お勉強455:高齢者にケモの上乗せはあるのか?

日本からの報告
高齢者肺がん患者でICIのみか、ICI+ケモか
という論文

ここでの高齢者、は75歳以上
高齢の進行NSCLC患者で、
StageIIIB/IIIC/IVの前治療歴のない患者
(根治的放射線治療併用は×)
放射線や手術後再発はOK
first line治療での解析

2018年12月から2021年3月の間に治療を開始した患者が対象。
いわゆる分子標的薬を先に使っている人は対象外
2022年2月から2022年10月までのデータを解析した。

1245例のNSCLC患者
年齢中央値、78歳
78%が男性

PD-L1の発現が
1%未満であったのがは268例(22%)
1%~49%であった腫瘍は387例(31%)
50%以上であった腫瘍は410例(33%)
発現不明であった腫瘍は180例(14%)

OS中央値は、
ICI-化学療法を受けた354例(28%)で
20.0ヵ月(95%CI、17.1-23.6)
ICI単独療法(ほとんどペンブロ)を受けた425例(34%)で
19.8ヵ月(95%CI、16.5-23.8)
プラチナ製剤二剤併用化学療法を受けた311例(25%)で
12.8ヵ月(95%CI、10.7-15.6)
単剤化学療法を受けた155例(12%)で
9.5ヵ月(95%CI、7.4-13.4)

PFSは上から順に7.7/7.7/5.4/3.4ヵ月

※組織ごとに見ると
Ad:20.4 vs. 26.2ヵ月でICI単独良し、
Sq:18.3 vs. 13.8ヵ月でICI+ケモが良い
(どちらも有意差はないが) 

傾向スコアマッチングの結果、各群の患者数は118人
OSとPFSはICI-化学療法群とICI単独群との間に差は認められなかった。
PD-L1発現が1%以上の場合、
OSのハザード比(HR)は0.98(95%CI、0.67-1.42;P = 0.90)
PFSのHRは0.92(95%CI、0.67-1.25;P = 0.59)

PD-L1発現の低値または高値(1%~49%または50%以上)に分けて解析した場合も、
有意性は認められなかった。
しかしながら、グレード3以上の免疫関連有害事象は、
ICI-化学療法群では86例(24.3%)、
ICI単独群では76例(17.9%)に認められた(P = 0.03)。
ステロイドが必要なirAEも32.5% vs. 24.7% でICI+ケモ群が多い(P=0.02)
肺炎がG3以上も、全体も有意差ありで増えている。
表だとほかに腎炎が増えている印象(ケモのせいもあると思うが…)

傾向スコアマッチングの前後両方で
ICI+ケモとICIのみの間に
全生存期間および無増悪生存期間に有意差は認められなかった。
一方でirAE G3以上ケモ併用群で多かった。

※高齢者にはICI単独でいいんじゃない? という結論
(ペンブロ単剤がほとんどだったので、
 イピニボに関しては今後の検討課題と)
※プラチナダブレット<ICI単独(TPS1~49%でも)
 なので、これらの群でもICI単剤は選択肢になるかも?
※irAEの肺炎がICIにケモを加えると多くなる、という
 報告は他にもあるらしい

個人的にはAdとSqの差が気になりました。

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