お勉強372:SBRTと新規薬剤併用のエキスパートオピニオン

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36858728/

オリゴメタ時代になって特に私も何回も強調しているが
・よく効く治療が出てきた(免疫療法・TKI)
・大概オリゴメタで進行する
・でも、せっかくよく効く治療だから薬をbyond PDで
 使うことを前提に、オリゴメタにSBRTしたい
・でもSBRTとこれらの薬の併用の情報は少ない

→文献レビュー・エキスパートオピニオンしてみました

という論文
・一番報告が多いのは意外なことにICI
・続いてTKI(マルチキナーゼインヒビター)
・次がEGFR阻害薬
・Her2療法も含め、それ以外は非常に報告少ない

G3/4/5は21/1/1%
およそ1/3がSBRT由来で残りは薬剤由来?とのこと
照射野内のG3-5の有害事象が
0~10% →低リスク
11~20% →中リスク
20%以上 →高リスク
と定義して文献レビュー

最終的には26人の経験豊富な放射線腫瘍医と
2人の腫瘍内科医のコンセンサスプロセスを経たとのこと

以下各論(読める方は図を読むだけで結構参考になります)

CTLA-4抗体(イピリムマブ)


腹部や胸部の同時併用のリスクは中リスクというデータあり
エキスパートオピニオンとしては
1)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を
ということは一致。

どのくらい休むのかとかは一定の見解はなし

PD-1/PD-L1抗体

同時併用は許容。リスクとしては低リスクとの判断
エキスパートオピニオンとしては

1)SBRTをする上で薬剤の投与サイクルを止める必要はない
2)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

ということ。同日投与は否定的な傾向だったが
(CTLA-4でも同様)コンセンサスには至らず

ニボイピ併用

データは少ないが高リスクとされた。
エキスパートオピニオンとしては

1)SBRTはイピニボ投与週にはしない
2)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

VEGF抗体

腹部領域照射時は中リスク
(胸部は禁忌扱いのせい?でデータは少ないよう)
エキスパートオピニオンとしては

1)投与日のSBRTはやめる
2)VEGF抗体投与を最低1サイクルSBRTからは空ける
  SBRTはVEGF抗体から一週間は空けて照射する
3)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

EGFR抗体

セツキシマブのデータが多い。(頭頚部)
リスクとしては中リスクと

エキスパートオピニオンとしては
1)SBRT同日に投与しない
2)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

抗Her2抗体

データはない!(まともな論文見つからなかったと!)

エキスパートオピニオンとしては
1)トラスツマブ・ペルツズマブは同日投与はOKでは
  またトラスツマブーエムスタシンは同意には至らなかったが
  ほぼ同等の意見が得られた。
2)SBRTで抗Her2抗体の投与サイクルを変える必要はない
  トラスツマブーエムスタシンは上記同様
3)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

※最近カドサイラは全乳房照射などは問題ないが、
 脳定位で壊死が多い、という論文が出てました

マルチキナーゼインヒビター/mTOR阻害薬

相性悪し、高リスク。
エキスパートオピニオンとしてはmTORは

1)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

休止期間や、同時併用はコンセンサスに至らなかったと。

エキスパートオピニオンとしてはマルチキナーゼ阻害薬は
1)同日投与はやめましょう
2)スニチニブ・ソラフェニブはSBRTの前後2Wは空けましょう
(他のマルチキナーゼは同意に至らず)
3)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

EGFR阻害薬

肺・腹部・骨に関して論文あり、リスクとしては低リスク
エキスパートオピニオンとしては

1)同意には至らなかったが、同日投与は控えたほうがよい
2)SBRT前、後の投与可能についてはコンセンサス得られず
3)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

ALK, ROS1, NTRK, RET, MET 阻害薬

ALKは少量報告があるが、少なくとも高リスクではなさそうそれ以外はほとんど報告なし。

エキスパートオピニオンとしては

1)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
病変部はすべて治療を

BRAF/MEK阻害薬

一件四例のレトロ報告あり。
少なくとも高リスクではなさそう

エキスパートオピニオンとしては
1)同日投与はやめておこう
2)SBRTまでに2Wぐらい休薬期間を
3)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

CDK4/6阻害薬

2編報告あり 少なくとも高リスクではなさそう
エキスパートオピニオンとしては
1)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

Her2阻害薬

報告なし
コンセンサスに至ったのは

1)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
病変部はすべて治療を

のみ

PARP阻害薬

報告なし

エキスパートオピニオンとしては
1)コンセンサスには至らないものの同日投与は否定的
2)SBRTの強度は通常のSBRTと同程度(線量、Fr)でよい
  病変部はすべて治療を

一応コンセンサスは表として示されているので
原文読める方は一瞥を。

とりあえず、
マルチキナーゼ阻害薬
VEGF抗体、
EGFR抗体、
BRAF/MEK阻害薬、
イピニボ
イピリムマブは要注意、のようです。

転移病巣に対するSBRTは盛んにおこなわれていますが、
薬との併用(悪い意味での相乗効果がないか)
はまだまだ研究途上のようです。

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