お勉強465:肺がんの世界にもコンバージョン手術到来?

結構個人的には注目論文!

https://www.cell.com/cancer-cell/fulltext/S1535-6108(24)00192-2


まぁ、こういう論文いつか出てくるだろうなぁ、
と思ったが、やっぱり出てきた
「切除不能非小細胞肺がん」に術前IO±ケモで
「コンバージョン」に持ち込んでみよう、という試み
(proof of concept studyとある)

術前IO±ケモをしてその後、手術かRT
で、IO維持というデザイン。

インダクションのORR 58%(95%CI 47-68)
18か月EFSが56.6% MDTで協議して
97人中27人が手術に行き、全例R0切除
そのうち44%がMPR 26%がpCR
当たり前だが18ヵ月EFSは手術群/RT群で
74.1% (95% CI 53.2–86.7)/ 57.3% (95%CI 43.0–69.3)
手術群良好、という形

グラフィカルアブストラクトが分かりやすい。

ここに出てくるIOはSHR-1701という
PD-L1に対するモノクローナル抗体と
TGF-βの細胞外ドメインが融合した
新規の二機能性融合タンパク質なんだそう
(色々調べてみたが難しくてわからん…)

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.2503

https://www.mdpi.com/1424-8247/16/10/1461

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211383523001685#fig3
↑ご参考にしてください

PD-L1発現でケモ追加しないレジメンも探索的に解析
(基本は併用、単剤は探索的なレジメン、と書いてある)

一応3Arm試験。
TPS<50%でSHR-1701+ケモ 3Kur(Arm A)
TPS≧50%で1:1割付で
SHR-1701+ケモ 3Kur(Arm B)とSHR-1701のみ(Arm C)
     
そのあと評価して、コンバージョンできそうなら手術、
できなさそうならCRT

その後コンソリで再びSHR-1701

ArmA/B/C 88/9/10人となった
患者の年齢中央値は 59歳 男性が9割
組織型はSQ 75% non-SQ 25%

IIIA/B/Cが 25/44/30%(1%はそれ以外らしい)

観察期間22.2ヵ月で インダクションの完遂率が93%
80%の人が局所治療(手術27・CRT59)
(8%の人は局所治療を拒否、4%が進行)

SHR-1701のコンソリまで行けたのが42%

プライマリーエンドポイントはArm A+BのORRで
1% cCR、57% cPR 18か月EFSが56.6%

Arm Cは ORR 40%(全例cPR) 18ヵ月EFSは77.1%

全体集団のORRは56%、18ヵ月EFSは58.3%

EFS中央値は
Arm A+B 24.2ヵ月
Arm C 24.4ヵ月 

1年/2年 OSは
Arm A+B 86.8%/78.3%
Arm Cは死亡者なし

全体で手術に行けたのは25%
Arm A+B 25%
Arm C 30%
IIIA/B/Cで37%/26%/16%の コンバージョン率

手術は81%が葉切除、11%が二葉切除 4%が片肺全摘
全例R0手術、、MPRが44% pCR率26% (高い!!)

18ヵ月EFSは手術群/RT群で
74.1% (95% CI 53.2–86.7)/ 57.3% (95%CI 43.0–69.3)

有害事象として気になる肺臓炎は
irAE/放射性肺臓炎/肺炎が
12%/6%/5% G3以上は 3%/2%/1%とのこと
Arm A+Bではケモの副作用が出ている。

SHR-1701に伴う有害事象で多かったものは
穿刺部反応・皮疹・irAEとしての肺炎(5%/4%/3%)

筆者らの結論としては
・コンバージョンを見据えたこの免疫±ケモ導入療法は
 有効。proof of concept studyとしては成功ととらえる
・免疫療法時代の「切除不能」を考えるべき
・「切除不能」を相手にしていることを考えると
 切除可能な群のインダクションケモ+IOの
 試験と同等程度の結果が出ているのは良いこと
 (SHR-1701が優秀?)
・切除に行けなかった群もPACIFICと比べてPFSやOSが
 著しく悪いわけではなく、インダクションで
 セレクションをすること自体は否定されるものではない。
・Nが少ないが、今後このような研究は進んでいくであろう

<個人的感想>
やっぱり、こういう方針を考える人も
いますよね、という論文でした。
新規IOの効果は”?”としても、
コンバージョン手術、という概念が
肺がんでも数年内に話題になってくるのかもしれません。


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