ASCO2024 個人的注目ネタ③ 直腸がん編

ASCO2024 直腸がんネタ

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/237014
いわゆるショートコースか(SCRT)、CRT(LCRT)か。
ショートコースのほうがRT自体の費用は安いが、
ショートコースのほうが直腸温存率は
低いのではないかと(はっきりIII相で示されたわけではないが)
言われている。

そこで、TNTによる治療を受けた65歳の
局所進行直腸癌患者100万人の5年転帰を
シミュレートするマイクロシミュレーションモデルを構築して、
TNTにより完全なcCRならNOMにすすむとし、
その後の局所進行に伴い手術のみを受けるという前提で
モデルを走らせた。
費用、QOL(健康効用で測定)、病勢進行と死亡の確率を組みこみ。
(今までの文献のデータを使っているとのこと)

QALYあたり10万ドル未満なら費用対効果が高いとした
SCRTと比較して、LCRTは総費用は増加、QALYは改善。
ICERは67,200ドル/QALYとなった。
このモデルは、非手術療法における局所再発のリスク、
非手術療法の健康上の有用性、
およびLCRTとSCRTの費用に関する仮定に最も敏感であった。

このモデルは、診断評価(すなわち、軟性S状結腸鏡検査)の費用
および遠隔再発の確率に関する仮定には敏感ではなかった。

結論としては、局所進行直腸癌患者の非手術的治療において、
LCRTはSCRTと比較して費用対効果の高い戦略という結論

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/237629

難しい話は抜きにして、TME回避、という観点で
CRT後に局所切除を行った症例を評価する前向き研究の
データベース研究。局所切除ありでNOMを語ると、
CRTでnearCRが6割程度 この群の局所再発は2%程度
反応が悪かった群も局所切除を足すことで局所再発は9%程度

CRT→局所切除は有効な手段では?との解析
TNTならさらに行ける?

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/237058

CRTにICIを足す作戦のII相試験
同時に併用群(A群)とアジュバントに併用分(B群)
とコントロールのCRTのみにランダム割付
NOMはせず、全例手術してpCR率を見る設定。

pCR率はA群で33.9%、B群で34.5%であり、
コントロールはpCR率15.5%でどちらもより有意に高かった
とのこと。ケモも組み合わせてどうなるかは気になるところだが、
ケモなしでもここまで行ける、という観点でも見れる

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