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今日は兄弟の日

登場モノ

薄揚げ太:油揚げの妖精、兄

厚揚げ男:厚揚げの妖精、弟

その他妖精

薄あげ太(うすあげた)と厚揚げ男(あつあげお)は仲の良い兄弟だった。ある日弟の厚揚げ男が油池近くを歩いていると油池に溺れている揚げ玉の子に気が付いた。厚揚げ男はグツグツと唸りブクブクと泡立っている灼熱池にひるまず揚げ玉の子を助けた。

揚げ玉の子は何度もお礼を言って油取り紙の家に帰っていった。油池の油には慣れている厚揚げ男だったけれど油池のご機嫌がたいそう悪かったようで、油はいつにもまして煮えたぎっていた。

流石の厚揚げ男も血圧が上がってしまい床に伏してしまった。これを心配した兄の薄揚げ太は逆療法で、油池の油を飲ませれば、少しは良くなるだろうと思った。そして油池の油を汲みに行ってみるとまた揚げ玉の子が、今度は何人も溺れていた。

薄揚げ太は一人一人助けたのでは間に合わない、最後の子が黒焦げになると思い、金網のついた柄杓で彼らを救い上げた。揚げ玉の子たちはポロポロ、大粒の油涙を流しながら、薄揚げ太に礼を言って、彼らの家である油取り紙へと帰っていった。

厚揚げ男は兄が汲んできてくれた油を飲んで、少し具合が良くなり、二人は誰にも怪我がなくって良かった、良かった、と喜び合った。そうしているところへ、揚げ玉たちの両親がお礼にやって来た。

二人は出汁と醤油をを兄弟に差し出し、これで澄まし汁を作って飲めばもっと元気になりますと言った。そして丁寧にお辞儀をして帰っていった。二人は早速、出汁と醤油を合わせて澄まし汁を作りこれを飲んでみると、驚くほど、美味く、元気が湧いてきた。

しかも出来上がった澄まし汁は飲んでも飲んでも一向に減らなかった。厚揚げ男の血圧を心配している薄揚げ太は何事もほどほどにしておこうとこの澄まし汁を近所の飛竜頭(ひりょうかしら)に預けた。

預かった澄まし汁なのに食いしん坊の頭は二人よりも余計に飲んで、よだれをだらだら流すようになったとさ。

大変貧乏しております。よろしかったらいくらか下さい。新しい物語の主人公を購入します。最後まで美味しく頂きます!!