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戸籍時報連載『旧市区町村を訪ねて』14「新しいスポーツの拠点」宮崎県都城市〜山之口町〜(文・写真:仁科勝介

こんにちは。コンテンツビジネス推進部のMです。弊社刊行「戸籍時報」との好評連動企画、「旧市区町村を訪ねて」。
いつもたくさんの「スキ」をありがとうございます💛
今回、令和6年6月号掲載の第14回は、宮崎県都城市から。大規模競技場の建設現場で感じたワクワクと、完成後の姿や未来のまちの発展への想いが込められた記事となっています。
いつものとおり、仁科さんの素敵なお写真をここではカラーでご紹介しています。
今後の連載も、ぜひお楽しみに!

~~本連載の著者は、写真家の仁科勝介さん。2018年3月から2020年1月にかけて、全国1741の市区町村を巡った彼が、2023年4月から再び、愛車のスーパーカブで日本中を旅しています。
 今回の旅のテーマは、1999年に始まった平成の大合併前の旧市区町村を巡ること。いま一つのまちになっているところに、もともとは別の文化や暮らしがあった。いまも残る旧市区町村のよさや面影を探します。
 仁科さんの写真と言葉から、今そこにある暮らしに少し触れてもらえたら嬉しいなと思います。~~

『新しいスポーツの拠点』

関東在住で15歳ほど年上の知り合いに,都城市出身の方がいる。都城島津邸や関之尾滝といった観光地が有名なので,こういった土地に親しみながら育ったのだろうと想像していた。そして,いよいよ鹿児島県曽於市から宮崎県都城市へと入っていくタイミングで連絡を取ると,その方の出身地が,都城市街地から北東に約10km離れた,旧山之口町であるとわかった。

旧山之口町は,都城盆地の北東部に位置するまちで,さらにその北東部には,温泉も有名な青井岳がそびえている。これから都城市の旧市町村を巡るという話題になって,旧山之口町が出身地だと教えてもらったのだ。そうか,普通の会話だったら,旧市町村名を言う必要はなかったかもしれない。その方のアイデンティティに少し深く触れられた気がして嬉しかった。

都城市の旧山田町,旧高崎町,旧高城町を巡って,いよいよ旧山之口町へ向かう。現在,旧山之口町では新しい陸上競技場が建設されているとのことだったので,近くまで訪れてみると,規模の大きさにとにかく驚いた。まだまだ建設途中で,競技場の全体像まではわからなかったものの,大都市で見る立派なスタジアムの迫力そのものである。

▲  建設途中の様子。遠くから外観しか見ていないけれど,非常に迫力を感じた。

令和9年,宮崎県は国民スポーツ大会(本大会)・全国障害者スポーツ大会の開催予定地となっている。そして,総合開会式,総合閉会式,陸上競技など,大会の主会場として,この競技場が活用されるそうだ。今後の防災拠点としての機能も考えられているという。主会場が県庁所在地の宮崎市ではなく,都城市街地ではなく,旧山之口町の土地が選ばれていることに,なるほどなあと唸らされた。

専門家ではないので,推測の言葉には気をつけるべきだが,素人なりに日本各地を巡っていて,大きな競技場というものはやはり都市部にある印象だった。旧山之口町は,建設中の競技場の後ろを振り向けば,穏やかな盆地の山並みを見渡すことができる。山之口駅も同じように工事が進んでいたけれど,周辺は落ち着いた気配だ。そうした雰囲気の中に,立派な競技場ができるのだとすれば,少なからずまちにとって,大きな変化になるだろうと感じられた。

だから,これから整備が進んで,完成後にはどんな競技場に,どんなまちになっているのだろう。競技場の持つ雰囲気には,心をワクワクさせるものがあった。こうやって新しいものが生まれていくのだと感じた。建設途中でありながら,競技場の迫力を感じた身として,令和9年の大会が個人的な楽しみである。

(かつお╱Katsusuke Nishina)



仁科勝介(にしなかつすけ)
写真家。1996年岡山県生まれ、広島大学経済学部卒。
2018年3月に市町村一周の旅を始め、
2020年1月に全1741の市町村巡りを達成。
2023年春より旧市町村を周る旅に出る。
HP https://katsusukenishina.com/
X(旧Twitter)/Instagram @katsuo247



本内容は、月刊『戸籍時報』令和6年6月号 vol.854に掲載されたものです。

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