お勉強285:TNT、現状の良いまとめ


直腸がんの術前治療(TNT)に関する
素晴らしいツリーなので、参考文献とともに
まとめてみました。

TNTの放射線治療として
筆者はshort course RTを
推している。
もちろんすべての症例でそうだとは思っていない

局所制御と遠隔転移のバランスを
考えなければならないと。
もちろんリスクはかぶっているが
遠隔転移のリスクはEMVI+、N2、CEA高値などである
局所再発のリスクはT4やCRM<2㎜である

※EMVI=extramural vascular invasion

https://www.researchgate.net/figure/Five-point-scoring-system-for-MRI-detected-extramural-venous-invasion_fig2_51618672

↑これがMRIでの所見のポイントを端的にまとめていてよい

直腸がんのMRIのまとめとしては

↑これが良くまとまっている。

※直腸がんにMRIを撮らないのはもはや時代遅れ感。

TNTが局所進行がんでDFSを改善するのはおもに
遠隔転移の制御によるものである。
放射線の役割は
・局所再発を減らす
・cCR、ひいてはW&Wに結びつける
という2点である。
しかしながら標準の放射線治療は定まっていない

筆者は遠隔転移のリスクが高く、局所再発のリスクが低い場合
short courceの5Gy*5Frを推している。
※RAPIDO trial

を例に挙げている
放射線がすぐ終わり、全身療法に遅滞なくはいれるからである

逆に遠隔転移のリスクが低いが局所再発のリスクがあり
臓器温存に強い希望がある場合(もちろんその適応は考慮する必要があるが)
いわゆる普通の28Fr程度のlong courceのCRTで治療を行い、
4ヶ月の2剤化学療法を行うのを推している
※OPRA trial

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.2021.39.15_suppl.3509


を例に挙げている

この場合、なぜshort courceを使わないのか?
という点についてはESMO2021でRAPIDOの5年成績が出て、
DFSでは明らかにshort cource の方がよかったのに
5年の局所制御は 10%対7%で long courceのCRTのほうが
良かったからと述べている

また、今まで発表された中で一番局所制御が
良かったものはlong courceのCRTを加えたTNTで50%ほどの
温存率が出ている。 中にはBoostの報告もあり
筆者は54Gyを加えているという。

もちろんすべての患者がW&Wまで至るわけではないし、
初期の状態が巨大な腫瘍やcT4であればcCR率は下がる。

OPRAの 
この辺りのデータのことかもしれない

ただ、現状としてshort cource と long courceのCRTの
どちらを優先的に使うかは何とも言えない。
筆者らはどちらを選んでも
臓器温存率が変わらないか試験をしてみたいと言っている。
5Gy*5Fr以上の、一回6Gy以上の5Frの治療も
ありかな?と言っている

遠隔も局所もリスクがある場合でPS良好な場合
まず3カ月の導入化学療法(3剤)を行い
long courceのCRTを行うがいいのでは?とのこと

※FOLFILINOXをインダクションに使っているPRODIGE23を例に挙げている

こちらにRAPIDOとPRODIGEの比較が載っている。

結局、局所と遠隔のバランスの考慮をした方針が必要。
でも、大きくは差が無いかもしれない。

むしろ、二つのレジメンのPROや機能的予後、
QOLの比較が重要になってくる可能性が今後高い
(先日の記事ご参考の事)

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