お勉強262:SCLC-LDの治療はHOTだ!!(ほとんどミニレビュー)

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35500460/

SCLC-LDは近年色々な試験が出てきて、
従来の標準治療を超えてきている。
今回は韓国からICIを加えた試験の報告

SCLC-LDに対してCRT後維持イミフィンジは現在臨床試験進行中だが、
(adriatic trial)チョッと異なり、コンカレントにも行う試験の報告。

プラチナ+VP-16+イミフィンジはEDでも
プラチナ+VP-16に優位性を示しているので、
(caspian trial) 上乗せ効果が二倍に(?)期待もできる

CDDP+VP-16+イミフィンジを2コース先行し、
そこで進行が無ければ胸部照射を追加(+2コース)
G-CSF同時併用は主治医判断でOK

計画としては4D-CTでITVを書き、5-7㎜マージンでCTV
IFRTだが、治療前でPET+だったリンパ節は含む。
(ということは、他のtargetはケモ後のもので描くのだろう)
PTVは5㎜マージン。照射線量は中途半端な2.1Gy×25Fr
3DCRT(結局1例しかいない)以外はIGRTを施行

CCRT終了時(CDDP+VP-16+イミフィンジを4コース終了時)
進行が無ければ、イミフィンジ維持へ。(最長2年まで)

PCIは70歳以下にはCCRT後3-4週後に進行無く、
MRIでも病変なければ推奨。
PCIは25Gy/10Fr 海馬回避IMRTで

評価としては化学免疫療法2コース後にまず評価
CCRT終了後3-4週、もしくはイミフィンジ開始時ににCT/MRI
PET/CTをイミフィンジ維持療法2M後に。
維持療法はCTは4Mごと、6MおきにMRIを撮像
維持療法終了後はCTは4M(~1年)6M(1~3年)

治療評価としては過去の報告とのPFSの比較
今回と違うこととしてはイミフィンジの追加と
PETの施行率の上昇、
IMRTや陽子線へと照射技術の向上とのこと
(線量分割は差が無いよう)

OS/PFSは治療開始からのもののよう。

年齢中央値はは65歳ほとんど喫煙者。
TNMだとIIIA 54% IIIB 24%
PETは全員撮影

CCRTまで行けたのが94% その患者群は全員照射完遂
陽子線4% 3DCRT2% あとはIMRT
平均4WでCCRT後イミフィンジ維持療法へ。
コンソリデーションまで行けた患者は
中央値17サイクルまでイミフィンジ施行。
中止理由はほとんど病状進行。

CCRT後進行のなかった群で約半分がPCIを受けた。

平均観察期間26.6カ月で
PFSの中央値は14.4ヶ月、二年PFSは42%
ヒストリカルコントロールより優位差をもって良好。
OS中央値は達せず2年のOSは67.8%
こちらもヒストリカルコントロールより優位差をもって良い。

進行パターンとしては全体を100%として
・18% 局所のみ
・30% 遠隔のみ(脳が最多)
・6%  両方
局所に再発した患者のほとんどは照射野内再発

PCIをすると脳転移再発が優位に減る。
(13.6%vs.42.9%)
PCI候補の人はPCIをすることでOSも伸びる傾向と。

PD-L1などのバイオマーカー探しもしているが、
これといったものは出ていない。

副作用に関しては好中球減少が多い
放射性肺臓炎G3以上は1例
irAEは4%G4が起こっている
結果的に8%の患者でirAEで治療が中断している。
(1例G4の肝炎、3例G2の肺臓炎)
放射性肺臓炎では4%で治療中断

ICIのMIXの報告としては期待できる今回の試験
(以前紹介した線量増加試験と比べると
 放射線治療は中途半端感が否めない。
 ディスカッションで彼ら自身もそれは指摘している)

ICIの併用自体はペンブロとイピニボの報告があるらしく
ペンブロはNECも含むが、mPFS19.7ヶ月 MST39.5ヶ月とのこと
https://note.com/nijuoti/n/n1d3e6ce5e7bd
イピニボは中止が多く、以前のレジメンに比べて優位とは言えず
とのこと。

PCIに関しては色々意見があるのはご承知の通りだが、
ICI+RTで優位、という結果が前述のペンブロ併用のCRT後の
PCIであるようで、ICI+PCIは期待できるのでは?と。

結論といてはLD-SCLCでもICIは期待できるのでは?という感じ。

過去の報告との比較↓



https://note.com/nijuoti/n/n1d38b6381790
https://note.com/nijuoti/n/n92e21dd02ffd
https://note.com/nijuoti/n/n1d38b6381790



前二つの試験もそうだが、
時代の流れは導入化学療法2コースぐらい
→縮小したターゲットにRTというのが
放射線治療の作戦になりつつある。
(今回の筆者たちは理論的には最初からコンカレントだが、
 以前ケモ2コース先行と最初から併用の比較試験も行っていて
 差が無かったとイントロで述べている)

線量増加も、ターゲットが縮小すればできやすいわけで、
前二つの試験はそれが成功している。

今後は放射線治療強度増加+ICIの時代??
放射線治療医と呼吸器内科と組んでちゃんとした臨床試験を行えば
MST45ヶ月ぐらいは狙えるかもしれない。

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