お勉強162: DWIを使って線量増加で予後改善 #ASCO21


以前 前立腺がんで画像誘導のfocal Boost
(要は「画像上前立腺がんが疑われる部分」にBoost)
すると、予後が改善するというデータを紹介した

https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/JCO.20.02873

https://note.com/nijuoti/n/n99fca24fe02f

実はこれは革命的なことで、
‘画像誘導Boostで予後が改善する‘ということを示した
貴重な(初めて?)の試験なわけで、
今までFDG-PET Boostとか 低酸素PET Boostとか
いっぱいやってきたけどコケまくっていたので
なんでやろ?と思っていたわけです。

そこにこの発表
https://meetinglibrary.asco.org/record/197163/abstract

AICC8thでの上咽頭がんStageIII-IVAに対して
IMRTをするのに、DWIで拡散制限が強いところ
(腫瘍を全部囲って平均より高いところ)
をBoostする、というプロトコールと
通常のプロトコールを比較

線量処方はBoostは2.35/Fr、通常部は2.2Gy/Frのよう
T1-T2は32Fr、T3-4は33Frのよう。

結果
通常計画とくらべ、DWI-Boostは
2年の
局所無再発生存率(LRFS, 100% vs. 95.4%; P = 0.024)
遠隔転移なしの生存率(DMFS, 97.9% vs. 90.6%; P = 0.006)
無病生存率(DFS, 93.2% vs. 86.8%; P = 0.021)
全生存率(OS, 100% vs. 95.2%; P = 0.038)
すべて有意に改善。

有害事象は差なし。
多変量でDWI-Boostが優位な因子。

というわけで、コケまくっていた頭頚部で勝利。

前立腺の試験と共通するのはDWIで、
DWIでBoostしたり、オリゴメタを探す、っていうのは
結構いい作戦なのだなぁと。

DWIや全身DWIを使って放射線治療を盛り上げていこう、といいう
DWIBS放射線治療分科会も
http://bodydwi.kenkyuukai.jp/special/index.asp?id=25464
面白くて、毎回とてもお勉強になります。
よければご参加を
(技師さんや物理士さんも参加されている方多いようです)

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