お勉強457:頭頚部はCRT+IOがうまくいかない…

https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(24)00100-1/abstract


頭頚部がんはあまりCRTと併用での
ICIの開発がうまくいっていない。
今回はペンブロの成績
全体としてはネガティブ試験なのだが、読む価値あり。

に読みどころも含めて解説アリ、

局所進行頭頸部扁平上皮癌に対する
pembrolizumab(PEMB)併用CRTの有効性を評価する
ランダム化多国多施設二重盲検第3相試験(KEYNOTE-412)

CRTにペンブロを併用もしくはCRTのみに1:1割付
層別化因子としては
・疾患の部位
・p16状態
・病期
・放射線治療レジメン

対象はp16+中咽頭ならT4/N3が対象他はT3-4もしくはN2a-3
口腔内がんは切除不能が前提。(中咽頭以外はp16は考慮なし)
結局50%が中咽頭(p16-が73%、23%喉頭。18%下咽頭)

Pembrolizumabおよびプラセボは、
放射線化学療法の1週間前、放射線化学療法中の2回、
維持療法として14回の計17回
3週に1回点滴静注
CRTは、シスプラチンを3週に1回を2~3Kur、
加速照射もあり。(3%ぐらい週6回もあり)
基本IMRT SIBもコーンダウンもあり

PETをランダム化6W前、CRT終了後12W で撮っている

EFS(局所進行・再発・遠隔転移がイベント)

2017年4月19日から2019年5月2日にかけて、
804人の患者がペンブロ群402人、プラセボ(402)に無作為割り付け
660人(82%)が男性、144人(18%)が女性、622人(77%)が白人
年齢平均は58.7歳
PS0/1は6割/4割程度
フォローアップ期間中央値は47.7か月。

どちらの群も17回のメンテまで終わったのが53%程度
CDDPも投与中央値は3Kur

Pembrolizumab群のEFS中央値は未達
(95%CI 44.7か月-未達)、プラセボ群は46.6か月(27.5-未達)だった
(ハザード比0.83[95%CI 0.68-1.03]、
 p=0.043だが、今回の試験では有意水準p≦0.024なのでネガティブ
生存曲線はわずかだがペンブロが上の感じ

ただ、CPS>1だと2年のEFSは
64% vs. 56% (HR:0.8 95%CI 0.64-1.0)
CPS>20だと2年のEFSは
71% vs. 63%(HR:0.73 95%CI 0.49-1.06)


フォレストプロットでみるとCPS<1の群が
かなり足を引っ張っているよう
(アベルマブの試験でもPD-L1発現が
 高い方が効く、というデータはあるらしい)

局所制御はペンブロ群でよい傾向
遠隔転移なし生存はペンブロ良い傾向
フォレストプロットではCPS<1%は全然効果なし

G3以上の有害事象は
Pembrolizumab群398人中367人(92%)、
プラセボ投与群398人中352人(88%)

G3の有害事象で見られた主なものはCRTによるもの
(血球減少・口内炎・嚥下困難)
治療関連死はpembrolizumab群で4人
(1%、誤嚥性肺炎、末期腎疾患、肺炎、硬化性胆管炎がそれぞれ1人ずつ)、
プラセボ群で6人
(2%、咽頭出血が3人、口腔出血、術後出血、敗血症がそれぞれ1人ずつ)
投与中止はペンブロ群で多かったと

と、いつものごとくネガティブトライアルだが、
PD-L1発現が強いものにはそれなりに
威力があるのかも…
新たな試験は厳しいか?

頭頚部でいつも思うのは
・PACIFIC2も含め、薬剤会社はコンカレント推しだが
 本当にコンカレントがいいかは考える必要あり
 アジュバントのほうがCRTとの併用は生きるのかも
(併用でうまくいったのは子宮頸がんしか知らない)

・頭頚部のリンパ節照射線量をICI時代もっと考えるべき
 (予防照射を避ける試験が走っているそう)

・OSで差をつけようと思うと、あとでICIが入るようになった時代
 かなりの患者、もしくは長期フォローアップデータが必要になる可能性

・アベルマブのおおこけJAVELIN試験に比べれば
 試験群が上に来ているので、むしろ少しホッとする
 (PD-1とPD-L1の違いかも、とディスカッションにあり)


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