あれもこれも成就していないではないか。信じるな、やめろ、やめろ

幼子のような無邪気なまなざしで太陽を見上げている。

少し離れた所に黒い人がいて、


「あれもこれも成就していないではないか。信じるな、やめろ、やめろ」


とさかんに叫んでいる。

その人の声など全く聞こえない様子で無心に太陽を見上げている。


まもなく、覆いが取り去られてゆき、強い光を放つようになって来た。

黒い人はその光を避けて、あちこち逃げ回りなたらも、何やら叫んでいた。

かけらている覆いが次々に取り去られてゆくと、あたりは光の洪水のようになり、とても麗しいものを感じる。


覆いが取り去られるに応じて、次第に姿は見えなくなってゆき、しばらくの後、目前に太陽が降ってきたようなまぶしさと暖かさを感じた瞬間、全く光と化してしまい、見ることが出来なくなった。

黒い人は光に耐えることが出来ず、ついには倒れ伏し息絶えてしまった。


「まもなく、覆いのすべて取り除かれん。

 さすれば汝らに、待望の春来るなり。

 汝ら忍耐して、この時を待つべし」



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