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アーリオオーリオペペロンチーノ


さて、外出「自粛」がつづき、行動が制限されるなかで、家で過ごす時間を充実させたいとお考えのかたも多いかと思われます。ミュージシャンであるまえにfood enthusiastであるニカホヨシオが、そんなみなさまのために、家で作れる簡単で堅実なイタリアンレシピを紹介しましょう。

第一弾は、やはりパスタです。今回はみんな大好きアーリオオーリオペペロンチーノ。もっともミニマムなパスタにこそ、いろんなポイントが詰まっています。これについてのレシピや解説はインターネット上のいたるところにあるはずですが、今回は、もっともシンプルな材料で最上の効果を得るためのノウハウを共有できればと思います。

ところで、あらゆる料理において、作る前に完成形のイメージを持つことが大切です。アーリオオーリオの完成形とは、オイルと茹で汁がよく混ざりあい、パスタと絡んでいる状態のことでしょう。よくパスタにおいては、ソースがパスタと絡まずに皿に残るようでは失敗だと言ったりしますが、今回はそれを目指して作っていきます。

材料

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・スパゲッティ(1.8mmから1.7mmくらいのものがよいと思います) 80g-100g程度

・にんにく 2かけ 潰して皮をむき底の固い部分を外します。芯は焦げやすいので取り除く人もいますがぼくは面倒なのでそのまま使います。弱火を心がければ大丈夫です。

・唐辛子 ホールでもいいですが自分は唐辛子も食べたいので半分くらいを刻みます(というか千切ります)

・イタリアンパセリ 2本分くらい。

・オリーブオイル 大さじ2程度 オリーブオイルは火をいれると香りが飛ぶのでいいものを使う必要はないと言ったりしますが、それでも味は違うので最低でもRANIERIクラスのものを使ってください。手に入りやすい価格だとBARBERAのオリーブオイルもおすすめです。

手順

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・フライパンにオリーブオイルとにんにくを入れ、弱火にかけます。最初は強火でいいという流派もありますが、にんにくは焦げやすいので、もっとも弱い火でいいと思います。もうひとつ大事なこととして、フライパンを傾け、にんにくがしっかりオイルに浸るようにすることです。低温の油ににんにくがゆったりと浸かっているイメージが大事です。

・フライパンに火を入れるのと同時に、大きめの鍋に水をはり、パスタを茹でる湯を用意します。塩は水分の1パーセント、1lなら10gといわれていますが、アーリオオーリオのときは、このときに入れる塩以外に味を決める機会がないので、少しだけ強めにします。

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・上記のことがおわったらイタリアンパセリを準備しておきましょう。茎の部分と葉の部分を外します。イタリアンパセリの茎は重要です。もしいままで捨てていた人がいたら考えを改めてください。パセリの茎はスープを作る時に束にして入れたり、オーブン料理の時にローリエと一緒に使えたりするので万能です。今回は後ほどオイルに投下する予定です。葉のほうは盛り付け用に手で千切ります。今の包丁は大体ステンレスなので包丁で切ってもいいです。鋼の包丁は葉物と相性が悪いらしいです。

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・簡単なアーリオオーリオにおいてすら、料理はマルチタスクです。湯を用意したり、イタリアンパセリを刻んだりしているあいだに、にんにくには火が入っていきますので、焦げないよう転がします。転がしながら火を入れて、上のような状態になったら、いよいよ刻んだ唐辛子とイタリアンパセリを投入します。もしにんにくが焦げそうであれば、傾けたフライパンの上のほう、オイルの外に逃しておくといいでしょう。

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・きっとすでにキッチンはいい匂いが充満し(換気扇は忘れず入れましょう)見た目にも美味しそうになっていることでしょう。お湯もそろそろ沸いてくるはずです。お湯がグラグラと限界まで沸騰し切ったら、いよいよパスタを投入する時間です。ここで何分茹でるかが重要になってきます。


・さて、このアンケートの通り、アルデンテより1分短く茹でるやり方が主流になっているかと思われます。票数こそ少ないですが、おそらくこのやり方が日本では主流かと思われます。ですが、後ほどわかるように今回のアーリオオーリオはすこし特殊な方法で作りますので、茹で時間を思い切って短く設定します。ぼくがよくスーパーの安売りで買っているPezzulloの1.7mmのスパゲッティにはアルデンテ8分と書かれています。今回は思い切って3分短い、5分を茹で時間として設定しました。もっともこの茹で時間はどのパスタを使うか、などの環境条件によって変わってくるはずです。DE CECCOのパスタでしたらおそらくアルデンテより2分短く設定する程度でいいはずですが、試行錯誤して、ご自身の環境にあった茹で時間を見つけてください。

・パスタを鍋に投入し、タイマーをセットしたら、ソースのほうの様子を見ます。パセリの茎がかるく色づき、唐辛子とパセリの香りが立っているようでしたら、一度火を止めて冷ましましょう。のちほど、オイルと茹で汁を乳化させるわけですが、オイルの温度が高いと、うまく茹で汁と混ざらなくなってしまします。あとは、タイマーが残り1分を表示するまで、しばし休憩の時間です。盛り付け用のお皿を用意し、ついでにグラスも用意してお好きな飲み物を飲むといいでしょう。キッチンスモーカーの方は、鍋に灰が飛ばないように注意しながらタバコに火を付ける最後のチャンスです。用意しておいた副菜をテーブルにセットする時間にしてもいいかもしれません。

・タイマーが残り1分をさしたら、休ませておいたオイルに、茹で汁を加えます。これはかなりたっぷり加えます。ふつうのレシピだとオイルと同量のことが多いかと思いますが、ここではおおよそ倍量弱、大さじ4弱の茹で汁を加えます。オイルが一気にしゃばしゃばになります。弱火でフライパンを振りながら混ぜますが、ここで乳化させることを意識しなくて大丈夫です、無理なので。

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・そうこうしている間にタイマーが鳴ります。パスタをざるなどにとり、水気を切り、フライパンに投入します。ここからが、もっとも重要な工程になります。相変わらず弱火で、フライパンを振りながら、パスタと、まだソースになり切っていないオイルと茹で汁を、しっかり、時間をかけて混ぜていきます。

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・パスタをオイルや茹で汁と絡めながら、ゆっくり火を入れていくイメージです。硬かったパスタにすこしずつ火が入り、しゃばしゃばしていたオイルが次第に茹で汁と乳化していくことを感じてください。勘のいいかたはここで、これはパスタを茹でる工程のつづきを、フライパンでやっているのだと気づくかもしれません。茹で時間を短く設定することで、パスタが茹で汁やオイルと触れる時間を長くし、より乳化しやすい条件を整えてやることが、この作り方のポイントになっています。

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・よく混ぜていくと、最初はパスタに絡まず、フライパンを傾けると底に溜まっていたソースが、次第にパスタによく絡んで、フライパンを傾けても垂れなくなるようになるはずです。冒頭に述べた、皿にソースが残らない状態とはこういう状態を指します。こうなったら即座に、用意しておいた皿にパスタを盛り付けます。上の写真では、あともう少し、という段階でしょうか。

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・仕上げに、刻んだイタリアンパセリを盛り付け、香りづけのオリーブオイルを細く一周まわしかけます。Buon appetito!! 上記の工程がスムースにできていれば、まさにアルデンテのスパゲッティが、完全に乳化したオイルと絡まっている様子を堪能できるはずです。好みより少しだけ茹で加減が緩いな、あるいは固いな、と感じた方は、次回から茹で時間を30秒ずつ調整してみてください。

最後に

レストランだと濃厚な茹で汁が常にあるので、オイルと乳化しやすい環境ができているのですが、家庭だとそういうわけにはいかないので、その場でパスタを茹でただけの薄い茹で汁でソースを作るために考えた方法です。

上記の作り方にほかの具材を加えてもいいと思いますが、タンパク質を含む具材を使う場合は、もうすこし乳化しやすい環境になるので、上記の方法ではなく、一般的な、オイルと同量の茹で汁を擦り混ぜ、アルデンテ1分前に茹で上げたパスタをさっと絡めて仕上げる方法で問題ありません。あくまでミニマムなアーリオオーリオを楽しむためのノウハウだと捉えていただけたら幸いです。

さて、今回アーリオオーリオを作るために買ったイタリアンパセリを消費するために、次回はひき肉とパセリを使った料理を紹介することにしましょう。それでは、また。

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