見出し画像

俺がゼノブレイド2について語りたいからみんなプレイしてくれ

去る2017年12月1日、ゼノシリーズ最新作 Nintendo Switch用ソフト「ゼノブレイド2」が発売された。多くのプレイヤーから圧倒的な支持を受けたWii用ソフト「ゼノブレイド」、尖りすぎたオープンワールドゲームとして賛否両論だったWiiU用ソフト「ゼノブレイドクロス」。ゼノブレイド2がどのような作品となったのか、プレイ時間が150時間を超えたがいまだに熱が冷めない筆者が紹介したいと思う。ストーリーのネタバレは極力避けるつもりなので、本作の購入を検討している方には是非読んでほしい。本文が購入を判断する上での一助となれば幸いだ。

ストーリー

本作は監督がインタビューでも述べている通り「ジュブナイル&ボーイミーツガール」だ。少年が少女と出会い冒険へと旅立っていく……近年のRPG作品では逆に珍しくなるぐらい王道なお話となっている。これを王道と評するか、手垢のついたベタベタな物語と評するかは賛否の分かれるところだろう。しかし、巨大な生物の身体の上や体内が舞台となる独自の世界観は新鮮だ。王道な物語と個性的な世界観のバランスは実に心地いい。ストーリーは最後までボーイミーツガールという軸からブレることなく綺麗に完結し、クリア後は晴れやかな気分になれた。来年秋に配信される新規シナリオが楽しみだ。

キャラクター

そんな物語を彩るキャラクターたちももちろん魅力的だ。味方、敵ともにプレイしていてイライラするようなキャラはおらず掘り下げも丁寧で好感が持てる。

主人公のレックスは一見するとよくある熱血系主人公のようだが、すでに1人で生計を立てていて故郷に仕送りをしているという大人びた一面もある。賢くも真っ直ぐな少年で見ていて気持ちがいいキャラクターだ。

ヒロインのホムラは穏やかな性格でどこか儚げな印象を与えるが、内に秘めた強い意志を感じ取れる存在だ。物語が進むにつれて徐々に距離が近くなっていくレックスとホムラの関係性は甘酸っぱく微笑ましい。

ホムラのもう一つの姿であるヒカリもまた可愛らしい。ホムラとは対照的な性格であり、いわゆるツンデレなキャラクターとなっている。しかし、セリフの端々からは優しい性格であることがわかり、意外にも心配性であることが伺える。ホムラとはまた違った関係性をレックスと見せてくれ、この2人のやり取りもニヤニヤしながら見てしまうこと間違いなしだ。

主人公と2人のヒロインについて紹介したが、他のパーティメンバーも個性的だ。第2(第3?)のヒロインと言っても過言ではないニアは普段は気の強い女の子でありレックスとは気の合うケンカ友だちという間柄だが、実はかなり気を遣うタイプでパーティメンバーが落ち込んでいる時には優しく接してくれる娘だ。相棒のブレイドであるビャッコは見た目は虎そのものだが、紳士的な性格でニアを「お嬢様」と呼び執事のように付き従っているという中々ギャップのあるキャラクターとなっている。

パーティのムードメーカー的存在であるトラは、ドライバーに憧れながらも適性がなかったため自身専用の人工ブレイド・ハナを作り出してしまうノポン族の少年。トラを主人と尊敬しながらも結構な頻度で毒舌発言が飛び出すハナとのやり取りはコントのような面白さがある。

他にも関西弁を喋る厨二病の25歳(CV津田健次郎)とかもパーティに加入する。
パーティメンバーは全員仲がよく和気藹々としているので、もしあなたがこのゲームをプレイして物語の中盤まで来た時には「このパーティでの冒険をいつまでも続けていたい」と願ってしまうことだろう。それぐらい愛着の湧いてしまうキャラクターたちだ。

音楽

Wii用ソフト「ゼノブレイド」は音楽でも高い評価を得ていたが、それは本作でも健在だ。
通常戦闘はもちろんボス戦やユニークボス戦時も豊富な曲数が用意されており戦いを盛り上げてくれる。
フィールド曲も舞台となる国や地域に合わせて変化し、それぞれの個性がよく表れている。マップが広大なためフィールド曲を聴く時間は自ずと長くなるが、飽きるようなことはなかった。
イベントシーンでの音楽の流れ方も巧みだ。本作ではムービーが流れることが多かったが、ムービー自体の出来がいいのはもちろん音楽による演出も良く魅入ってしまう。イベントシーンで主人公たちが劣勢から逆転する際に流れる曲である「Counterattack」はとても印象深い一曲だ。
劇中で使用される曲は実に多彩でサウンドトラックの発売が待ち遠しくなってしまう。

フィールド

上述の通りフィールドの多彩さも本作の魅力の一つだ。国や地域によってガラリと変わるフィールドはただ歩いているだけでも楽しくなってしまう。また、昼や夜、天候によって表情を変えるフィールドは私たちを飽きさせない。

広大なフィールドには多くのモンスターが生息しており、中には桁違いに強力ななモンスターもいて冒険に緊張感を持たせてくれる。「秘境」と呼ばれるただ歩いているだけでは見つけることが難しい場所もあり、自力でそこに到達できた時の感動はひとしおだ。

戦闘システム

本作を語る上で外せないのは、やはり独特な戦闘システムだろう。
公式でブレイドスイッチバトルと評されるシステムは、その名の通りブレイドと呼ばれる武器を切り替えながら戦いを進めていく。ブレイドには攻撃、防御、回復と役割が決まっており、その役割に応じた技(ゲーム中ではアーツと呼ばれる)を発動することが可能だ。また、技の組み合わせで発動できるコンボにはドライバーコンボ、ブレイドコンボ、フュージョンコンボと3種類あり……と、こう書くと非常にとっつきにくく面倒くさい戦闘システムだと思えてしまうだろう。しかし、実際にはブレイドの切り替えもボタン1つで済み、技の発動もボタン1つで可能だ。戦闘に慣れてくれば「シンプルな操作で奥深い戦闘システム」が実現していることが実感できるだろう。フィールドでの雑魚戦がここまで楽しく感じるゲームも珍しいのではないだろうか。システムを理解すれば理解するほどダメージが伸びたり、レアなアイテムや経験値ボーナスを手に入れられるのでボス戦も苦にならない。

ここがダメだよゼノブレイド2

さて、ここまでゼノブレイド2の魅力を語ってきたが、本作は減点方式で評価すれば赤点ギリギリの作品だ。それは何故か?プレイヤーに不親切だからである。あまりに不親切すぎて、怒りよりも先に「これちゃんと開発陣以外がテストプレイしたの???」と心配になってしまうぐらいだ。
具体例を挙げていけばキリはないが、プレイしていて気になった不満点をいくつか説明していきたい。
まず、戦闘システムの複雑さがある。本作ではストーリー進行に合わせて戦闘システムが段階的に解放されていく。その度にチュートリアルが表示されるのだが、終了後にそれを見返す手段が存在しない。3種のコンボや戦闘画面の見方など覚えることは多いのに、初回のチュートリアル以外で確認する手段がないのはあまりに不親切ではないだろうか(現在は公式HPから各チュートリアルが動画として視聴が可能となっている)。戦闘の難易度も戦闘システムを全て理解したことを前提に設計されている節があり、中盤以降のボス戦では膨大なHPを削りきらねばならない。レベル差でゴリ押しするという単純な戦い方では攻略は難しいだろう。
また、プレイヤーが見ることが可能な各種情報の少なさについても言及したい。例えばブレイドの強化やサブクエストの達成に「〇〇というモンスターを倒せ」や「××というアイテムを入手せよ」という条件を満たす必要があるのだが、本作ではモンスター図鑑やアイテム図鑑といった要素は一切存在しない。特定のモンスターを倒す必要があるならその生息地を、特定のアイテムを入手する必要があるならその入手場所をプレイヤーが記憶しておかなければならない(一応、所持アイテムについては大まかな入手場所は表示される)。あまりの不便さに攻略本の購入を真剣に考えるレベルである(ちなみに筆者は購入した)。
上記の不満点はストーリーを進める上で無視できない要素のため、プレイヤーは序盤からストレスに晒されることになるだろう。

素直に人にオススメできない傑作RPG

本作は非常に粗削りなゲームになっている。戦闘システムやマップ探索要素などはこだわりにこだわり抜いて開発陣の熱意を感じられる一方で、各種UIやシステムはお世辞にも褒められたレベルではない。定期的に行われるアップデートにより発売当初に比べればかなり快適に遊べるようになったが、それでもストレスを感じる場面は多い。
だが、そんな欠点を補って余りあるほどの魅力が本作にはある。ストーリー、世界観、音楽、キャラクター、戦闘システムその全てがプレイヤーをゲームの世界へと引き込むのだ。初めのうちは不満点ばかりが目立ち、本作の魅力に気づくことは難しいだろう。しかしプレイし続けているといつの間にか時間を忘れて没頭している自分がいるはずだ。やればやるほど新たな面白さが見つけられる。ゼノブレイド2はそんな作品だ。
そのため、「手軽に遊べるゲームがプレイしたい!」という方には決してオススメできない。本作の監督を務めた高橋監督が「寄り道せずにメインストーリーだけを追い続けてクリア時間が60時間弱」とインタビューで語っていることからも本作のボリュームがわかってもらえるだろう(ちなみに筆者のクリア時間は100時間弱だった)。反対に「腰を据えてじっくりと楽しめるゲームがプレイしたい」という方には自信を持ってオススメできる。キャラクターの育成やフィールドの探索やサブクエストの達成などはもちろん、戦闘面では各フィールドにいるラスボスより強力なユニークボスに何度でも挑戦することが可能だったりとストーリークリア後もやれることは多い。最近では待望の2週目要素が解禁され、1週目では仲間にできなかった敵側のキャラが使用可能となった。今後のアップデートでも新しい武器の追加やサブクエストの追加が行われるとのことなので益々やり込み要素は増えていくことになるだろう。
秋には追加シナリオの配信も予定され益々盛り上がるゼノブレイド2。興味のある方は是非プレイしてみてほしい。

最後に

これからゼノブレイド2をプレイしてみようと考えている方に一つだけアドバイスしたいことがある。
それは「行き詰まったら攻略サイトやプレイ動画を見たり、プレイしたことがある人に質問してみよう」ということだ。
本作のフィールドはかなり広大なため、メインストーリー中でも道に迷って目的地にたどり着けないということが多々ある。また、チュートリアルが全体的に説明不足なこともあり戦闘システムを理解するまで時間がかかるため、序盤のボスが異様に強く感じることもあるだろう。寄り道やボスに合わせて戦略を構築することも本作の醍醐味ではあるのだが、1番大切なことはゲームを続けるモチベーションをいかに維持していくかだ。ストーリーやシステムの魅力に気づく前に飽きてしまっては、あまりにもったいない。長くやり続けるゲームだからこそ些細なことで躓かないようにしたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?