お勉強391:頭頚部がんフォローにPET-CTが有用

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2807804

https://www.medscape.com/viewarticle/995372


進行期頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)に対して
FDG-PET/CTを1年おきに用いて
治療後の集中的な経過観察を行った群と
従来の経過観察を行った群と比較するという試験
(無症状であることが前提)
治療は手術でも(C)RTでもOK

対照は、3~6ヵ月後の画像診断で
完全奏効を得たHNSCC患者。

全体の82.1%が男性であった(年齢中央値61歳)
(C) RTと手術は1:1の割合

医師の裁量に基づき、(ランダム化ではない)
497人は、12、24、36ヵ月目にFDG-PET/CTを受け
残りの285例は通常の経過観察(年一回の胸部CT)を受けた。
当たり前ながら結構偏りはある
放射線はどちらかというとPET-CTを使われている
(とくに放射線単独はPETが多い)
ただ、ベースラインはPET-CTを撮っている人のほうが悪い
(ある意味当然だが)

治療後3~6ヵにCT、MRI、またはその両方を行って
再発を認めない患者がcandidate
ベースとして治療後最初の3年間に身体診察・臨床検査を
1年目は2か月おき
2年目は3か月おき
3年目は4か月おき
というのは共通

PET-CTは造影もしているよう。

PET-CTで12.4%の人が無症状で転移・再発が発見された
(全再発の55.9%)
異時癌としては肺がん・ほかの頭頚部がんが多かった

平均3年全生存率は、FDG-PET/CTによるフォローで
従来の追跡群よりも有意に良好であった
(72.5% vs 64.3%;P=0.002)。

Cox回帰分析では、
年齢、性別、併存疾患、原発部位、病期、
外科医、治療時期、および治療法を含む因子で
調整した後、FDG-PET/CT群では、
従来の経過観察を受けた群と比較して、
3年後の死亡リスクが有意に低いことが示された
(オッズ比、0.71)。
また、再発した後の予後も長かった。

進行した病期(III期およびIV期)の
HNSCC患者(FDG-PET/CT群68.5%対従来群55.4%)に
おいて有意な3年全生存期間の延長が認められた。
一方I期またはII期のHNSCC患者では認められなかった。

PET/CT群では、
中咽頭腫瘍患者の平均3年全生存期間も
有意に延長した(69.9% vs 60.5%;P = 0.04)。

特に進行期や、中咽頭患者の初期フォローアップとして
FDG-PETは有用である、というのが筆者らの結論
進行期のHNSCCのほとんどの再発が2年以内に起こるのも
3年で切っている理由のよう。今回の検討でも660日以内に75%
の再発が見つかったよう。

生存がよかったのは
・無症状で転移を発見できて、早期介入できた。
・異時癌を1割の人で検出できている
 そのうち9割が根治的治療を目指せた
あたりが原因ではないかと主張している

まぁ、当然ランダム化比較試験ではなく
日本の現状とも少し違う感じですが、
我々放射線治療医としては
CRT後の再発の判断が難しいことと、
異時がんの検索、という点でPET-CTの
威力も発揮されており、興味深いです。
とりあえず最初の1~2年は無症状で体幹部CTを撮っていても
PETを撮る価値があるかもしれません。
(特にCRTの場合はメリット大きそうです)


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