お勉強259:JCOG1008 (やや今更感)
はい、今更ですが
です。
JCOG試験でJCOは素晴らしい結果。
デザインとしては
・局所進行頭頚部扁平上皮癌の術後照射でCRTをするのが標準治療
・併用のCDDPは3週おきに100mg/m2が標準だが、
それに対してCDDP毎週40mg/m2が非劣勢かどうか
・まずは完遂率を見るためphaseⅡ、OSの評価のⅢ相という
II/III相試験 という試験でした。
結果から先に行ってしまうと
OSでの非劣勢証明
(HRは0.69 CIは0.374 to 1.273で、予定された1.32をクリア)
サブグループ解析では毎週投与が有利気味。
ただ、最初に見られたほどのOSの差 (かなり毎週投与優位に見えた)
は、 update解析だとかなり狭まっている印象。
RFSも毎週投与優位な傾向。
有害事象はG3以上の好中球減少や、 感染は毎週投与で少なかった。
腎機能不全や聴力障害も同様との事
血小板減少は逆に毎週投与の方が多め。
以下放射線治療医的細かい点
対象患者は
・組織学的に扁平上皮癌と診断がついている
・場所は口腔・中咽頭・下咽頭・喉頭
・口腔が約半分、下咽頭が約三割
p16陽性中咽頭はほぼ同数との事
・ステージはUICC 7thでIII/IVA/IVB(ほとんどIVA)
・ハイリスクファクターとしては
顕微鏡的断端陽性(断端5㎜以内に浸潤がん。明らかなR2は×)
and/or節外浸潤
断端陽性が3割程度、節外浸潤が8割五分程度。ほとんどpN2
・遠隔転移無し
・年齢20-75歳
・PS0/1
・臓器の問題はなし
照射は66Gy/33Fr
(サプリメントのプロトコールを読むと、IMRT過渡期で
参加施設が必ずしもIMRTに慣れていない施設もあり
非常に苦労したようなことが書かれている。
JCOG1015はこういった意味で、重要な試験であったと思われる)
SIBで予防照射は 52.8/59.4 Gy/33frを使用したとの事
(主腫瘍部位は切除されていて、体の形は変わらないだろうということと
世界的にはそちらが主流、ということを加味してSIBになったよう)
IMRTならD95処方。
PTVBoostが66Gy、ハイリスクPTVが59.4Gy PTVinitialが52.8Gy
CTVinitialは原発巣
リンパ節に関しては
1:レベルII/IIIに限られていたら鎖骨上は除外可
2:レベルIIに転移していたらレベルIBは入れる
が原則
以下細々
口腔がん
リンパ節転移陽性:両側I~V 両側鎖骨上
リンパ節転移陰性:原発が正中線を超えていたら両側のI~IV、 原発が正中線を超えていないなら片側I~IV
中咽頭がん
リンパ節転移陽性:両側RP 両側II~V 両側鎖骨上
リンパ節転移陰性:側壁原発が正中線を超えていたら両側のII~IV、RP 側壁原発が正中線を超えていないなら患側側II~IV 側壁以外両側RP 両側II~IV
下咽頭がん
リンパ節転移陽性:両側RP, Sc,両側II~V
リンパ節転移陰性:両側RP,両側II~V
喉頭がん
リンパ節転移陽性: 両側II~V、Sc
リンパ節転移陰性: 両側II~IV
※すべてでリンパ節転移陰性=原発顕微鏡断端陽性である
CTVboostは
節外浸潤陽性リンパ節エリアと
ポジティブ腫瘍床1-1.5㎝マージン (あくまで治療計画CT上でかく)
CTVhigh riskはIMRTのみの設定だが、
解剖学的な要素を考慮して5㎜マージン
PTVはCTVから「基本」5㎜程度 その他は適宜原文(サプリメント)参照を。
3D-CRTの頭頚部の電子線照射(後頚部領域)なんて
今はまずやらないですが、
そのやり方や線量処方の仕方について
なんとかIMRTと整合性を取ろう、
という苦労がうかがえるプロトコールです。
話はCDDPに戻って。
不思議なことに治療完遂率は三週おきの方が高く、
予定されたCDDPの投与量も3週88.9%、毎週84.1% で
いわゆる「200mg/m2ルール」はどちらもクリアしているが、
総投与量の中央値は三週おき280mg/m2、毎週投与239mg/m2という形
(まぁ、毎週投与はMAX280mg/m2なのだが、
予定通り投与できれば 週でならすと40㎎>33mg/m2と多くなるという 考察もできるとディスカッションにあり)
かつてインドで対照群は違うが 毎週30mg/m2の投与では、
優位差をもって毎週投与が悪かったが
これはCDDPの投与量が少なかったことが原因では?と考察
カプランマイヤーをちらっとだけ見ると、
(とくにプレスリリースの)毎週投与がいいじゃん、
という 風に飛びついてしまいそうですが、
あくまで非劣勢で、副作用が少ないので毎週投与、
という結論なのは注意ですね。
関係者の皆様、試験の成功おめでとうございます。
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