お勉強480:続・心臓のどこが「大事」なのか?

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2666087324002266


個人的には重要論文

NSCLCに対して放射線治療を受けると
心臓に影響が出るというのは
近年のトピックだが、この論文は
心臓の部分と不整脈の関係を調べたもの
不整脈は
・AF
・Af
・SVRT
・徐脈
・VT/心停止(VF含む)
等と分けている。

局所進行手術不能患者748人を対象に
RT後に発生する不整脈を分類、
(SBRTは含まず)
放射線量のパラメータは、心臓の各部分構造に対して計算、
G3以上の不整脈の発生を予測するためにROC解析
(正直統計のところは良く分からない)

各部位を塗るのはAIも使っているよう。

年齢中央値は65歳 患者は1998-2014年の方
(発生率を二年で切っているのはたぶんこのせい)
34.7%の人は手術も行っていると。
IMRT使用率は21.9%

748人中128人(17.1%)が、
少なくとも1回のグレード3以上の不整脈を経験。
不整脈の発生までの中央値は2.0年(Q1-Q3:0.9-4.2年)と
かなり反応としては我々の考えているよりも早い印象。

2年間の累積発生率は、
Afが8.0%、
AFが2.7%、
他の上室性頻脈が1.8%、
徐脈が1.4%、
心室性頻脈または心停止が1.1%

一番気になるVT/心停止は冠動脈疾患患者の方が多い
(2年の累積発生率で4.1%vs1.7%/3.7%vs0.8%)

不整脈を呈した患者はいわゆるMACE
(major adverse cardiac event)が多い

心血管リスクを調整した後、
(既往・年齢・性別・化学療法の有無・IMRTかどうかなど)
線量指標として以下が抽出

肺静脈のV55Gy 31% が上室性頻脈のリスク、
V5Gy 15ml がAfのリスク(かなり差がある)
左回旋枝冠動脈のV35Gy 1.8mlがAFリスク
右冠動脈のV25Gy 1.9ml が徐脈のリスク
左主冠動脈のV50Gy 0.5ml がVT/心停止のリスク

AFと上室性頻拍以外は冠動脈疾患が競合リスク

(いわゆる画像まとめ、がついているのでそれで大体わかる)
一応論文によると、不整脈の生理学的には
納得のいく結果らしい
Afとか肺静脈周囲アブレーションするもんな。


この論文でも問題になっていた心臓死と心基部の話が
(Figure1がハイリスクゾーン、という扱い
 左冠動脈主幹部と洞房結節あたりのイメージ)
左主冠動脈の線量と関連する、という
この結果とガッチリ一致しており、
左主冠動脈周りの線量というか心基部の線量
(右房・大動脈根部・冠動脈起始部辺り)
はこれからHOTになりそうです!

食道がんでは4門でも丸当たりゾーンで
リスク臓器として考えるといいのかも。

当然Afも避けるべきで、肺静脈 V5Gyという
かなり低い線量で出てくるようなので
避けるべき構造ばかりでなかなか頭が痛い…

この辺りで陽子線が生きてくる可能性はある

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S266608732400228X

この論文を受けてのコメンタリーでは
もはや`heart mean dose`は過去のもの、と
はっきり言っちゃってる。

CRT後免疫療法入るとどうなのかはさらに謎。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?