お勉強460:舌癌、頸部をどうするか。

https://ascopubs.org/doi/10.1200/JCO.23.01106
いわゆる早期舌癌に対して、頸部廓清するかは
結構問題になっていて、

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/122/8/122_1107/_pdf

https://jcog.jp/document/1601.pdf


JCOGでも試験が行われているらしい。

今回はpT1-2N0M0舌癌に対してPORTが
有意な群を後ろ向きコホート研究で
明らかにしよう、という試み。

一応今までの推奨としては
・断端近接
・PNI:神経周囲進展
・LVI:脈管侵襲
がPORTの適応とされていたが、
案外前向き試験というのはないらしい。

2009年10月から2021年12月までに診断された
528人の患者を対象とし、
臨床病理学的特徴およびPORTの有無による治療成績への影響を分析
(中国からの研究)

サプリメントによると
・PORTまでの期間はおおよそ10週以内(6週以内が7割)
・線量は原発巣を入れる場合には60Gy以上が多いよう
 リンパ領域には54Gy/30Frと
・IMRTは約9割

頸部廓清については
メインは同側I-IIやI-III/I-V

根治手術を受けた528例(年齢中央値62歳[IQR、52-69])のうち、
145例(27.5%)がPORTをうけた。観察期間中央値は51か月
PORT群は 若い人、腫瘍径が大きい、DOIが深い、
低分化、LVI/PNIが多い、頸部廓清が多い
などの予後不良群。

全体では、術後放射線治療により有意な
OSの延長は認められなかったが、DFSは改善した。
(結構な差がある)

PSM後でもOSは改善せずPORT群と手術単独群で
OS:88%対83%
DFS:83%対68%

多変量解析の結果、
PORTは生存予後の改善と関連。

高年齢
分化度が中等度から低分化
PNI・LVIの有無
および浸潤深度(DOI)
頸部廓清なし
が2つ以上あると生存予後の悪化と関連。

手術のみの再発形式は
局所・領域・遠隔 10.4%・15.7%・3.4%
PORT追加群だと
局所・領域・遠隔 6.9%・6.9%・3.5%
出会ったとのこと

サプリメントには
(ちなみにPORT群はほとんど頸部廓清を受けている)
手術のみ・手術+頸部廓清の再発形式の記述があり
局所・領域・遠隔はそれぞれ
14.2%・18.6%・2.7%
8.9%・14.4%・3.7%
と頸部廓清の効果は何とも言えず

中等度から低分化の患者では、
手術+PORT群が手術単独群と比較して予後の改善を示した。
傾向スコアマッチング後
全生存期間(OS)、97%対69%、P= 0.003
無病生存期間(DFS)、88%対50%、P= 0.001
PNI/LVI症例を除外しても、その差は残った

OS:97%対82%、P= 0.040
DFS:87%対64%、P= 0.012

PNIおよび/またはLVIを有する104人の患者においても
同様の生存利益
OS: 81%対58%;P= 0.022
DFS:76%対47%;P= 0.002

DOIが5mmを超える、あるいは断端が近いサブグループでは、
PORTはDFSの改善に寄与した
80%対64%;P= 0.006
92%対66%;P= 0.049
OSには有意な影響を及ぼさなかった。

結論としては従来の治験に加え
中等度から低分化のpT1-2N0M0患者はPORTの恩恵ありと。

PORTを受けたPNIおよび/またはLVI患者が特に生存期間を改善した。
PORTはまた、DOIが5mmを超える患者においてもDFSの利益をもたらした。

ポイント:
1:あまり今まで注目されていなかった組織分化度が予後と相関し
 PORTの適応として出てきたこと
2:神経周囲浸潤やリンパ管/血管浸潤がある
 早期舌癌に対する術後放射線治療の有効性を証明

ただし、後ろ向き研究のため限界はある。(合併症とかのデータはない)
この論文では放射線治療関連の有害事象データがない

自分は舌癌は不勉強で知らなかったのですが、
pN0でも結構な再発数。
PORTは副作用多いだろうが、(味覚障害が心配)
必要悪なのかもしれません。
頸部廓清のみでどこまで戦えるのか、JCOGの試験注目です

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