お勉強153:「難しい」SBRT③


https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S1556086421021122

SBRT再照射

<症例>

COPDの既往がある66歳男性
右上葉後部に1.5cmの小結節があり、生検でIA期の腺癌。
医学的に手術不可能と判断され、54Gy×3分割のSBRTを受けた

その3年後、彼は以前の治療を受けた場所に重なるように、
FDGで確認できる1.3×1cmの右上葉の結節が徐々に大きくなってきた。
(図では近いが、治療部位とは別の部位の再発)

<臨床的ポイント>
1. 孤立性局所再発に対して,どのような救済治療が可能か?
2. SBRTの再照射に伴う重篤な毒性の予測因子はあるか?
3. SBRT再照射に関して、どのような障害や未解決の問題があるか?

<総説>
SBRTは局所制御率90%以上だが、
約10~15%の患者が局所再発を起こす。

NSCLC患者の予後が良くなるにつれて、
過去に照射された肺に局所再発を起こすリスクは高まっている。
集学的チームとして
観察するのか、救済療法をするのかという問題に直面するが、
孤立性局所再発の患者は予後が良好なことが多いので、
救済療法が推奨されることが多い。
救済療法の選択肢には、肺SBRTまたは救済肺葉切除術がある。
サルバージ肺葉切除術では、
高い局所制御率と限られた毒性が報告されているが、
SBRT後に局所再発した患者のほとんどは医学的に手術不可能であり、
再照射が唯一の治療法となる。
SBRTによる再照射は、再発した早期NSCLCに対する有効な治療法であるが、
同時に重大な治療上の課題がある
残念ながら、早期NSCLCにおける再照射の定義は
広く受け入れられていないが、
いくつかの小規模な後方視研究では、
孤立した局所障害の後にBED10>100Gyの線量でSBRTを繰り返すことは、
忍容性が高いことが示されている。
Kennedyらの研究では、21例中2例が肺再照射後に局所障害を起こし、
再照射後の最も一般的な再発は遠隔再発であった。
肺SBRT再照射の最大の問題点は
命を脅かす治療関連毒性であり、
再照射後の致命的な出血や、
下葉腫瘍の再照射後の胃穿孔など、生命を脅かす治療関連毒性の報告がある
最近の2つの報告では、
中枢部に腫瘍がある患者でG3以上の毒性は見られなかった。
一方別の研究では、中枢部に腫瘍がある患者の72%(8/11)が
G5の出血3例を含むG2以上の毒性を発現したと報告している。

再照射後の胸壁毒性は一般的であり、
ある報告では50%の患者がグレード1-2の胸壁痛を報告している。
V30が30-70%を超えると、
胸壁痛や肋骨骨折のリスクが高くなることが示されており、
SBRT再照射の場合も同様に、
胸壁にホットスポットができないように留意すべきである。
高い確率で発生する症状のある肺炎が再照射後に報告されており、
特に従来の分割ではV5、V20が肺炎の予測因子となっている。

SBRTの再照射後の肺炎発生率は、
フィールド外の失敗例がフィールド内の失敗例に比べて高いことが多い。
肺炎発生率が高いのは、フィールド外の失敗例を治療すると、
低線量の放射線を受ける正常な肺の体積が大きくなるからかもしれない

<実際の治療>
患者は、NSCLCによる死亡リスクが、
併存疾患による死亡リスクをはるかに上回っていたため、
再度のSBRTを受けた。

末梢肺腫瘍は重要な構造物の近くにはなかったので、
彼は3分割で54Gyという高いSBRT線量を受けた。

しかし、腫瘍が重要な構造物の近くにあり、OAR制約に違反している場合には、
より穏やかな分割法が選択されたであろう。

この再照射例では、EQD2による脊髄の累積線量を50Gyに制限したが、
その他の線量制約は用いなかった。

肺SBRTの再照射の線量制約は明確に定義されていないため、
射線未照射の患者に対するOARの線量制約を利用した。
3分割54Gyの処方に対して、
食道dmax27Gy、心臓dmax30Gy、
腕神経叢dmax24Gy、気管dmax30Gy、
V20 Lung-ITV < 15%とした。
(重なる部分はほとんど胸壁と肺だけ)

腫瘍点の最大線量は271Gy(α/β=10)であった。
この患者は5年間経過観察されたが、
病気の再発は認められず、治療による長期的な副作用も報告されなかった。

<個人的見解>
T先生@OFC病院
は「再発したらより高線量のSBRTしないとね」
と言っていた。

正直なところ、セントラルやウルトラセントラルに
再SBRTするのは怖い。

そして、SBRT後や通常ケモラジ後に違う部位(近い部位)
にSBRTする機会も少し増えてきたような気がする。

結局TPSで重なった線量を見たり、
放射線生物学的には良くないらしいが、
このレビューにもある通り
α/βやBEDを高線量にも外挿してみている、っていうのが現状。

粒子線という手もある?

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