2022年末におけるウクライナとロシアの戦略

ウクライナ南部のヘルソン市からのロシア軍撤退について話題となっていた。しかし、さすがの西側からも慎重論が出てきている。

ロシアのプーチンの言う戦争目標は大きく次の3つであったと記憶している。

  1. ロシア系住民の保護

  2. ウクライナの非ナチ化

  3. ウクライナの非武装化(ABC兵器開発の試みの無効化)

1つ目は四州の併合でほぼ達成。

2つ目はマリウポリなどのアゾフ大隊拠点を武装解除したことで概ね達成。(まだキエフやドネツク北部あたりに残っているようだが)

3つ目が残となっているといったところだろう。

対するウクライナ側は、2014年のマイダン革命からこのかた次のようなことを目指してきたと推察している。

  1. ロシア系住民の国内からの排除

  2. 米中の力を借りてのロシアの弱体化

  3. 米中協力のもとでのABC兵器開発の再開とロシアの解体・逆侵攻

これらの攻勢の試みに対して、ロシアに機先を制されてクリミア半島や四州を併合されてしまったというのが実情だろう。

また、攻勢に転じたと言われる現在のウクライナの戦争目標には問題がある。

ウクライナは奪取された土地の奪還を目標に掲げ、西側の継続的な支援を得ようとしている。停戦は考えていない。

支配地域の拡大を目的にしている。

これに対してロシアは概ね目標を達成しているため非武装化を達成することだけを考えている。

非武装化には、西側の支援を止めウクライナ兵士と西側傭兵の兵員を損耗させる必要がある。

これまで支援を止めるために逆経済制裁と兵器の破壊を進めてきた。これは着実に進み、すでに西側の弾薬備蓄の不足が叫ばれている。また、エネルギー価格高騰・インフレにより増産もままならない状態だ。

ウクライナ兵員の損耗も増えている。土地を取り返さなければならないウクライナ軍はむやみに突撃をくりかえしている。ロシアは防御を固めて突撃してくる兵士を片端から倒している。ヘルソンから撤退することで防御体制はますます強固になる。

これに加えロシアは都市の電力網や暖房などを狙い撃ちにしている。兵員への後方支援・兵站を叩いている。

東部要塞に立てこもって防戦しているうちは良かった。攻勢に出たところで、ウクライナは一気に不利な立場となっている。


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