お勉強179:肝臓がんに対する放射線治療雑感

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/search/cancer/report/202107/571250.html

日経メディカルの記事。肝臓に対する放射線治療、エビデンス的には
まだまだという事か。以下私見も踏まえ。

少なくとも自施設や数をこなしている病院の経験を聞く限り
3cm以下で局所制御の点においてSBRTは
RFAと比べて、決して劣る治療ではないと思う。
RFAでわざわざ人工胸水入れたりして、失敗するリスクを考えたり
太い血管の近くで、刺せたとしてもcooling effectありそうなところなどは
(施設の修練度にもよるが)SBRTを第一選択に選んでもいいと思う。

ただ、少なくとも個人的経験ではRFAに失敗した症例でも
かなりサルベージできているので、まず、RFAというのは
理にも適っているのかもしれないが、穿刺部播種とかもあるしなぁ…

肝機能低下や長期副作用については当院の内科の先生によると
昨日は一時的に低下があるかも、だが、RFAと比べて
大差はないとの事。肝門部で胆管狭窄があったとの事。

固定多門よりはVMATのほうが圧倒的に後のことなども考えると有利。
(固定多門で二回照射したら消化管出血を作ってしまったことあり)

ドーム下とか、太いP枝の股とかはいい適応なのだが、
表面辺りになると、消化管の有害事象が心配で
中途半端になりやすい。

肝がんも腹腔鏡で手術する時代になり、手術も
定型的なものならば侵襲は大分下がっているそうで、
侵襲が低いのは間違いないが、
ちゃんと内科・外科・放射線治療科(診断科)も含めて
それぞれのメリット・デメリットを加味して
複数のモダリティーからベストのものを
選んでいくのが「施設の実力」となっていくと思う。

門脈腫瘍栓も外照射でそれなりに(大分?)
効くと思うのだが、「エビデンス」的にはやっぱりつらい。

まぁ、わかっている肝臓の内科や外科の先生は
一定数いるので、前向きの試験をする、
というのはあるだろうが、なかなか難しいのも事実。

日本での肝臓に対する放射線治療はJCOG1315C
http://www.jcog.jp/basic/org/group/hbpog.html
の結果次第で大きく変わってくると思う。

ポジティブに終わってほしいところ…

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