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SHIROBAKO観に行った感想を書くだけの話(ネタバレ大あり)

 どーも二岡せきぬです。

 本日『SHIROBAKO』を観に行って参りまして、感想を書こうか迷っていたのですがノートという都合の良い媒体がある事を思い出し、こうして書かせていただいている次第です(笑)

『SHIROBAKO』というのはガルパンで有名な水島努監督のオリジナルアニメで、制作はPAWORKS。庵野秀明氏など実在の人物をモデルにしたキャラクターが多く出てくる作品です。

 2014年~2015年の半年間、全24話放送されていた作品でして、落ちぶれているアニメ会社に入った主人公・宮森あおいがアニメ業界に翻弄されながらも仲間と一緒に作品を作っていく…というのが簡単なストーリー。ネトフリやHuluで配信されているはずなので、良ければご覧になってください。

 さてここから劇場版を観た感想を書いていくわけですが、正直書きますと褒め7割、文句3割くらいの案配です(笑)そしてタイトルに書きましたようにバリバリとネタバレを書いていきます。一切の躊躇なくネタバレしますので、観てからか寛容な方だけ下にお進みください。

画像の下から感想

 いきなりですが、良くも悪くも前半パートが神憑ってましたね。

 まず、1話のセルフパロかと思いきやエンストする車(笑)ノロノロと動き出す車にキャラクターは映らず、悲しげな歌とともにオープニングが始まりましたね。誰の目にもはっきりと「あぁ、良くない事が起きてるのね」とわかる出だしてとても良かった。

 で、おそらくほとんど誰も気にしてなかったでしょうが、あそこで映っているタワーの色が緑なんですよ。あれは田無タワーという建造物で、翌日の天気を色でお知らせしてくれるんですけど、緑は曇りなんですよ。一方でテレビシリーズの1話やクライマックスでは紫。紫は晴れなんです。だからあれは暗示なんですね。

 話を戻します。ノロノロと車が着いた先が、おんぼろになったムサニ!
 でやっと車から誰か降りてきて、まあ宮森か…と思いきや眼鏡の女・佐藤沙羅なわけですな。宮森はめちゃくちゃやる気なくデスクで寝てると(笑)佐藤に誘われ新作を作る度にいつも行っていた1話放映会に参加するため会議室へ行くと、見知ったキャラがほとんどいなくなっている。

 おまけにテレビでやっているアニメ『第三飛行少女隊』の二期作が元請けムサニの作品でない上にとんでもないエロアニメに変えられていると。

『ガンスリンガーガール』じゃねえか!

 思わず心の中で突っ込んじゃいましたよ…。

 てかこんな悲しい出だしありますか…いや言っておきますがこれは褒めてます。悲しくなってしまうくらい予想してなかった始まり方だったという意味でございます。

 まあテレビシリーズを映画化するのであれば、物語の大枠は予想できるじゃないですか。ムサニで映画作る事になったんだろうな~とか、新キャラとタッグ組むんだろうな~とか、宮森とかはテレビシリーズよりも偉い立場になって、作中作の中心に食い込んでくるんだろうな~とか。そうでないとやる意味ないですから。

 ただまさかムサニが落ちぶれているとは思いませんでしたし、それと同時に「なるほど」とも思いましたね。『SHIROBAKO』ってキャラクターが多いじゃないですか。2時間程度の映画でそのキャラをどう落とし込むのかなと思っていたんですが、なるほど最初に排除してしまえば良いのかと。そうすれば宮森も違和感なくプロデューサーに昇進できますし、スムーズに話が展開する。まずはここで心を掴まれましたね。

 もう本当にね、痛々しい場面の連続でしたね。メインキャラ5人で会うシーンとかも、テレビシリーズではがむしゃらに突き進んでいく若者の眩しさがありましたが、映画ではただの馴れ合いと化していて…嗚呼って思っちゃいました。こんな残酷なシーンを描くのかと。もちろんこれも褒めてます。

 とにかく新作映画の話が持ち込まれてくるまでは苦しいシーンの連続で、宮森が丸川元社長のカレーを食べて泣くシーンなどは観ていられない。

 そんな落ちぶれた宮森が復活するシーンが、とにかくこの映画の中で一番神憑っていました。

 観た方は覚えていらっしゃると思うのですが、制作期間が残り10ヶ月しかない映画の話を持ち込まれた宮森が、イマジナリーフレンドのロロやミムジーと会話しながら突然歌い出すシーンありましたよね?ミュージカル風に。しかもわりと長い間歌うという(笑)

 最初面食らって「なんなんだこのシーン」と思いながら観てたんですよ。ただテレビシリーズ1クール目に作った『えくそだす』のキャラが出て、次に『第三少女飛行隊』のキャラ、更には宮森が好きなアンデスチャッキーが登場。そしてその他テレビシリーズに出てきたキャラと一緒に踊って歌う。

 これはつまり、宮森あおいがこれまで支えられてきたものなんですね。

 アンデスチャッキーは純粋にアニメを楽しんでいた子供の頃の自分、えくそだすは無我夢中で仕事していた駆け出しの頃の自分、第三飛行少女隊は自分の手で成功させたといえる最初の作品であり、テレビシリーズのテーマであった"自分の夢"に答えを出せた作品でありました。

 失敗して燻っていた自分を奮い立たせてくれたのが、他でもない自分自身だったんですね。

 それを言葉で現すと途端にチープになるから、歌って踊らせたわけです。

 このシーン、『クレヨンしんちゃん モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の最も有名なシーンである"ひろしの回想"と似てるんですよ。

 ひろしの回想というのは、洗脳され子供に戻ってしまった野原ひろしがしんのすけに自分の靴下の臭いを嗅がされ正気に戻るまでの、約3分間ほどのシーンです。

 この間セリフなどはなく、ひろしの子供時代から二児の父親になるまでの半生を淡々と描いているだけなのですが、まあこれが泣ける泣ける(笑)

 彼がどこで生まれて、どんな子供時代~青春時代を過ごし、上京し、みさえと出会い結婚し、しんのすけとひまわりが生まれ家族になっていったのか。大人になる過程、一人の男のちっぽけかもしれない等身大の人生を見せられて当時僕は号泣しました。

 人が積み重ねた時間って尊いんですよ。それはひろしでも宮森でも同じです。ひろしはいろんな人に支えられて生きてきましたし、宮森はそれをアニメキャラクターに変えて表現している。それが理解できた瞬間、心をグ~っと掴まれたわけです。

 だから泣きましたね。ひろしの回想同様。

 オープニングのシーンから宮森の歌まで、本当に神です。ファンの贔屓目抜きにしても、ここまで絶望と希望を表現されてしまったらお手上げですよ。素直に泣くしかない。

 多分もう一度観に行きます。このシーンを観る為に。

 …ただ冒頭にも書いたように、文句もあります。後半はひたすら普通でしたね(笑)かつての仲間がもう一度集まってくるじゃないですか、チームワークで乗り切るじゃないですか、判で押したような悪役を倒すじゃないですか、最後に言いたい事を伝えるじゃないですか。

 前半が凄すぎただけに、後半部分はやけに平凡に思えちゃいましたね。もちろんSHIROBAKOファンであれば楽しめる内容だったと思いますし僕もSHIROBAKOは好きですが、例えば仲間が集まってくるシーンって劇場版『ガールズアンドパンツァー』を上回れてないじゃないですか。同じ事するんなら上回ってほしいですよね~…というのが、金払った分の正直な感想であります。

 あと新キャラの若手いらないだろ!(笑)しかも男だし(笑)まあそれはいいとして…。

 まあ、ああいう風に作るならテレビシリーズ二期も作ってほしいですよね。制作進行→デスク→プロデューサーと駆け上がってるわけですから、最後は宮森が監督やるなりしてメインキャラ5人でアニメを作ってほしい。それを1クールでも良いからやってほしいです。

 とはいえ全体的には面白かったですし、満足しました。ボツにされた『タイム・ヒポポタマス』のストーリーをSIVAに当てはめるところなんか、宮崎駿が若手時代24時間テレビから依頼された2時間作品を「手塚治虫先生にやってもらう事になった」とボツにされ、そのストーリーを10年後『となりのトトロ』に活かしたとされるエピソードを想起させて大変良かったです。

 映画に点数を付ける習慣はないのですが、付けるとすれば絶対★5つ中3よりは上です。3.5ってところですかね。

 という事で、以上で感想を終わらせていただきます。長々付き合っていただきありがとうございました!次はラブライブの京極監督が作ったクレしんの映画でも観に行こうかなと思います。ではまた。

追記

後半部分の感想文書きました。良ければご覧ください

SHIROBAKOもう一度観に行ってクライマックスシーンの意味がやっとわかりました、という話(大ネタバレ)|二岡せきぬ @kyojakupanda #note https://note.com/nioka_sekinu/n/nfd5ce75bd92d

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