土曜日

気持ちが前向きな金曜日の夜には、「明日は土曜日なんだ」って強い予感が、お風呂上がりの足元にやってくる。

土曜日にやることはだいたい決まっている。

8時起床、ぎりぎりまでねばって、ゴミ出しへ。
観念して起きて、お洗濯。
そのあいだにパンを焼く。バター多め。
余力があれば、目玉焼き。
さらに余力があれば、コーヒーも。
食べ終わったら掃除機かけて、窓開けて、
英雄ポロネーズか、シューマンののんびりした曲をかける。
お風呂とトイレを掃除して、
そうこうしてるうちにお洗濯が終わる。
おひるごはんをつくる気力がちょっと削げて、何か具材を切るなんて絶対できないと思う。冷蔵庫にだいたい、先週末買ったキャベツが余っている。

子どもの頃、土曜日のお昼ごはんが、必ず焼きそばだった理由を急に理解する。
「なんでいつも同じなの」と聞いたとき、
怒られも弁解もされず、ただ笑っていた両親がいる。

いまの私は土曜日に、絶対焼きそばを食べたい。食べなければならない!(でも作らない)

楽だからとか、それ以上に、土曜日は焼きそばだという、強固な真理がある。絶対にある!ほんとは大人がみんな知っていること。


調子がいい日の金曜日の夜は、「明日は土曜日だ」と強く思う。予感が焼きそばを食べたい気持ちをつれてくる。それでも朝起きたらやることは決まってる。本当の本当の調子のいい土曜日だけ、私は焼きそばを食べる。

子どもの頃、焼きそばを食べた後の土曜日は、どこでどう過ごしていたのかまったく思い出せないけれど、土曜日の予感の始まりは、もうすっかり変わってしまったと思う。朝寝坊すると頭が痛いし、早く起きてお洗濯は最高。

変わってゆく土曜日を悲しく思うけど、わたしは今、明日焼きそばを食べたいと思えてる。キャベツもお肉も焼きそば麺もある。

おばあちゃんになるまで、土曜日の予感に、ずっと焼きそばの気配があってほしいなって、そしたらずっと、ほんのり私は楽しいんじゃないかって、そんなことを思う日でありました。

セブンでフィナンシェを買います