れていません。
というのも、紫ルフィのメインデッキ自体は非常に貧弱です。
サーチのギミックなどもありませんし、ただの鬼ヶ島と10カイドウが入らない紫カイドウです。
ドン加速が純粋に強すぎるだけで、特別キャラとのシナジーがあるわけでもありません。
赤系のアグロに致命的に弱いのも紫のデッキパーツ自体が貧弱すぎる故のものです。
このメインデッキが白ひげ海賊団になればおそらくもっと一強環境になっていたでしょう。
部下が海軍であっても環境を席巻していたに違いありません。
メインデッキのパワーが低いだけに、紫の強化が来れば必然的に紫ルフィは強くなります。
アイスバーグさんが撃たれた?!
ここから想定されるのは、新規で刷られる紫のカードが条件付き効果だったり控えめな効果になってしまうことです。
現状tier1のデッキ、それもキャラではなくリーダーが強すぎるだけのデッキに強化を入れてしまっては白ひげ環境の再来になってしまいます。
今回は紫ルフィが強いと判明するまで時間もかかりませんでしたし、運営も流石に対策を講じてくると思います。
従って現行の他の紫のリーダーも強化はあまり見込めないというわけです…
アイスバーグ、ここに散る。
紫ルフィとどう向き合うか
ここまで述べたように、紫ルフィは最強です。
紫ルフィに勝つ事自体はできますが、そうすると他のデッキに勝てなくなります。
つまり我々は選択を迫られている訳です—
紫ルフィを拒絶するか、紫ルフィを受け入れるか。
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