『王様戦隊キングオージャー』におけるロボへの想い
・まえおき
みなさんは『王様戦隊キングオージャー』を見ていただろうか?スーパー戦隊シリーズ第47作目にしてその作品は長きに渡る歴史において類を見ない作風だった……CGをこれでもかと活用した異世界に漫画から出てきたようなキャラクター、そして大河ドラマのような没入感ある物語しつつもライブ感すさまじい展開の連打……強烈なまでに惹かれたファンに蛇蝎の如く嫌うアンチを一緒くたに生み出すまさしく戦隊史上に残る異色なる意欲作と言えよう。ちなみに俺は精緻に作られたと言われれば精緻だし雑に作られたと言われたら雑だしと信者アンチ双方共に言い分は正解だとは思いつつ後述する理由もあってけっこう楽しんで見てた。
そんなこんなな賛も否も極端に分かれる王様戦隊キングオージャーだが、されど誰もが一致する見解があるだろう………こんなのじゃ玩具が全然売れなくて当然だろ、だ。ぶっちゃけ歴代戦隊シリーズでも玩具売上が悪かった作品は定期的に存在したのだが今作は特に目立った……簡潔に言えばスーパー戦隊の華形であるロボ戦ぜんぜんやらないのだ。本来ならたまにやらない回だの序盤で済ますだのな定番の型から外れる話は昔からあったが今作は特にやらない。後半に至っては月に一度あるかどうかレベルだ。そこに今までの戦隊で見たことない作劇性も合わさりメインターゲット層の子どもに玩具買ってほしいと届くかと言われたら……自分のフォロワーさんの小さなお子さんがそもそもヒーロー番組だと認識してなかったくらいだ。こりゃ作品の善し悪しだの個人の好き嫌いだの以前の問題であり玩具売る大手スポンサーのバンダイは◯原部長の武装おしおきくらい怒っても仕方ないと思う。東映のバカはどこにいる!?なにやらもっふんを探しにイシャバーナへ行ったと…
さらにそこに追い討ちをかけるような事実も存在する。確かに今作は玩具売上は悪いっちゃあ悪いのだが、前述の通りこれまで見たことない作風も相まって今まで特撮に触れてなかった新規層のファンを大勢獲得した功績もある……玩具にはあんまりお金を落とさないタイプのファンが多かったが。具体的に言うと円盤だのアクリルスタンドだの劇中再現グッズだの……そういうバンダイが関わってない商品はよく売れたそうだし、なんなら公式サイドも需要を理解してか戦隊シリーズ初のポップアップショップ出店だのサンリオコラボだのと完全に開き直ってる。正直グッズが売れたなら純粋に良いニュースだし需要を理解し購買欲を満たせる供給を出すのは販売側として正解だし人のお金の使い道に他人がとやかく言う筋合いはないのでそういうファンの皆さんはそのままでいいと思うが……それでも一部の快く思ってない層には今作の悪しき所として槍玉に挙げる恰好の標的になってしまったのも哀しい事実である。
……そして自分が今回このnoteにて書くテーマはそんな戦隊の玩具、それもこの『王様戦隊キングオージャー』のロボ・キングオージャーについてである。
「悪ふざけか?」
「はっはっは……“ガチ”だ」
(48話「さらば、親愛なる民よ」より)
この記事では間違いなく今作において一番アンタッチャブルな話題……触れるにしてもついでに叩く要素として終わりそうな話題、どう見たって「詰み」な話をメインで取り扱う。しかし自分としては書かねばならぬ、そんな「はいはいキングオは褒めようが貶そうが玩具売上はダメねw」で議論の余地なく軽く済ませようとする風潮に、なんとしてでも自分がこの番組で感じた「ロボに対しての想い」を決して埋もれさせてはならないと一石を投じたいのだ。まさに反逆者どもの子ども……宇蟲王ダグデドという強大すぎる存在に守るべき人々の命ごと虐げられながらも2000年間ずっと耐え忍び、恨みを連綿と紡ぎ、神殺しの手段を模索してきたハスティー家のごとく、そしてその一念を邪悪の王ギラと共にいる他国の王に託しついに宇蟲王を打ち倒したように。それでは………恐怖しろ!そして慄け!!ナーハッハッハ!!!
・スーパー戦隊シリーズにおける「ロボ」への想い
まず言っておきたいことがある。こういうのを書くということから分かるように自分はスーパー戦隊シリーズに出てくるロボが好きだ。幼少期の頃に『忍者戦隊カクレンジャー』から『激走戦隊カーレンジャー』あたりをよく見てた記憶があり、隠大将軍やVRVロボなどの9月に追加される二号ロボにやけに惹かれ、その中で唯一買ってもらった『超力戦隊オーレンジャー』のDXオーブロッカーは当時は宝物として扱ってたほどだ。ロボ正面に5人のモチーフにした記号が並ぶ奇抜なデザインながらも綺麗にまとまり背面もメカメカしくクール、そして両腕がけっこう可動し双剣ツインブロッケンソードをかっこよく構えられるという今考えてもなかなかの良玩具であった……
そこからしばらく特撮から離れていたが『海賊戦隊ゴーカイジャー』1話の戦隊大集合を偶然見てしまい大興奮のまま復帰、ゴーカイがキッカケなのもあり現行だけでなく過去作品も並行して視聴しつつ中古ショップで昔の戦隊ロボを買ったりしたものだ。その中でも特に魅入られたのはスーパー合体なるロボ同士の合体で既存のロボが強化されるやつ……『轟轟戦隊ボウケンジャー』のアルティメットダイボウケンや『特命戦隊ゴーバスターズ』のグレートゴーバスター、さらには『炎神戦隊ゴーオンジャー』のエンジンオーG12みたいな全合体なんてしてくれた日にゃ大盛りあがりしていたものだ(余剰が無ければさらに加点)
こういうのもあって自分は戦隊シリーズにおけるロボの扱いというのはけっこう重要視しており、それこそ同ニチアサ枠にて放送してる仮面ライダーシリーズにはない魅力のひとつと捉えてる。だから作中でロボが大切に扱われてると嬉しいし、逆に蔑ろに扱われると悲しい気持ちを抱いてしまう……具体例を上げるならば前者における代表といえば上述したゴーバスターズは勿論のこと、是非とも言わねばならぬものは『魔進戦隊キラメイジャー』エピソード31「おもちゃ」であろう。なにかとサイズが小さいだのスーパー合体しないだのとネガティブなこと言われがちなキラメイジンはじめとしたDXロボだが「DXロボという子どもの身近に存在しうる“おもちゃ”だからこそヒーローが少年に直接伝えられる等身大の愛と勇気の話」という個人的戦隊シリーズ史上最高のDXロボ販促回が存在するので、いくらドンオニタイジンが素晴らしいからって比較してキラメイジン(あとジュウオウキング)を叩くような輩にはウデンを睨むコウくらい怒っていた。
逆に後者はと言われたら……マジレジェンドが出た直後に冥府神なる超格上が出て苦戦ばかり(あと変身方式の都合でマジキングと両立できないのも気になる)とかあんだけ序盤から基地として活躍してたマグマベースがマックスマグマになったの僅か2回(うち1つはより巨大なラスボスに叩きのめされスーパーファイブロボの発射台くらいの扱い)とか色々あるけど『快盗戦隊ルパンレンジャーvs.警察戦隊パトレンジャー』のサイレンルパンカイザーはどうしても屈辱的記憶として蘇ってしまう。ルパパトは本当に面白い戦隊なのも理解してる。けどな……どうしてもアレだけは、各陣営でグッズ販売したら片方しか買ってもらえず仕方なしに快盗サイドに一挙集中して売ることになって警察サイドが寂しいことになったのは見てられなかったよ………よく「パトレンジャーは初期装備で泥臭く戦うのがカッコいい」とか言う声あるけどよ、それ…言葉の裏に涙が滲んでねェか?
………そんな戦隊ロボのいちファンである自分が王様戦隊の、巨大兵器として登場したキングオージャーに対してどう感じたのか?それは…………
我が王よ 契りを交わせ 我ら、命燃やせど灰には帰せず
我が民よ 言うに及ばず 守護の契りを 力に変えて共に 成そうぞ起死回生
民と王 等しく一人!
一と一 重ねて十!
十重二十重の誓いの力!
やがて、人の理を超え…
神へと届く。
人神融合!
$${\Huge\text{王鎧無双!}}$$
25話「王と民の戦い」を、ゴッドキングオージャー降臨の瞬間を、王鎧無双を見たことにより歴代戦隊シリーズにおいて最高の存在へと上り詰めた。
・キングオージャーという「ロボ」への想い
世間の評価から真っ向から反するというのは分かっている。それでも当番組を通じて抱いたロボに対しての感動を、他者によって形成されし風潮に決して流されたくない為に、なんとしてでもここに記しておきたかったのだ。そのくらい今作のロボ・キングオージャーの最終到達地点であるゴッドキングオージャーに並々ならぬ強い「想い」があるのだ。ということでここからはそんなロボについて語っていこうと思う。
・第一部編
それではまずは劇中活躍から。実のところ言うと1話で早速登場していたが第一印象としてはそんなだったりする……ぶっちゃけこれまでの戦隊では見たことないような作風の方に目が行ってたというのが正直な感想である。ここまでやるかな徹底した世界観構築から繰り出される子ども向けでは珍しくリアリティな政治と戦争と死が漂うシリアスさ、揃いも揃って癖の塊で一筋縄でいかないにも程があるラクレス含む王様たち……どうしてもこういうイレギュラーな部分に注目してしまうのは仕方ないことである(しかしまさかこの独自性のまま最後まで突っ走るとは…)
それでいて冒頭で話したように人物間のドラマを優先し必ずしもロボ戦しないだのロボ戦するにしても最低限で済ますだのなんなら変身して戦うのすらも最低限だの(初期の平成仮面ライダーか?)こう書くと世間の評判通りロボの扱いをぞんざいにしてる・販促にやる気がないみたいに見られるかもしれないが……自分はその論についてちょいとばかし 待った をかけたい。その理由について、まずはレジェンドキングオージャーが初降臨した10話「伝説の守護神」を思い出していただきたい。
そもそも今作は戦隊といいつつメンバーである王様たちはどいつもこいつも自国の利益や信念を優先してばっかで協調性など知ったこっちゃであり、5話でようやっと5人揃ってキングオージャーを操縦するも割とグダグダという体たらく……それでも完全に悪い奴じゃないし時には手を取り合うことも出来るというのを描きつつ、10話で各国にバグナラクが一斉攻撃を仕掛け現存戦力では犠牲なしでの突破が不可能なほどの状況に追い込まれ、ついに彼ら5人は結託し2000年前の大戦にて伝説に残るレジェンドキングオージャーを降臨・操縦し一斉撃破するという記憶に残る話だ。これまで溜めに溜めた「戦隊らしくない」カタルシスを…戦隊定番のロボ戦含めて一気に放出させるドラマティックな描き方……その5人の結託の象徴としてキングオージャーが、戦隊のロボが問題に対する解決策として明確に存在している。
上に書いた通り自分は戦隊ロボの扱いが良く描かれてると喜ぶ人間なのだが、そこには盛り上げ所のドラマにロボの存在が噛み合ってるかというのも含まれる。『忍風戦隊ハリケンジャー』巻之十九「大箱と風雷巨人」にて疾風流と迅雷流がついに手を取り合い轟雷旋風神が誕生したように、『烈車戦隊トッキュウジャー』第23駅「手と手をつないで」にて闇に呑まれてもみんなで一緒に故郷に帰るんだと手を繋ぎ超超トッキュウダイオーが誕生したように、この話は自分の中でも特に強く記憶に残る話だった。そして今作はこの2つの話みたいにロボの活躍をドラマの盛り上げ所…話として本当に必要な時はちゃんとバッチリ魅せているというのをしっかり抑えてるのだ。主人公一人でも動かせるっちゃあ動かせる戦隊ロボがメンバー5人でちゃんと動かせば最強……自分はこの戦隊ロボとしての魅せ方に琴線に触れDXキングオージャーを買ったのだ。そしてそれは18話「始まりの王冠」にて降臨したエクストリームキングオージャーも…シュゴッダムが王の証・オージャクラウンによりゴッドタランチュラ含む六王国のシュゴッド達が結集し、ギラと同じようにキングオージャーも頭に王冠を戴いたのも見事にドラマと戦隊ロボの追加要素が噛み合っていた。
そして辿り着くはゴッドキングオージャー降臨する25話「王と民の戦い」……デズナラク8世のチキュー破壊を止めるべく灼熱のマグマへ潜り込むには全20体のシュゴッドに乗り込み真の力・王鎧無双を引き出さねばならぬ……そう、20体。DXキングオージャーといえば発売前から1号ロボの時点で10体合体というのをアピールポイントにしていたが、様々な所から小物による嵩増しではという指摘があった…なんなら自分ですらもちょいとばかし頭によぎった程だ。さらには人によっては購入をスルーしがちな武装系ロボ・ガーディアンウエポン達にも搭乗せねばならぬ展開と来た。そんなメインロボ以外の供え物程度と思われた存在もメンバーに含みつつ、さらには王様6人だけでなく他14人の人材が揃うだなんて…………
我ら民、王に命を預けよう!
我ら王、民の命を預からん!
今作は各王国にサブキャラが点在する都合で歴代戦隊でも類を見ないくらい数多く存在するのでちゃんと全員搭乗できるのだ。そもそも今作『王様戦隊キングオージャー』という組織名称は19話にて“五王国異様事案対策用戦略救命部隊”なる実際に戦う王様だけでなくサポートする各国のメンバー含めての戦隊という独特な枠組みだからと定義づけられており、いわば彼ら彼女らサブキャラも国や民を守る為に奮起する戦略救命部隊の一部分……そして今この時に15名(コガネとブーンのセットで)の民が意を決して共に戦うというまるで20体合体なる戦隊ロボ初の偉業に番組側が最大級の返答を果たすかのような展開にしたのだ。ちゃんとガーディアンウエポンもシオカラ達の操作に合わせ活躍するし、さんざんなんのためについてたか疑問だったゴッドアントに至ってはトドメのエネルギー集めという蟻らしい役割を見事にこなしたのだ。まさに今作だからこそ描けた奇跡のような展開……こんな最高なモン見せられたらよ………揃えるだろ。いくら定価だと総額4万5千円以上する子どものおもちゃとは思えん金額だろうがよ……ガーディアンウエポン含めて買うに決まってるだろ………
・第二部編
そんなゴッドキングオージャーが登場してから物語は第二部へ……人類なるおツブどもを「おかたづけ」と称して互いに殺し合わせてた真の巨悪、宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダンと愉快な五道化たちとの戦いへとシフトする。のだが……ジェラミーがバグナラクの王へと君臨した都合でこれまで出ていた巨大化戦も兼任してたバグナラク怪人をなかなか出せなくなった&五道化という通常体型の敵幹部が悪事を働く展開メインになってしまったせいでただでさえロボ戦やらない回もあったのに一ヶ月以上出さないこともあったのだ。そりゃ一部から文句出るわ。しかし自分としては………そういうロボ全然出さない所に対して別にそこまで気にしてなかった。あんだけロボ揃えたのに!?
理由としては3つほどあり、1つ目はゴッドキングオージャー降臨回で今作のロボ関連への気持ちは満たされ、そしてゴッドキングオージャーを最大戦力としてずっと用いてくれたおかげでその満たされた気持ちが削がれることがなかったというのがある。戦隊シリーズといえば10〜11月ごろに最後のロボが発売されるのが定番であり、それらは多少ばかり互換ある場合もあるとはいえ基本的には前半ロボとスーパー合体せず単独で活躍するパターンも多く(メガボイジャーとかデカウイングロボとかサイダイオーとかオリオンバトラーとか)そのせいでそれまで頑張ってたロボの扱いが控えめになったり苦戦してかませ・型落ちじみた扱いを受けるという(販促期間が終わったから)悲しき宿命を前に切ない気持ちが正直あったりしたのだ。しかし今作はその10月に出たロボがやや特殊なパターンなのもあってかずっとキングオージャーが巨大戦の代表として席を空けず居座り続け、活躍回数は少ないものの話の都合で負けたりはしなかったので格が下がることはなかった。そのおかげでゴッドキングオージャーに対する満足度をずっと維持したまま視聴し続けることができたのだ(とはいっても後述するがそのせいで割を喰った存在がいるのも事実で素直に喜んではいけないかもしれんが………)
2つ目は話の展開上でロボ戦やる必要ない場面ばかりだったからがある。第二部の特徴といえば宇蟲王率いる五道化直々に国を脅かすレベルの悪事を行う『超電子バイオマン』の敵組織・新帝国ギアみたいな戦隊では割と珍しめな展開がメイン(ただし毎週出撃するメカジャイガン抜き)で、そんな巨大化しない敵幹部の悪行を王様たちがどう突破するかでこれまで通り十分すぎるくらい話を構築できてしまう……つまりは「まぁこの展開ならロボ戦する必要性ないわな…」という納得があったのだ。そりゃその気になれば五道化が一人にて死者を蘇生するグローディ・ロイコディウムが戦闘員サナギムだけでなく定番の再生怪人よろしくこれまで倒したバグナラク怪人を復活させる形で巨大化戦をねじ込むことは可能であろう……クリスマス商戦に向けた40〜41話でそのような展開を実際にしたように。しかしそれを巨大戦ノルマ果たす為にずっと擦り続けなくて正直ホッとしてる自分がいる………かつてのバングレイ再生怪人祭りにゲンナリした過去があるので。
そのような当時のボヤきはともかく…そして3つ目、上で書いてきたように今作はロボを必要な時にはちゃんと活躍させてくれるだろうという信頼があったからだ。その活躍を描くとなれば相手するのはやはり五道化そして宇蟲王……戦隊シリーズもかれこれ長く続くがラスボスとの最終決戦において巨大化戦は最後の等身大バトルへの繋ぎだったり、中には等身大バトル全振りで全く行わなかった作品もあった。もう番組も終わりだし無理しておもちゃの販促しなくていいので最後の魅せ場をどうしたいか考えたらそうなるものである。その中でもラストにアツい巨大化戦があった戦隊も存在する……例を上げれば『侍戦隊シンケンジャー』最終幕「侍戦隊永遠」を真っ先に思い浮かべるだろう。ラスボスである血祭ドウコクの猛攻で全合体ロボ・サムライハオーの変形がどんどん解かれつつも前進し、初期ロボであるシンケンオーにて最後一太刀を与えたのは今でも多くの人の記憶に残ってるに違いない。
そして今作の『王様戦隊キングオージャー』は……年も明け放送回数も残り数話、ラクレスも味方につき後はどう五道化と宇蟲王をぶっ倒すかで自分はワクワクして見ていた。そして洗脳能力でさんざんやりたい放題してきたヒルビル・リッチをンコソパの王の証でブーストしたキングオージャーで倒した際に確信を抱いた……こりゃ最終決戦で絶対やってくれると。自ら不死身を殺す力をプレゼントする程の舐めプをしてきて、一度はそれで倒され復活させてくれた五道化を各個撃破して二度は復活できぬ状況に置かれてもなお余裕綽々な宇蟲王ダグデド……そもそもこれまでは遊びで生かしていたに過ぎず、真の姿が宇宙規模の巨体という時点で本気を出してしまったらいつでも一瞬でこちら側を消し飛ばせるのだから当然である。そんな企画外レベルの化物を倒すには………
「ダグデドをブチのめす算段がついた。王の証の力を利用して……最強の無敵ロボットを作る。(中略)で、新しい超絶怒涛究極完全体キングオージャーがこれ」(by48話)
見るがいい!魂を紡ぎ、意志を受け継ぎ、小さな命が繋がって、新たに生み出す巨大な力!!
(最終話「俺様たちが世界を支配する」より)
こちらも宇宙規模の巨体になって真っ向勝負で倒すという今作のロボだからしかできない超絶怒涛なアンサーで殴りかかってきた。ゴッドコーカサスカブトはゴッドキングオージャーとして合体する際に大きさを縮小してるのでその逆も、莫大なエネルギーと巨体を支える構造さえあればいくらでもデカくなることが可能……まさしく「本当にロボが必要な時に活躍させる」の究極系。最終章三部作でヤンマの提案が出た瞬間に内心ガッツポーズ決めてしまったわ。放送中に買い揃えて本当に良かった。ありがとな……
そしてこの超絶怒涛究極完全体キングオージャーまで辿り着くには皆の力が無ければ……ダグデドの急襲により王らが自らの命を犠牲に逃がそうとした民たちが、ゴローゲを代表にいつもは自分のことばかりな彼らが王を見捨てず永遠の命の代替品として皆の命を少しずつ分け与えてくれたから完成することができた。本来ならギラ一人だけでも操縦できるキングオージャーを、ヤンマが、ヒメノが、リタが、カグラギが、ジェラミーが、シュゴッダムと彼らの国の民が、そして2000年間ずっと反逆への糸口を探し続けていたハスティー家が、ラクレスが……デズナラク8世をはじめデボニカがハーカバーカから呼び戻した死者たちが、べダリアのように死してもなお勝ち筋を紡いだ者たちの命があったからこそ宇蟲王を倒す神へと成り立たせたのだ。このキングオージャーという昆虫ロボの集合体そのものが、バラバラだった皆の意志を合わせることによって真の力を発揮する『戦隊』の象徴そのものと自分は思う。そしてその『戦隊』を構成するのは彼ら人間たちだけではなく………
超絶怒涛究極完全体という同等のラインに立った上でも宇蟲王ダグデドは圧倒的な強さを誇っていた……これまで無敗だった最大戦力ゴッドキングオージャーを叩きのめす程に。しかし20のシュゴッド達は己が身を犠牲にしてでも宇蟲王を倒す決断を自ら選び、そのおかげで宇宙という虫籠を破るほどのパワーを発揮し、頭部の玉座を守りし防壁をも破り、ついに全宇宙の生命の重み乗りし六つの刃によって鎮座し続けていたクマムシ野郎を討ち果たすことができたのだ。
そもそも彼らシュゴッドはダグデドによって創造され、戦争の苛烈化というテコ入れとしてチキューに投入され、さらに時には死してもなお操られ神の怒りとして甚大な死を巻き起こした兵器そのもの……そんな彼らシュゴッドもギラと―ダグデドの悪辣な気まぐれで生み落とされたから気が向けば好き勝手に操縦できる面白い駒であり、その悪戯で妻を喪ったコーカス王がゴッドクワガタのシュゴッドソウルを食わせ対ダグデド用の兵器にされそうになった人間―を通じて彼らとの仲間意識を学び、そして彼らとの絆があったからこそキングコーカサスカブトを起動できたり、ギラが自身の創造主ダグデドに操られた際にも踏み留まり抗ってくれたこともあった。クワゴンらシュゴッド達も含め別々の命ながらも巨悪を前に一丸となって立ち向かう六王国異様事案対策用戦略救命部隊“キングオージャー”だったのだ。一方的な兵器として利用されるのではない、彼らの“心”が無ければ配下の死すらも愉しむ邪智暴虐の王を討ち取れなかった。この戦いにて機械の体は失われようが“魂”が残っているのならば再び会える……(なんならvsドンブラの予告で既に元通りになってる)
・それはともかく
………とまぁ今作のロボがいかに活躍していたのか長々と書いてきた。きたのだが………やっぱりどうしても気になる部分というのはある。これ言っちゃうと元も子もないかもしれないんだけど…………必要な時“だけ”活躍させるのはそりゃ売上厳しくなるよなという本音も正直ある。いやですね、自分が上で語ったオーブロッカーあるじゃないですか。そういえば劇中でどんな活躍したか当時オーレンジャーが東映YouTubeチャンネル配信してたのもあって見たんですよ。そしたら三浦参謀長官が「こんなこともあろうかと」感覚で脈絡なく持ってきてた(33話「5大ロボ大暴れ」より)という流れでおったまげたんですよ。そんなことを当時の自分はつゆ知らずで純粋にカッコいいからで惚れて欲しがり……メイン視聴ターゲット層の子どもにはストーリー性以上に純粋な活躍を書いた方が響くのではというあたりまえ体操はどうしても発生しちゃうよなと痛感する。これでもかと真面目で真摯なんだけど伝わってほしい層に伝わるのかというアレ(実際に人気出た層がDXおもちゃより円盤とかアクスタとか買う層だったのも含めて)。そう考えると前年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のロボ関連が「え?最初からできますよ?」とばかりにストーリー性なく唐突に出してきたけど売上好評だったのも分かるというか(でもアルター系は扱いぞんざいだったしなぁ…ミニプラはすげぇですよ)
そんでもって触れねばならないのは……DXキョウリュウジンFULLACTIONについてですよ。日本だけでなく韓国でも人気だったり無関係な筈のソシャゲメーカーがビッグマネー用いていきなり新作が撮られたりとブレイブな伝説残る『獣電戦隊キョウリュウジャー』が10周年記念とあって今作でコラボ回をやったりと盛り上げる一環として登場したまさかの10月販促要素ロボ。音声特化で可動ほぼ無しな当時のDXキョウリュウジンと違いDXキングオージャーよろしく可動性を高めたの自体は良いと思うんですよ。
問題は………今作の徹底して作り込まれた世界観で出すのはあまりにも無理があるというのが。チキューではない地球に飛ばされ質の高いコラボ回やるのはいいんすが、そのままチキューに帰ったら半年経っていて五道化&シュゴ仮面に各国占領されたから奪還戦を始めて最後に待ち受けるはラクレスの秘密がついに明かされ兄弟共闘の激アツイベントといういつもの王様戦隊……クリスマス商戦用になんとしてでもねじ込む以外にキョウリュウ要素が出せる訳ねぇっすわ。これについては放送当時に「買った人かわいそうだから責任取ってVシネマでキョウリュウジャー10thちゃんとやって活躍させてね…」と心配になったわい。(まさかのキングオvsキョウリュウという形で叶うし竜星涼&丸山敦史出演するしプレバン限定でウエスタン&カンフーコンボどころか当時買えなかった人も多いだろうトバスピノも出ると今となっちゃ報われて本当に良かったと思う)
他には妥協なくハイクオリティ目指したから全体的に値段が高くなったのに全合体をウリにしてる部分もあったから集めるハードル高くて最初から諦めた人けっこういそうだったり(ガーディアンウエポン小さいのに1650円は地味にキツいぜ)手元にあると分かるんすが可動性と全合体を両立するのは限界が生じるというか立たせるのも一苦労になって遊んでるのにストレス溜まりそうになる(エクストリームあたりから牙を剥きはじめる)と東映サイドだけ責めるのでなくバンダイ側も非があるのではとちょいとばかし思ったりもする。とまぁそんなこんなで正直気になる所も含まれるけれど自分はDXキングオージャーをゴッドキングオージャーにするまでに買い揃えて、感動し、満足している。それだけは確かな事実なのだ。その嘘偽りない「想い」をなんとしてでも文章という形で残しておきたかったのだ。ジェラミーが最後に自分たちの生き様という物語を後世に残したように………
・おまけ〜誰も知らぬZEROとの戦い〜
あとがきに入る前にちょいとばかし寄り道を。戦隊シリーズのロボといえば時折ブラックバージョンというリペイント品が発売されたりするのを御存知だろうか?大獣神から始まり作品によっては出たり出なかったりする商品であり、『救急戦隊ゴーゴーファイブ』では最終回にまさかのブラックバージョンが本編に出てきた以降は基本的に玩具限定のマニア向けグッズのポジションだった……のだが最近はゼンカイジャーにてゼンカイオーブラックジュラガオーンが、ドンブラザーズにてブラックオニタイジンムラサメが登場したりとコンスタントにブラックバージョンが劇中登場したりしている。そして今作にはそんなブラックバージョンであるキングオージャーZEROが本編にガッツリ絡んだりもしたのだ。
本編6話と歴代最速のブラックバージョン登場は当時の視聴者を大いに沸かせ、そしてこんなにも早く登場したのもあってプレミアムバンダイでの受注販売予約も歴代最速クラスだった。しかしその注文ページにて誰もが一度は考えたであろう存在があったのだ……三大守護神と組み合わせたオリジナル合体である
カブタンサソリーヌバッタとレジェンドキングオージャーに必要な三大守護神は全員が黒と金で構成されており、そりゃ当然とばかりにブラックバージョンにピッタリである。まさに既存商品とプレバン限定商品の奇跡のマリアージュ……いや今になって思うと意図的だったかもしれない……これやる目当てで買った人もいるのではないだろうか?そして本編も進みタランチュラナイトが出てエクストリームキングオージャーにそのZEROが破壊されたり(弟に託すつもりだから大丈夫だったとはいえ綱渡りすぎるぜお兄ちゃん)と色々あった最中に8月発売と発表されたDXキングコーカサスカブト……これもまた黒と金の組み合わせだった。自分はこの時思ってしまったのだ、キングオージャーZEROでゴッドキングオージャーにしたらカッコいいのでは?と。
これを見せられ自分は予約締切ギリギリだったキングオージャーZEROを買う決心をつけた。いやヤバいでしょブラックバージョンの全合体とか。上述したマックスビクトリーロボはじめタイムロボシャドウアルファorベータとか轟雷旋風神とかアルティメットダイボウケンとかブラックバージョンのスーパー合体は前からあったけどそれらはひとつのパッケージとての商品だったのに、既存商品を黒&金に統一することによって「組み合わせるともっと楽しいですよ」という形でセールスするなんて…………バンダイさん完全に狙ってやってましたよね?そしてやはりこういう期待する人もいただろう、「このままタランチュラナイトのブラックバージョンも出るのでは?」というのを。
やはりという形で早速出てきたブラックバージョン・タランチュラアビス。しかしこの26話の放送して数日後に開設されたその注文ページ(もちろん予約終了)を確認した際に自分は恐ろしいモノを見つけてしまった。それは………
おいおいおいおい!金色のガーディアンウエポンも出すのかよ!?恐怖した。たしかにDXタランチュラナイトは地底ガーディアンウエポンセットというセット販売もしていたけど、そういう形でこれする????ということは出すのであろう……金のガーディアンローリング&スネイルも。そして完成させる気だろう……黒と金で統一されたゴッドキングオージャーを。
ということで即座に予約した自分はふと気付くことがあったのだ…上記の商品が高くないということに。いや双方共に1万前後するから高いだろと言うが冷静に見てほしい、キングオージャーZEROもキングオージャーと同じ9350円、タランチュラアビス&金のガーディアンウエポンセットもタランチュラナイト&ガーディアンウエポンセットと同じ11550円なのである。普通はプレバン限定商品とならば多少ばかし増額するもんなのだがあろうことかお値段据え置き(そりゃ小売店や通販サイトだと定価より安く売るのが基本とはいえ)で、タランチュラアビス達の方には贅沢に金メッキ追加したうえで同額という太っ腹具合だ。珍しいぞあのバンダイがこんなことしてくれるなんて……と思いつつ自分はいつか出るだろう最後のピース・残りの金のガーディアンウエポン発売を待っていた。流石に両方買った定価の3300円じゃ済まないだろうからもうちょいばかし取るんとちゃいまっかな〜wと当時は呑気に考えたりしていたのだ…………甘い考えだった。
19800円!!ヴァー!!!!!!(ゴッカン王みたいに奇声を上げる)最後の最後にドでかい人質取りやがってバンダイてめェーッ!!!!!!!!!!まさかのブラックバージョン以上に滅多に出ないメッキバージョンとのセット販売で出してきおった。完全に確信犯だった。掌の上で踊らされていた。「ここまで買う人ならいくらでも金落とすでしょw」のというメッセージが伝わり、俺はその通りだと泣きながら予約した。俺は……ただ黒金のゴッドキングオージャーにしたかっただけなのに……なんでここまで払わにゃならんねん………なんで………………いやでも剣の延長パーツは通常カラーのゴッドキングオージャーに持たせる際にちょうどよくなるしありがたいな……そういう方向で考えよう……そう考えなきゃやってけねえぜ……
【追記】
マジ買って良かった。それだけは言いたい。
あと色々言われてたけど今作の玩具売上がどうやら前作とそんな変わらないと決算報告であってなんだかんだで良かったねと純粋に喜びつつ(あんだけ初動売上悪かったと聞くのにいったいどこで巻き返ししたんだろ……)と正直思ったりもした。やはり今でも値崩れしないDXキングコーカサスカブトに全合体するという確証からだろうか?これについては自分は分からない……なんでなんだろ………
・あとがき〜そしてブンブンジャー「ロボ」への想い〜
いかがだったろうか。これが自分なりの、そして自分しか書けないだろう『王様戦隊キングオージャー』の、キングオージャーの感想である。好き嫌いを語る際にやれ売れただの売れなかっただの含めて語り始めると辿り着くのはゲハ民そのまんまだぞとか、どういうグッズ買ったのが偉いだので己の存在意義を言い始めると新興宗教やオンラインサロンとかに引っかかるような人間に見えてしまうぞとか辛辣な物言いはここでは言わず……玩具であれ円盤であれそれ以外であれ、自分が「欲しい」と思ったものを買えばいいという当たり前の教訓でここはまとめさせていただく。欲しいと思える商品があるのは恵まれてることなのだから純粋に感謝しようではないか……
そんなこんなで王様戦隊が終わり続いては戦隊シリーズ48作目の『爆上戦隊ブンブンジャー』が始まった。ここ数年の戦隊は変化球続きだったのを揺れ戻しといわんばかりにド直球な「戦隊もの」というのを放送開始当初からビシビシ感じるこの作品、勿論とばかりに巨大戦用ロボが出る。それ対して自分の正直な意見としては………
放送開始以前の時点で「欲しい」と強く思わせるくらいに琴線に触れるロボだった。これぞまさに戦隊ロボ……いや、バンダイのおもちゃの集大成と俺は感じた………
あまりの興奮っぷりに長文が発生してしまった。タイムレンジャーからのガオレンジャーにゲキレンジャーからのゴーオンジャーと前年の戦隊の玩具売上が芳しくないとバンダイは本気を出すというのはよく聞くが……これは“ガチ”だ。俺の歴史に刻まれた玩具で遊んでた全ての思い出を通じてDNAから直に「早くDXブンブンジャーロボで遊びたい」と語りかけてくる。実際に某所の試遊スペースでちょいとばかし触れたが上述した多種多様な遊び方をDXロボだけで成り立たせることが出来るしロボへの変形方法もややテクニカルで楽しいと感動に包まれてしまった……ブンブンジャーロボ!すごい!本当にすごいんだ!!
では早速買うのかと言われたら………いやその……上の王様級重塗装メッキバージョンの支払いがあるのでGW前後あたりになりそうなんすよね……去年買いまくったのが今年になって支払うことになるし引っ越して家具も新調したりついでに車検と色々トぶので……買うとしたら4月後半に出るブンブンカー追加セットになってるやつにしたいなぁ箱ひとつで済むし……みんなも趣味での金の使いすぎには気をつけようね。それでは!!
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