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マジカル戦士出演数ギネス記録獲得映画を見ると人生の走馬灯の質を大幅に向上させ自身の生き様に箔がつく

タイトルが誇大広告じみてるというか頓狂な見出しにしなければ目に入らず読まれないという承認欲求が隠しきれてない痛々しい文章だが、これは当初この映画を初めて見た際に涙を流しつつ本気で思ってしまった感想なので大目に見ていてほしい。自分の気持ちに正直に書いたらこうなったのだのでこっ恥ずかしい屁理屈としてあえて記しておく


・はじめに

今年の3月に公開する予定だったプリキュア映画がやむを得ない事情で延期することになり(追記:ようやく公開決定したね)昨今の情勢が不安を感じるのを公式が配慮してくれたのかYouTubeでプリキュア映画の過去作品を毎週3本ずつ配信してくれたのは記憶に新しい(全部見た)が、流石に去年放映したばかりの『映画プリキュア ミラクルユニバース』と『映画スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて』そしてAmazonプライムビデオNetflixで配信されたばかりで今回ここで話す『映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ』は流石に配信されなかった。

邦画を独特な目線も交えて愉快にプレゼンする『邦キチ!映子さん』で紹介されてたのも記憶に新しい。漫画内でツッコミ入れられてたように長いタイトルだが『映画プリキュアオールスターズDX3 未来にとどけ!世界をつなぐ☆虹色の花』の方が僅かに長かった

既にこの作品を見た人なら知ってるだろうがこの映画はプリキュアを見てきた“想い出”でぶん殴ってくるような内容であり、ちょうど歴代プリキュアの過去映画を再び見返した自分がもう一度これを見返すのにちょうどいいタイミングだと思いAmazonプライム会員であることを利用し再び見てきた。そしてこのnoteに公開当時見てきた感想や改めて見直して気付いた部分を書き綴ろうと思う。なおこれを読んでいる人は既にこの映画を見た前提で話を進めるので了承していただきたい。それではレッツ #キュア泣き !(誰が考えたんだろうねこの某映画の二番煎じみたいなハッシュタグ)

・冒頭―かわいいだけじゃないのがベイビーの約束なの―

プリキュアのオールスター映画の舞台といえば横浜でしょといわんばかりに謎の怪物(スタッフロールによると「モンスター」という名前だそうな。フュージョンやボトムら一族なのだろうか)が赤レンガ倉庫近くの海上から現れ暴れる!搭乗していた観覧車のゴンドラが飛ばされ大ピンチのゲスト俳優の山本美月!そんな闇の力のしもべをとっととおうちに帰して山本美月達を救出するキュアブラックにキュアホワイトそしてシャイニールミナス。みんな大好きエキストリーム・ルミナリオをわざわざ新規で描き直してる豪華ぷりだ。一通り片付けてチョコパフェ食べようといつもの且つそれこそ尊いである日常会話をしようとしたその時、てるてる坊主みたいな姿をした幽霊が襲いかかりルミナスが……

そんなこんなで場面転換、野乃はな御一行がみんなで一緒にピクニックへと出かけるのどかなシーンへ。はぐたんをカメラでじゃんじゃか撮りながらOPに入るがOP中にまず注目ポイントが。それははぐたんがウ○チを漏らしたのである。

こっちもやっちゃったねぇ…

しょーがねーだろ赤ちゃんなんだからで済ませたい所だが冷静に考えてほしい。この映画公開から少し後にはぐたんの正体は未来から飛んでくるもアスパワワを過剰消費したせいで幼児退行してしまったキュアトゥモローと判明する。そしてはぐたんは普通の赤ん坊では使えない不思議な力を行使する……これがプリキュア由来と考えるとつまりはぐたんはキュアトゥモローに変身したまま乳児化したということに…
お気づきだろうか、実質プリキュアが脱○したということになるのだ!なにかと今までにない描写をしてくれたとメディアに持ち上げられて話題になったHUGっと!プリキュアだが、まさかプリキュアだってウ○コするという描写を……これ以上はやめよう。流石に怒ってここから下の文章読まれない可能性あるし

こいつ公開当時から言ってやがる

とふざけたことは置いといて上に置いたふせったー内でも言及してたとおり大切なのは赤ちゃんの下の世話という避けて通れない汚い部分も5人のチームワークで速やかに対応できたことである。上述の通りテレビ本編だとはぐたんはプリキュア由来と推測される超能力では何度か無茶苦茶してたが育児絡みで手間取らせたことはそこまで無かった。これに対して「赤ちゃんなんだからもっと周りをワガママで振り回して育児の生々しい辛さを書いてくれなきゃ勿体ない」と物足りなさを感じた人はちらほら存在した
そこでこの映画ではこのように「赤ちゃんの世話をみんなでこなすから苦になってない」とうまい落とし所をつけたのである。なるほど、となれば本編もそんな感じに皆で対処してるんだろなと想像も付く。赤ちゃんは無限の未来の象徴、未来はみんなで育むもの……

なら逆に一人だけで面倒見なくてはいけないなら?と意地悪に考えてしまうもの。それにお答えしようといわんばかりにデジカメからミデンが登場!変身して応戦するも歴代プリキュアの技を多彩に使いこなすミデンに圧倒されついにはキュアエール以外の4人、そして助けに来たキュアホワイトも子どもにされてしまった!

このボルトはどこから湧いてきたんだよ


こうなってしまったらみなさんお待たせしました児童の本質を見せる時。靴を38回投げ飛ばし田村奈央さん迫真の演技で他スタッフが流石にやりすぎではと引いたほどのギャン泣きを延々と泣き叫ぶちびマシェリ!隙あらば逃げ出し抱え込まれた腕に噛み付くちびエトワール!逃げ出しテレビ局関係者に助けを求めるちびアンジュ!

ちなみに公開当時に発売した児童向け雑誌に「まいごになったらどうするの?」クイズが掲載されておりちびアンジュによる4択があったのだが正解の④たすけをもとめる。がまんま映画と完全に同じだった。ちゃんとキュアアンジュではなく「やくしじさあやです」と変身前の本名で言うとこも一致。いやだってこういうのって絵の都合でプリキュアが代役してるけど実際に迷子になったら本名を言いましょうみたいな理由で描いてると思うじゃん。そのまんま。マジかよ!?


特にメップルミップルを容赦なく耳掴んでぐるんぐるん振り回したり携帯アイテム化してもガンガン叩きつけるちびアンジュ&エトワールは最高すぎた。ココとナッツをもみくちゃにする夏木弟妹しかりキャンディをぶんぶん振り回す緑川ゆうたしかり妖精がチビっ子に手加減なく弄ばれてるのは(やられてる側はたまったもんじゃないが)見ていてニコニコしちゃう。ヒーリングアニマル達もその素質は強く持ってる。未来は明るい(追記:ジョセフィーヌ事件はあったけどあれもペギタンと打ち解けて心から分かり合ったしすこやか市のみなさんは本当に良心的でしたね……)

脱線したが大変なのはミデンの幼児退行ビームから無事だった野乃はな。少し前までは仲間で赤ちゃんの世話して何も問題なかったのにそんな仲間がみんなこちらの世話を焼かせる等身大の幼児と化して襲いかかる!泣き止まないちびマシェリを抱っこ紐で抱え、記憶を奪われたので面識知らずなこわいお姉さん(自分のこと“優しそうなお姉さん”と言うはなの図々しさもポイント)から逃げようとするちびアンジュとちびエトワールを両脇に持ち一瞬たりとも気を許せない状況に追いやられ育児タスクが倍増かつ複雑化そしてなにより頼れる仲間に助けを求められないどうすりゃ仲間が元に戻るかも分からない終わりが見えないワンオペ育児。完全に育児ノイローゼである。

上記の本編の育児要素に満足してなかった人もこれにはニッコリ。お子さんと一緒に見ていた親御さんの心中お察しします…ちびアムールがなんもしないのは唯一の救いか(幼少の記憶なんて無いからなんもしないと考えるとどこか物悲しい所もある)

・プリキュアだって普通の女の子
―そんな当たり前のことのどこがいけないのよ―

最初はかわいいだけみたいと思ってたのに、こうも親切丁寧に子育ての生々しい現実を見せつけられ視聴者の肝を冷やすベイビープリキュアの振り回しっぷり。はな本人もあんなに一緒だったのに今じゃ自分のこと忘れてお家に帰りたいと泣く仲間を見せつけられ解決策も無いまま八方塞がり、まだ平和だった頃に一緒に撮影した写真を見て独りになってしまいどうしようもできなくなった実感し子どもを差し置いて自分が泣いてしまう……
…今になって見たら本編終盤でジョージ・クライが彼女に仄めかした民衆のために立ち上がる英雄と、その英雄に待ち構えていた“結末”を思い出して本当に笑えない。そりゃこんなんなったら彼みたいに未来なんか信じられず過去の美しい想い出しか見えなくなるわとも思ってしまう。

はぐたん含む幼児化したみんなを守らなきゃならないのに泣いてしまった野乃はなを見て「へ、へこたれてる場合か!プリキュアやろ!?」と厳しいこと言うハリー。確かに初代のお二方も変身できぬ現状ミデンが再び来たらエールがやるしかない……とはいえそんな容赦ない現実を見ろと告げる彼に美墨なぎさが訴える

「そんな言い方やめて!プリキュアだってただの中学生だよ!?自分だけでどうすることもできなかったら誰だってそうなるじゃない!」

記憶を奪われ自分のことを忘れてしまった相棒をそばに彼女も内心同じ気持ちを抱えているのだ…この映画で自分が初めて泣いてしまったシーンはここである。この台詞。美墨なぎさだからこそ言えるのである。自分はこの言葉を待っていたかもしれない。

放送記念日である2月1日がプリキュアの日に制定されたりと話題になったプリキュアシリーズの偉大なる第一歩である一番最初の作品『ふたりはプリキュア』の主人公がひとり、美墨なぎさことキュアブラック。オールスターズ映画で拳一つで敵を圧倒する驚異的な描写を何度も見せつけいつの間にかファン内外からホワイトと並び「初代最強」「初代こそ至高」なんて持て囃されてしまった。TwitterではそのAS映画の活躍を切り取った動画がバズりまくりプリキュア見たことないけど初代が最強なのは知ってると自分のリア友が言ってたくらいには話題になったこともあった。

しかし実際に『ふたりはプリキュア』を見ていた人はどちらかというとそんな最強扱いよりもなぎさに対しては「等身大の女子中学生」のイメージの方が間違いなく強いだろう(そりゃマックスハートでのひかりの友人・多幡奈緒の反応があるように表面上は憧れの象徴にされてもおかしくないハイスペックを持ってるが)
弟へのコブラツイスト、メップルへの扱いの悪さ、絵のヘタクソぶり、「なるべくがんばるぞ」の台詞に代表されるような調子のいい性格、そして藤村先輩への恋心、ほのかの余計な気遣いから生じた気持ちのすれ違いからの失言そして仲直り……そこにあるのは崇め奉られる伝説の戦士というより年相応の中学生そのものである。

なによりなぎさ自身も今のはなのように敵の作戦でほのかと引き離されてしまって孤独による不安と恐怖でパニックになり、どうすればいいか分からずうずくまることしかできなかった過去があるからだ。

ふたりはプリキュアは現在AmazonプライムビデオやNetflixといったサブスクで全話配信されてるぞ。おすすめは月額税抜400円にてほぼ全てのプリキュアシリーズを網羅しているdアニメストアだ!

バカにするのもいい加減にしてよね……バラバラ?一人じゃなにもできないって?そんなの当たり前じゃない……みんな元々一人じゃない。私が私のためにほのかを探してどこが悪いの?自分を大切にしてなにがいけないのよ……一人じゃ何もできなくたって私にできることはたくさんあるんだから……そんな当たり前のことの……どこがいけないのよ!!!!

上記の42話から。キュアホワイト…ほのかと引き離され、さらには「お前は無力な自分を安心させたいだけなのだ」「すべては自分自身のためなのだ」と所詮は自分のことを大切にしたいだけと責めるベルゼイ達に対し(しかし実の所それらは言ってる本人達もそうだった…)あまりにも長いのでTwitterの140字制限に収まらない怒りの本心の叫び。そんなのは分かってる、アンタたちが今さっきこれでもかと味わわせたから。だから私は今すぐにほのかを助けたいの。それこそアンタらの言葉どおり“自分のため”でもあるから。そこには闇を祓う光の戦士キュアブラックではなく、美墨なぎさとしての、普通の少女としての等身大の心があった。

ファンの間では8話に並ぶ有名な42話『二人はひとつ!なぎさとほのか最強の絆』。自分はハリーに対して放ったこの台詞で“上辺だけで判断されがちだった初代最強説を本人からによる払拭”と感じた(ここらへんはHUGっと!プリキュア本編でも取り上げられてるので機会があれば話したい)。そしてそれこそがこの映画における“実際にプリキュアという作品を見た記憶を思い起こさせる”というテーマに繋がる最初のポイントなのである

・人の記憶こそ時間
―私はほのかじゃなきゃやだ―

我々の記憶を想起させたその時、再びミデンが襲来!変身前を狙われ容赦なく光弾を放ち……それを矢面に立ち受けるのは変身すら出来ないなぎさ!「ほのかがいないとダメだから、ほのかが大好きだから」先程引用した42話の台詞のような本音を彷彿させる。「地球のため、みんなのため、それもいいけど忘れちゃいけないこと…あるんじゃないの?」そう歌っていただけある

「ほのかが忘れても、わたしは全部憶えてるから!」とケンカしたことや恋バナしたことを叫ぶなぎさ。その声に知らないお姉さんの筈なのになぜか涙が出る小さい頃のほのか。それに対してミデンは嬉々として彼女から奪った記憶を語り出す。よし美先生の結婚式、文化祭のロミオとジュリエット、エンディング歌った合唱コンクール、そしてプリキュア手帳に記しお互いの絆を深め名前呼びし合うキッカケになりポイズニーの変装を見破ったふたりだけの共有秘密情報「なぎさの靴下はちょっと臭いかも」を上げてくる。最後のはまさによりにもよってすぎてゾッとした。本編知ってるからこそ分かるそこを拾う恐ろしさよ。
しかし所詮は記憶の剽窃しつらつらと出来事を読み上げてるだけ、それを実際に体験した雪城ほのかはこちらにいる……そして…

「なぎさぁーっ!!!」

記憶を奪われ憶えてない筈なのに、それでも彼女の名を叫ぶほのか。その声に反応しミラクルライトが現れる。そしてその光で包み込む『ふたりはプリキュア』のシーン……それは“なぎさが持っているほのかとの想い出”である。たとえ記憶を奪われようが実際に経験した時間は決して無くならない、そしてその同じ時間を一緒に経験した存在が憶えていれば……

呼び起こされる数多の記憶…実際に経験した時間。原点であるふたり、しかしそもそも運動部と科学部という接点なぞ微塵も無かったし、そして偶然の重なりでプリキュアとして変身してもリアルタイムで約2ヶ月間も美墨さん雪城さん呼びと他人行儀だったし、それこそ「あなたなんてプリキュアってだけで友達でもなんでもないんだからね!」だった(その間に倒されたピーサード…)。それでもお互いを知りたいと向き合い、「なぎさ」と「ほのか」と呼ぶようになる。全く違うふたり、だからこそ時に自分が考えすぎて未来を杞憂していた際は彼女の目の前の幸せを大切にしたい気持ちに救われたことだってある。闇に呑まれそうになった際に本気で助けてきてくれた。そして今も……なぎさが一緒にいたという時間があるからこそ今の自分がいる。その事実は決して奪われない。そしてその時間を他者の持つ記憶によって再び実在として形成すれば……

なぎさの想い出、それのおかげ元の姿を取り戻せたほのか。先ほどの彼女の存在を感じたゆえの叫び声、そしてこの倒れる彼女の頭を膝に乗せる優しく包み込む……そう、これも上記の42話を彷彿させる一場面である。プリキュア見た記憶を想起させる描写の連続で既に自分は泣きまくっていた。キュア泣きに負けてしまった。

明らかに上述の42話のシーンを意識してる構図。よしよし、じゃなーい!!

ようやくなぎさとほのかが揃い変身し「プリキュア達から奪った記憶!」「とっととみんなに返しなさい!」といつもの名乗り口上をうまくもじってミデンのフローラルトルビヨン―盗んだ記憶での模倣しただけのニセモノ―を軽く跳ね返し鋭い蹴りを叩き込む(なんだかんだでASで培った圧倒的強さの描写も初代を形成する一つだなあ)。その姿に……と語りたい所だが流石に長くなってしまった。CGパートで後編に行くかもしれないなと書いてたのにそれすら辿り着けなくて自分も正直引いてる。しかしこの後のシーンもなんとしてでも語っていきたい。なんのためにnoteやったんだ長文感想を書くためだということでここを区切りにして後編へと続きます。


後編書きました


オマケ

ここらへんは実際に見てきた人も納得しうる妥協ポイントだと思う。我らが大貝第一中学生徒会長相田マナはほんとすごいのだから

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