フェース角度について
なぜ踊っている最中には目線を上にあげるのか?先生によっては「二階を見なさい」「ラテンは2階でも良いがスタンダードは三階だよ、どうせ下がって来てしまうし」とか。とにかく上を見る必要があります。
これはダンスだけに言えることではなく、全てのスポーツに言えることです。宮本武蔵も「頤を出す」と五輪書の中に記述。剣道でも遠い山を見るように相手を見る「遠山の目付け」と言う。
顎を引くと目線は(フランクフルト・ライン=目の下の線と耳の穴を結ぶと平行になる)自動的に斜め下に向き、進行方向を見るために目線を平行にしようとする目の周りの筋肉が緊張し上目遣いになる。そうすると体全体が硬直する。
反対に顎を上げると(カンペル・ライン=鼻の先と耳の穴が平行になる)真っ直ぐに前方を見ると目が緩む感じになる。目が緩むと体の緊張は解ける。
目は体の動きをリードするので、目が動きにくいということは身体が動きにくいという事に繋がる。ダンスでも進行方向にしっかり両眼を向けなさい、と言われるのはこのことです。
PPの時は両眼で進行方向を見る。クローズドポジションで壁斜めに面して動くなら自然に両眼が進行方向を向いていることになる(男性の場合)。
また、ダンスで、特に左回りの時に、先生が説明することは、先に頭を(=目を)左に向けなさいとか言います。リバースターンとかスローのベーシック・ウィーブに入る時など左を見れば体は回ってくる、との説明は覚えています。
フランクフルト・ライン(顎が下がる=目線は上)で左右に眼球を動かすのとカンペル・ライン(顎が上がる=目線は下)で左右に眼球を動かして比べてみて下さい。緩んだ下方目線の方が動きやすいと思います。
目は一点を集中して見ると、直視したところはハッキリ見えますが、周辺の情報は見えなくなってしまいます。目だけでなく意識も重要です。
女性はぶつかりそうになった時、コンタクトで男性に知らせてくれることになっていますが、初心者の女性の場合、別に悪気はないと思いますが、ぶつかってから知らせる人が多い。
これは意識が自分のこと、特に足型をしっかりとか間違いなく踊りたいとかに集中し過ぎて、中心視野で直視する結果、周囲の状況が把握出来ないからだと思っています。
つまり、反対に「遠山の目付け」で全体的な、ぼんやり、視野を広げて遠くを見ると、駅のラッシュ時の構内を歩く時でも、信号が青になって対抗者の人ともぶつからず颯爽と歩けるのです。
まとめ:どんなスポーツでも「力む」と力を発揮できません。顎を上げていると自然に目線は下になる=身体に力が入らない=動きやすい。(その時、口を半分開けて舌を上の口蓋に当てると更に力まない、と読んだことがあります)。
参考本「一流選手の動きはなぜ美しいのか」小田伸午 著
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