お勉強238:ASCO-GU2022より膀胱温存療法ネタ


日本では臨床腫瘍学会で話題ですが
世界的にはASCO-GUが始まっています。
ので、ASCO-GUから膀胱温存ネタ

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/205764

膀胱温存療法前の治療ガイドとして
ケモvs.ケモ+免疫療法の比較試験
当然というかなんというか、ケモ+免疫療法の圧勝。

対象は cT2-4bN0-3M0-1aの筋層浸潤膀胱がん
奏効率は併用群50.0%、ケモ単独群0%
病変コントロール率は併用群95.5%、
ケモ単独群66.7%(p=0.003)。

1年PFS率は併用群95.5%、ケモ単独群62.5%(p=0.010)
1年膀胱intact温存率は66.1%、27.5%(p=0.159)

免疫療法のケモへの上乗せで温存率は上がりそう
(放射線のところは詳細不明。ケモラジ?ケモイムノラジ?)

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/205782

膀胱全摘後のアジュバントニボルマブは
効果があるらしい。(知らんかった…不勉強ですいません)

ということで膀胱がんCRT後にニボはどうか、
というパイロット試験。

T2-T4b、N0-N+、M0が対象。20名の成績
ニボルマブサイクル数中央値は6.5回
フォローアップ中央値は8.9カ月
推定6カ月無再発生存率は88.2%
病気が進行した患者は9人で、
そのうち4人は膀胱局所再発(3/4でT1)、
5人は遠隔転移を発症。
推定無病生存中央値は17.1カ月
グレード≧3の治療関連有害事象(AE)は3/20人

https://meetings.asco.org/abstracts-presentations/205762

こちらはメモリアルスローンケタリングからお年寄りのCRT成績
(中央値77.5歳なのでアメリカではかなり年寄り扱い)

方法
2005年から2020年の間にT1-4N0M0膀胱癌に対して
根治的CRTを受けた150人の解析。

男性(71.3%)
Charlson Comorbidity Index中央値 7
非外科的候補(65.3%)
ステージ T2(75.3%)
肉眼的に完全なTUR-BT(65%)

ネオアジュバントは24%。ほとんど白金製剤+GEM

116例(77.3%)が骨盤リンパ/膀胱全体への45Gy+
ブーストを受け(総線量中央値66.6Gy)
34例(22.7%)が膀胱/尿道全体へのみ20分割で55Gy
(イギリスの標準的なあて方)

画像誘導のためのマーカーは55%(83/150)で使用

追跡期間中央値は31カ月。

94%が予定のRT完遂。
急性期のG3の泌尿器系および消化器系毒性は2%と5.3%
急性期G4の毒性はなし

G2以上の遅発性膀胱毒性およびGI毒性はそれぞれ11.2%と0.7%

一時的効果としては80% (n = 120)の患者がCRを達成
CR患者のうち、30%(36/120例)が中央値13.8ヵ月で再発

局所再発は72.2%、局所・遠隔再発は27.8%
全コホート中、40%の患者は生存しており、
31%の患者は最終フォローアップ時に病変を認めず死亡。
推定5年OSは48%
推定5年疾患特異的死亡率は31%
単変量解析で、若年、ネオアジュバントケモ、手術適応が
OSの改善予測因子。
多変量解析では、若年者のみが有意

ちょっと適応が緩いので、成績は差っ引く必要はあるが
年寄りには全摘よりもいい治療な気もする

全体的な話として、やはり食道がんと同様
いかに局所再発を早く見つけて(ある程度不完全でも)
TUR-BTに持ち込むか、というのが勝負な気がします。
高齢者(日本では定義が難しいですが)も
ロボット膀胱全摘ができるようになり、侵襲度が
かなり下がってきたので、膀胱温存療法への
ハードルはちょっと上がっているようですが、
ニーズはあるので、経験のある施設が
フォロー法や治療のコツを広げてほしいところです。

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