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高卒二遊間についていろいろ考える

皆様、明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いいたします‼

年を越し、時の流れは早く、プロ野球のキャンプインまであと1か月を切り、球春到来が待ち遠しい季節となりました。

さて、今回は昨年のドラフトでも人気を集めた高校生内野手(特に二遊間)について何点かテーマを決めて考察していこうと思います。

⚫プロでも二遊間でレギュラーになる選手は早い段階で一軍経験を積んでいることが殆ど

高卒で内野手としてプロに入り、日本球界屈指の内野手へと成長した山田哲人、浅村栄斗、坂本勇人の3人をピックアップして具体的な実例を挙げていくと、いずれも早い段階から一軍経験を積んでいる。


・山田 哲人(ヤクルト)

2011年

一軍出場なし

ファームで114試合 409打数 .259 5 39

2012年 

26試合 44打数 .250 1 1

2013年 

94 試合 350打数 .283 3 26

※この年からセカンド田中浩康との併用が始まる

2014年 

143試合 596打数 .324 29 89

193安打を記録し、最多安打

※この年から不動のレギュラーに

2015年 

143試合 557打数 .329 38 100

この年に本塁打王、盗塁王、トリプルスリー達成


・浅村栄斗(楽天)

2009年

一軍出場無し 

ファームで99試合 347打数 .219 3 27

2010年

30試合 42打数 .262 2 9

2011年

137試合 437 打数 .268 9 45

※片岡離脱の間や、打席確保の為外野手、一塁手として起用され出場機会増加

2012年

114試合 404打数 .245 7 37

2013年

144試合 543打数 .317 27 110

※本格的に二塁手のレギュラーに、打点王獲得


・坂本 勇人(巨人)

2007年

4試合 3打数 .333 0 2

2008年

144試合 .257 8 43

2009年

141試合 581打数 .306 18 62

※この年から本格的に遊撃手として定着


彼らに共通する事として挙げられるのはドラフト3位以内で指名され、ファームで1年目から400打数以上与えられ、2年目には一軍の舞台に立ち、3年目から1軍で本格的に起用されている点だろう。

それ以外のパターンで高卒内野手で代表選出クラスまでになった成功例としては今宮健太(ソフトバンク)、中島卓也(日本ハム)らが挙げられるが、近年では彼ら位しかいない。

高いハードルではあるが、渡邉諒(日本ハム)、北條史也(阪神)、牧原大成(ソフトバンク)らのレギュラー定着、更なる飛躍に期待がかかる。

ただし、先程の3人に関してはファームレベルでは頭一つ抜けていて(特に坂本は高卒2年目で守備率.900以上を記録し打撃でも飛躍した)一軍で起用されるだけの資質を発揮していた事も忘れてはならない事実である。

ドラフトで期待を込めて指名した選手が二軍での飛躍を経て3年目に本格的に一軍で使いたくなる程順風満帆に育つとも限らないし、一軍のレギュラー内野手を押し退けて、まだ発展途上の高卒の若い内野手を早い段階から一軍で使う、となると守備面などでかなりリスキーになってしまうので、それならファームで出場機会を与えればいいのではないか?という考えになるだろう。しかし、それだけではなかなか厳しいということをこれから解説していく。


⚫早い段階からの一軍経験が必要だと思うのはなぜか

先程挙げた「ドラフト3位以内で指名される」という条件と、「一軍で早い段階から多くの出場機会は得ていないが、二軍で多く出場機会を得た選手」に合致している例を挙げていく。

「ドラフト3位以内で内野手として高校生で指名され、出場機会を一軍で与えず二軍でたくさん出場機会を貰った選手」である日本ハムの森本、松本は内野手として期待されて入団し、ファームにおいて沢山の出場機会を得たが守備難で苦しみ森本は解雇、松本は高卒6年目まで伸び悩み、外野手転向という結末に。

何故こうなったか、と考えると個人的には単純に「選手の力不足」「日本ハムの内野手育成能力が低い」だけではないと思う。やり方が問題なのだ。

個人的に考える主な理由は二つ。

一つは、彼らの指名背景としてドラフト会議時に指名予定だった菊池、鈴木誠也を広島に指名され、上位指名相応の選手ではないのに、繰り上げ指名した経緯がある。ただ高卒内野手を上位で指名すればいい訳ではないということ。

二つ目は二軍の環境と一軍の環境は当然違う。

打者のレベル、バッターランナーのスピード、内野が土のグラウンドが多いのか、人工芝が多いのか、等内野手のプレーする環境が二軍から一軍のレベルになると変わる事はたくさんある。外野手や捕手のように二軍で経験を積んで云々~と同列に語れないと思う。

よって、早い段階から一軍の試合に出て一軍のレベルでプレーすることでレベルアップ出来る機会を失うことは非常に不味いと考えている。


⚫ただ一軍で打席を与えることが選手にとって、チームにとっていいのか

では、チーム事情を無視し、ただただ早い段階から一軍で起用すれば育つか、と言われるとそれも違うと思う。

先程触れた話題と重複してしまうが、例えドラフト上位指名して将来の一軍内野手候補でも、二軍でも成績が残らない選手を今一軍にいるレギュラーを押し退けて使っていける余裕があるのは消化試合真っ只中のチームくらいで、現実的にはなかなか厳しい。

ではどうすれば一軍で出番を与えられるのか。


⚫内野守備だけが一軍経験ではない

一軍で内野手を我慢して使い、内野守備一軍レベルになるまで育てるのはかなりの労力や負担になるのは前述した通り。

なので、冒頭で触れた浅村栄斗(楽天)や平沢大河(ロッテ)のように、外野手などの他のポジションを経て、まず打撃を一軍レベルのピッチャーと対戦して鍛え、打力を筆頭に守備以外の武器を作ってからそれを売りに内野手として起用していくという起用法もひとつの方法であると考える。

内野出身ならではの身体能力を活かし、チームにおけるポジションの穴に上手く嵌まれば出場機会の確保、チームのレベルアップに繋がる。

日本ハムの西川の二塁手再コンバート案はこれに通じるものがあると踏んでいる。

浅村だって、かつては送球難を抱えていて二塁手としては厳しいと言われ、複数ポジションをこなしていたのだ。現実的かはさておき、狙いとしては分からなくもない。

最終的に内野手として成功すればいいということを浅村は前例として教えてくれた。

以上、これらが私の考えである。

読んでいただき、ありがとうございました!