金曜 #31

どうも、今週大きなイベントを一つ終えた金曜担当です。
私は長めの移動時間が伴うイベントでは必ず本を買ってしまう悲しき習性があるのですが。今回は北海道に行くにあたり「成瀬は天下を取りにいく」を読んだ。言わずと知れた本屋大賞受賞作である。
あらすじを簡単に紹介する。

2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!
(Amazonより引用)

さて、この本に関する私の率直な感想を書こうと思う。この本の魅力かつ最も興味深い点は主人公である成瀬の人柄である。
成瀬はまごうことなき変人である。確固たる自分を突き通すその性格は時代が違えば間違いなく天下を手中に収めたのではないだろうかというほどである。
「島崎、私は〇〇しようと思うんだ。」
その宣言から物語は始まる。そしてその一言を現実の物にするための行動が誰かの人生と交錯することで青春が始まり、誰かの人生を彩っていく。
自分もこんな風になれたらと、そんな風に読者に思わせる作品である。

自分は小説を書いたことがある(もちろんアマチュアというかネットの海に放流しただけ)のだが、その視点でこの作品を読んだ時の感想は嫉妬以外の何物でもない。キャラクターが面白いだけで物語は成立することをこの本に証明されてしまった。そんな風に思った。逆に言えば、誰かが書いた作品が成立していないとすれば、それはキャラクターの魅力が足りていないことの証明に他ならないのである。我々の首元にはこの本によって刃が突き付けられたという風に感じた。

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