お勉強277:膵癌術前治療(ASCO2022最終回?)

https://twitter.com/GrupoGTG/status/1538881491983294466
https://twitter.com/NiuSanford/status/1533541741311279115
https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/208028

https://oncotribune.com/report/asco-2022/abstract4008
(会員しか見れません)

CONKO-007試験の初回解析
UR-膵癌に対する治療として導入化学療法後
ケモのみvs.CRTのⅢ相試験
いわゆるコンバージョン手術を見据えた試験設定

腫瘍評価盲目は最初は導入化学療法後のOS
だったが、症例登録がおそくなり
・R0切除率
※R0切除できたけどいわゆるinkから
 マージン1㎜以内のものは区別して
 CRM+/-として別解析している
 (いわゆる海外でよく言われる「R0」)

患者背景は
年齢中央値65歳程度
CA19-9 500IU以上が約35%

3か月間まずは導入療法
・GEM 3投1休
もしくは
・FOLFILINOX 6クール
実際はほとんどFOLFILINOXが占めた。

そこでランダム化
その後3か月
CRT群は 1.8Gy*28Fr+GEM300毎週 ⇒GEM3投1休
ケモ群は 上記のケモを継続

※照射野は予防照射を含まないよう

まず525人登録
導入化学療法時で189例が脱落(毒性含む)

336例がランダム化
手術に行ったのは
ケモ群 60/167
CRT群 62/169
(優位差なし)

全患者群での
pCR率は
ケモ群0.6% CRT群7% 優位差あり (P=0.0055)
(手術群のみでは2%/18% 優位差あり)

R0率は
ケモ群18% CRT群25% 優位差なし(P=0.11)
(手術群のみでは 50%/69% 優位差あり)

いわゆるinkから1㎜以上のマージンが取れた率(CRM-)は
ケモ群9% CRT群17% 優位差あり(P=0.035)
(手術群のみでは 25%/47% 優位差あり)

術後30日以内死亡率は
ケモ群3% CRT群2% 優位差なし
(手術群のみでは8%/6% 優位差なし)

全体としてITTでは
ケモ群もCRT群もOS/PFS差なし
有害事象はCRTの方が多い

当たり前だが、
MST/五生は

CRM->CRM+ 
R0>R1>R2、切除せず
である。

切除しない場合は5年生存者はいない…

特にCRM-/R0であれば5年生存率35.9%/27.6%とすごい値。
逆に手術に行けてもCRM+は(R0だが)MST18か月…
ちなみにR1でもMST17か月なので、
海外の先生が提唱している
(R0=on ink≧1mm)は妥当

という、全体的に見ると(今のところは)差がついていないが、
5年のOSは(9.6% vs. 4.3%) とCRT群が上。
特にFOLFILINOX導入、CRT、手術だと26.9% (RTなしだと 13% )
と長期的に見ると、
PREOPANC Trial: https://note.com/nijuoti/n/na235cd25cd41
の再来を期待させる成績です。

個人的には
・手術に行くか行かないかはどう決めたのか?
(個人的には以前にも書いたが、CTはあてにならない)
・今時 GEM300㎎+コンベRT 50.4Gy/28Frは古い
という点でいろいろ思うが、

若い人は(60台の膵癌の人なんて市中病院でほとんど見ないが)
ケモ3-6か月

遠隔転移なければケモラジ(長くても3W)

あきらかなPDでなければ基本手術
というストラテジーが個人的にはイチオシです。

そうでない人
(いわゆる一般病院で出会う元気な70-80前半)
をどうしていくのか、というのが市中病院のテーマ。

すくなくともこの短期成績でRT=CRTだし、
CRTの方が有害事象多いから×だよー
というのは腫瘍内科医的発言で受け入れがたい。
やはり長期生存者あってのコンバージョン手術。

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