お勉強:361 放射性肺臓炎と、免疫療法による肺臓炎、相乗効果はあるのか?


放射線による肺炎とICIによる肺炎、それぞれの関連について

放射線肺炎と免疫関連肺炎は独立して研究され、
放射線治療(RT)と免疫チェックポイント阻害(ICI)の相互作用に
関する情報はほとんど出てきていない。
RTとICIが相乗的に肺炎を引き起こすかどうかを検討した。
(ちなみにPACIFIC試験ではRTにICI上乗せでプラセボ群より
 肺炎が増えている)

SEERデータベースを用いて、
2013~2017年にステージIIIB~IV NSCLCと診断された
レトロスペクティブコホートを構築。

RTおよびICIへの曝露は、
・診断から12カ月以内の治療(RT群およびICI群)
・最初の曝露から3カ月以内の2回目の曝露(例えば、RT後のICI)(RT+ICI群)を評価した

※未治療(RTもICIもしていない)のコントロールは、
 同じ3ヶ月のウィンドウで診断された治療済みの患者とマッチングされた。

治療後6カ月以内の転帰については、データから
肺炎の症例を特定するための検証済みのアルゴリズムを用いて評価
(でも、8割ぐらいしか拾えないらしい)

主要アウトカムは、
2つの治療間の相加的相互作用の定量的尺度、すなわち
相互作用による相対過剰リスク(RERI)あった。

解析対象は18,780人で、
コントロール群9,345人(49.8%)
RT群7,533人(40.2%)
ICI群1,332人(7.1%)
RT+ICI群550人(2.9%)

対照群に対する肺炎のハザード比は、
RT、ICI、RT-ICI群でそれぞれ
11.5(95%CI:7.9~17.0)、6.2(95%CI:3.8~10.3)、10.7(95%CI:6.0~19.2)

RERIは、
調整前解析で-6.1(95%CI:-13.1~-0.6、P=0.97)、
調整後解析で-4.0(95%CI:-10.7~1.5、P=0.91)であり
RTとICIの間に加法的相互作用を示す証拠(RERI<0)のない
ことが示された。

進行NSCLCのメディケア受給者を対象としたこの研究では、
RTとICIは、肺炎の原因として相乗的というよりは、
せいぜい相加的であった。
RTとICIの治療を受けた患者における肺炎リスクは、
それぞれの治療法から予想される以上ではない

※当然データベースからの後ろ向き解析なので
 PACIFICのデータを覆すものではない。
※データから見るに、この短期間の間の短い解析機関では
 肺炎の主な原因はRTであり、ICIはそこに「相加的な」上乗せは
 する可能性はあるが、相乗的効果ではないだろうというのが
 筆者らの結論。
※穴はたくさんあるが、PACIFICで見られている
 CRT終了後3か月程度をピークにした「肺臓炎」は
 おおむね放射性肺臓炎がメインであり、
 それを主眼に置いて治療していく、というのがいいのであろう。

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